34 / 43
34 ルイス様の決意
しおりを挟む
ルイス様の声に会議室が静まり返りました。
アレンさんが片眉を上げて言います。
「入学から一度も領地に帰らなかったツケですね。領民は成長した伯爵令息の顔を知らないから」
「一度帰ろうとしたら女王がついてきそうになったから。ああ忌々しい!どこまでも迷惑な女だな。死んだとき少し同情したが損した気分だ」
ノベックさんが楽しそうに言いました。
「じゃあちょいと行って狐男と狸女を攫ってこよう。軽く責めれば唄うだろうから狙いも分かる。まずはなぜ半年近くも居座っているのかを確かめることが先決だろう?」
ランディさんも楽しそうに続けます。
「城内にいるネズミも一掃した方がいいな。おそらく奴らは都合の悪い手紙は渡していないだろうから、こちらの作戦が成功していることを伯爵ご夫妻は知らないのだろう。今回は久々にノベックと組むか。ああ、マリーも来いよ。ネズミの駆除薬を頼む」
「はい!久々にご一緒できて嬉しいです!」
「ああ、今夜出れば明日には着くだろう。材料は揃うか?」
「百匹程度ならすぐに」
「十分だ。今回リリは留守番だが、捕獲した狐と狸の調教はお前に任せるから、今回は我慢しろ」
「了解しました」
アレンさんが肩を竦めて笑っています。
笑いごとなのでしょうか?たぶん・・・笑いごとなのでしょう
「旦那様とジュリア様は通常通りお仕事してくださいね。どこにネズミが潜んでいるか分からないので、あくまでも通常運転で。ランドルさんもノヴァさんも良いですね?」
四人は黙って頷きました。
「あの~私はどうすれば良いでしょうか?」
ルイス様が慌てて言いました。
「ここに居て!絶対にこの家で私の帰りを待っていて!」
ものすごい迫力に頷いてしまいました。
リリさんが私の横に来て言いました。
「お荷物は私が取ってきます。家出中とは存じますが、緊急事態ですのでご容赦ください。いったん保留ってことで」
「保留ですか・・・かなりの覚悟だったのですが」
「お察しします」
リリさんがニヤッと笑いました。
ルイス様は涙目でじっと私の顔を見ています。
ルイス様?そんな顔で見つめられると、愛されているような錯覚を起こしますよ?
私って思い込みが激しいタイプですので、迂闊なことをすると後悔しますよ?
「姉さん、人生は長い。焦る必要は無いさ」
ジュリアがそう言って私の肩をぽんぽんと叩いて帰っていきました。
明日も全員参加の会議だそうです。
私はアレンさんと一緒に皆さんのお食事を調達する係になりました。
ふと見ると、すでにノベックさんとランディさんとマリーさんの姿がありません。
お仕事の性質上、仕方がないとは思いますが、きちんと行ってきますのご挨拶ができないと、子供に尊敬される大人にはなれませんよ?
みんながいなくなって私とルイス様だけが部屋に残りました。
ちょっとドキドキします。
「ねえルシア。少し話さないか?」
「はい・・・」
ルイス様は私の手を取って、窓際に置かれたカウチに座りました。
肩が触れ合うほど近くに座るルイス様のお顔
あの頃より慣れたのでしょうか、吐くほどの緊張はしなくなりました。
それとも私の心臓に剛毛が生えたのでしょうか・・・嫌です。
静かにドアが開いて、アレンさんがチーズを、リリさんがワイングラスとデカンタを持ってきてくれました。
これは確かアリジゴク閉店時に残っていたワインです。
ルイス様が注いでくださり、私は一口コクっと飲みました。
「おいしい・・・」
原価は安いものですが、なかなか香りも良くおいしいワインです。
これに大量の塩を入れていたなんて、醸造家への冒涜ですね。
「ルイス様は召し上がりませんか?」
「うん・・・ワインはあまり良い思い出が無くてね。私はこちらの蒸留酒を」
立ち上がってサイドボードから琥珀色の蒸留酒とカットが美しいグラスをもって来られました。
「乾杯・・・二人で酒を飲むのは初めてだね」
「そうですね・・・なんだか恥ずかしいような気がします・・・」
「それはどうしてかな?」
「どうしてでしょう・・・ルイス様は全然平気なのですね」
「いや?ものすごくドキドキしてるよ?触ってみる?」
ルイス様が私の手を握りましたが、私は反射的に手を引いてしまいました。
「どうして?」
「だって・・・ルイス様は・・・」
私はワインの力を借りて、学生時代に思っていたことを話しました。
ルイス様はとても悲しそうなお顔をされてぽつっと言われます。
「ビスクドールか・・・ガラスケースに並んでいるように見えていたんだね・・・それはこの顔が原因だね?」
「だって美し過ぎるから・・・」
「ジュリアから聞いたのだけど、なんだっけ・・・不治の病?男色?ああ、顔に傷ができたのかって言ってたって」
「アノヤロウ・・・」
「ルシア?」
「あっ・・・ごめんなさい。そのくらいのことが無いとルイス様と結婚できるはずが無いと思って・・・その時は本当にそう思って・・・ごめんなさい」
「謝る必要はないよ。それに君は私が優しい人間だと思ってくれているとも聞いたよ。嬉しかった・・・王宮では私は性格が悪いって言われているから。女王に取り入って出世しているとか、媚を売って好き勝手してるとかね・・・」
「そんな!」
「もう過去のことだから・・・でも君は私の気持ちを見抜いてくれたんだね。ありがとう、ルシア」
「ご苦労なさったのですね・・・」
「うん。だから君の言う通り私はこの顔で得をした事は一度もないんだ。自分ではこの顔が嫌いだしね。私の幼いころのあだ名は姫君だ。男なのに最低だろ?何を成功させてもこの顔のお陰だと言われた。成績で首席をとっても全部顔のお陰だと言われたんだ」
「悲しいですね」
「だから私はわざわざ王宮官吏の試験を受けた。これは不正が無いからね。でもいざ入ってみたら女王が押しかけてきて・・・結局顔のお陰で出世だよ。情けないよね」
「お辛かったですね」
「女なんてみんな私の顔だけが目当てなんだと思ってた。私の気持ちなんて誰も興味がないんだ。学生の頃、可愛いなって思ってた子に、貴方の横にいることがステータスなんだって言われたときは悲しかった。落としたハンカチを拾ってもらったとか、ふらついたときに手を取ってもらったとか・・・それは人として当たり前のことでしょ?無視する方がおかしい。でも私がやると意味が変わるんだ。そしてハンカチを拾ってやった子が、虐められて自主退学した。眩暈を起こして保健室まで運んだ子なんか、数か月後に一家で国を出て行ったんだぜ?」
「酷いですね・・・」
「私の顔は災いのもとだって思ったよ。だから恋なんてしたこともないし、そもそも女性を信じることができなかった・・・君に会うまではね」
「私に?」
「うん。初めて私を見た君の顔は、無だった。女性にそんな目で見られたのは初めてだったし、とにかく非は私にあったから懸命に謝ったんだけど、その時生まれて初めてこの人には嫌われたくないって思った」
「嫌ってなど・・・」
「嫌いという感情さえ持っていなかった。違う?」
「・・・・・・」
「敢えて誤解を恐れずに言うと、確かに君を・・・ルシア・オースティン伯爵令嬢と婚姻したいと思って申し込んだ結婚ではなかった。そこは一生かけて謝るけど・・・」
「いいえ、ご事情は十分理解しましたから・・・でも」
「でも?」
「もうルイス様は前王からも女王陛下からも解放されました。もう自由なんです。それなのに手段として選んだ女に縛られる必要は無いと・・・思って・・・私・・・」
「そうか、君は僕の自由意思を尊重してくれるということだね?」
「はい。ルイス様ならどこかの王族からでも喜んで嫁いで来られると思います。ですからルイス様がこの人とって思える女性をお探しになるべきだと・・・」
「そうか。それはこの顔があるから?」
「いいえ!確かにお顔は美しいです。美しいですが・・・ルイス様の御心はもっと美しいです・・・だから・・・」
ルイス様がそっと私の頬を撫でました。
私はまた泣いてしまったようです。
「この人はっていう女性を探せって言ったね」
「はい」
「実はもういるんだ。心に決めた愛する人がね」
「うっっっ・・・そりゃそうですよね・・・当たり前ですよね・・・ははは」
「でもね、まだ片思いみたい。なかなか分かってもらえない」
「その女性ってバカですか?ルイス様の気持ちが分からないなんて!私がルイス様の良さをビシッと言ってやりましょう!どこのご令嬢ですか?」
「君は私が愛した女性をバカだと言うの?」
「あっ!ごめんなさい!私ったら興奮してしまって」
「じゃあ君はバカってことになるよ?」
「わたし?」
「うん。私が結婚したいと心から望んでいる女性はルシア・エルランド小伯爵夫人だ。もう結婚しているのに、結婚したいって変だけど、本当の気持ちなんだよ」
「・・・・・・」
「君はこの顔に執着はないと言ったね?それに顔に傷があれば釣り合うとも」
「それは・・・」
ルイス様はニコニコ笑いながらポケットから小さなナイフを出しました。
そしてゆっくりと自分の頬に刃を当てて・・・
「いやっ!やめて!」
「なぜ?こうする以外に君にこの気持ちを伝える方法がない。愛してるんだルシア。どうか私を選んでほしい」
「やめてっ!やめてっ!ダメです!そんな!ダメです!」
私はナイフを握っているルイス様の手を自分の方に引き寄せようとしました。
お願いお願いお願いお願い!やめてやめてやめてやめて!
ルイス様の腕を握る私の手に、生暖かいものが触れます。
「血・・・」
誰かが飛び込んできてルイス様からナイフを奪いました。
羽交い絞めされているルイス様は私を見てそっと微笑みました。
アレンさんとリリさんが目の端に映ったような気がしましたが、私はルイス様の頬についた一本の赤い筋からはだらだらと溢れ出る血から目が離せませんでした。
目の前が暗くなり・・・そこからは覚えていません。
アレンさんが片眉を上げて言います。
「入学から一度も領地に帰らなかったツケですね。領民は成長した伯爵令息の顔を知らないから」
「一度帰ろうとしたら女王がついてきそうになったから。ああ忌々しい!どこまでも迷惑な女だな。死んだとき少し同情したが損した気分だ」
ノベックさんが楽しそうに言いました。
「じゃあちょいと行って狐男と狸女を攫ってこよう。軽く責めれば唄うだろうから狙いも分かる。まずはなぜ半年近くも居座っているのかを確かめることが先決だろう?」
ランディさんも楽しそうに続けます。
「城内にいるネズミも一掃した方がいいな。おそらく奴らは都合の悪い手紙は渡していないだろうから、こちらの作戦が成功していることを伯爵ご夫妻は知らないのだろう。今回は久々にノベックと組むか。ああ、マリーも来いよ。ネズミの駆除薬を頼む」
「はい!久々にご一緒できて嬉しいです!」
「ああ、今夜出れば明日には着くだろう。材料は揃うか?」
「百匹程度ならすぐに」
「十分だ。今回リリは留守番だが、捕獲した狐と狸の調教はお前に任せるから、今回は我慢しろ」
「了解しました」
アレンさんが肩を竦めて笑っています。
笑いごとなのでしょうか?たぶん・・・笑いごとなのでしょう
「旦那様とジュリア様は通常通りお仕事してくださいね。どこにネズミが潜んでいるか分からないので、あくまでも通常運転で。ランドルさんもノヴァさんも良いですね?」
四人は黙って頷きました。
「あの~私はどうすれば良いでしょうか?」
ルイス様が慌てて言いました。
「ここに居て!絶対にこの家で私の帰りを待っていて!」
ものすごい迫力に頷いてしまいました。
リリさんが私の横に来て言いました。
「お荷物は私が取ってきます。家出中とは存じますが、緊急事態ですのでご容赦ください。いったん保留ってことで」
「保留ですか・・・かなりの覚悟だったのですが」
「お察しします」
リリさんがニヤッと笑いました。
ルイス様は涙目でじっと私の顔を見ています。
ルイス様?そんな顔で見つめられると、愛されているような錯覚を起こしますよ?
私って思い込みが激しいタイプですので、迂闊なことをすると後悔しますよ?
「姉さん、人生は長い。焦る必要は無いさ」
ジュリアがそう言って私の肩をぽんぽんと叩いて帰っていきました。
明日も全員参加の会議だそうです。
私はアレンさんと一緒に皆さんのお食事を調達する係になりました。
ふと見ると、すでにノベックさんとランディさんとマリーさんの姿がありません。
お仕事の性質上、仕方がないとは思いますが、きちんと行ってきますのご挨拶ができないと、子供に尊敬される大人にはなれませんよ?
みんながいなくなって私とルイス様だけが部屋に残りました。
ちょっとドキドキします。
「ねえルシア。少し話さないか?」
「はい・・・」
ルイス様は私の手を取って、窓際に置かれたカウチに座りました。
肩が触れ合うほど近くに座るルイス様のお顔
あの頃より慣れたのでしょうか、吐くほどの緊張はしなくなりました。
それとも私の心臓に剛毛が生えたのでしょうか・・・嫌です。
静かにドアが開いて、アレンさんがチーズを、リリさんがワイングラスとデカンタを持ってきてくれました。
これは確かアリジゴク閉店時に残っていたワインです。
ルイス様が注いでくださり、私は一口コクっと飲みました。
「おいしい・・・」
原価は安いものですが、なかなか香りも良くおいしいワインです。
これに大量の塩を入れていたなんて、醸造家への冒涜ですね。
「ルイス様は召し上がりませんか?」
「うん・・・ワインはあまり良い思い出が無くてね。私はこちらの蒸留酒を」
立ち上がってサイドボードから琥珀色の蒸留酒とカットが美しいグラスをもって来られました。
「乾杯・・・二人で酒を飲むのは初めてだね」
「そうですね・・・なんだか恥ずかしいような気がします・・・」
「それはどうしてかな?」
「どうしてでしょう・・・ルイス様は全然平気なのですね」
「いや?ものすごくドキドキしてるよ?触ってみる?」
ルイス様が私の手を握りましたが、私は反射的に手を引いてしまいました。
「どうして?」
「だって・・・ルイス様は・・・」
私はワインの力を借りて、学生時代に思っていたことを話しました。
ルイス様はとても悲しそうなお顔をされてぽつっと言われます。
「ビスクドールか・・・ガラスケースに並んでいるように見えていたんだね・・・それはこの顔が原因だね?」
「だって美し過ぎるから・・・」
「ジュリアから聞いたのだけど、なんだっけ・・・不治の病?男色?ああ、顔に傷ができたのかって言ってたって」
「アノヤロウ・・・」
「ルシア?」
「あっ・・・ごめんなさい。そのくらいのことが無いとルイス様と結婚できるはずが無いと思って・・・その時は本当にそう思って・・・ごめんなさい」
「謝る必要はないよ。それに君は私が優しい人間だと思ってくれているとも聞いたよ。嬉しかった・・・王宮では私は性格が悪いって言われているから。女王に取り入って出世しているとか、媚を売って好き勝手してるとかね・・・」
「そんな!」
「もう過去のことだから・・・でも君は私の気持ちを見抜いてくれたんだね。ありがとう、ルシア」
「ご苦労なさったのですね・・・」
「うん。だから君の言う通り私はこの顔で得をした事は一度もないんだ。自分ではこの顔が嫌いだしね。私の幼いころのあだ名は姫君だ。男なのに最低だろ?何を成功させてもこの顔のお陰だと言われた。成績で首席をとっても全部顔のお陰だと言われたんだ」
「悲しいですね」
「だから私はわざわざ王宮官吏の試験を受けた。これは不正が無いからね。でもいざ入ってみたら女王が押しかけてきて・・・結局顔のお陰で出世だよ。情けないよね」
「お辛かったですね」
「女なんてみんな私の顔だけが目当てなんだと思ってた。私の気持ちなんて誰も興味がないんだ。学生の頃、可愛いなって思ってた子に、貴方の横にいることがステータスなんだって言われたときは悲しかった。落としたハンカチを拾ってもらったとか、ふらついたときに手を取ってもらったとか・・・それは人として当たり前のことでしょ?無視する方がおかしい。でも私がやると意味が変わるんだ。そしてハンカチを拾ってやった子が、虐められて自主退学した。眩暈を起こして保健室まで運んだ子なんか、数か月後に一家で国を出て行ったんだぜ?」
「酷いですね・・・」
「私の顔は災いのもとだって思ったよ。だから恋なんてしたこともないし、そもそも女性を信じることができなかった・・・君に会うまではね」
「私に?」
「うん。初めて私を見た君の顔は、無だった。女性にそんな目で見られたのは初めてだったし、とにかく非は私にあったから懸命に謝ったんだけど、その時生まれて初めてこの人には嫌われたくないって思った」
「嫌ってなど・・・」
「嫌いという感情さえ持っていなかった。違う?」
「・・・・・・」
「敢えて誤解を恐れずに言うと、確かに君を・・・ルシア・オースティン伯爵令嬢と婚姻したいと思って申し込んだ結婚ではなかった。そこは一生かけて謝るけど・・・」
「いいえ、ご事情は十分理解しましたから・・・でも」
「でも?」
「もうルイス様は前王からも女王陛下からも解放されました。もう自由なんです。それなのに手段として選んだ女に縛られる必要は無いと・・・思って・・・私・・・」
「そうか、君は僕の自由意思を尊重してくれるということだね?」
「はい。ルイス様ならどこかの王族からでも喜んで嫁いで来られると思います。ですからルイス様がこの人とって思える女性をお探しになるべきだと・・・」
「そうか。それはこの顔があるから?」
「いいえ!確かにお顔は美しいです。美しいですが・・・ルイス様の御心はもっと美しいです・・・だから・・・」
ルイス様がそっと私の頬を撫でました。
私はまた泣いてしまったようです。
「この人はっていう女性を探せって言ったね」
「はい」
「実はもういるんだ。心に決めた愛する人がね」
「うっっっ・・・そりゃそうですよね・・・当たり前ですよね・・・ははは」
「でもね、まだ片思いみたい。なかなか分かってもらえない」
「その女性ってバカですか?ルイス様の気持ちが分からないなんて!私がルイス様の良さをビシッと言ってやりましょう!どこのご令嬢ですか?」
「君は私が愛した女性をバカだと言うの?」
「あっ!ごめんなさい!私ったら興奮してしまって」
「じゃあ君はバカってことになるよ?」
「わたし?」
「うん。私が結婚したいと心から望んでいる女性はルシア・エルランド小伯爵夫人だ。もう結婚しているのに、結婚したいって変だけど、本当の気持ちなんだよ」
「・・・・・・」
「君はこの顔に執着はないと言ったね?それに顔に傷があれば釣り合うとも」
「それは・・・」
ルイス様はニコニコ笑いながらポケットから小さなナイフを出しました。
そしてゆっくりと自分の頬に刃を当てて・・・
「いやっ!やめて!」
「なぜ?こうする以外に君にこの気持ちを伝える方法がない。愛してるんだルシア。どうか私を選んでほしい」
「やめてっ!やめてっ!ダメです!そんな!ダメです!」
私はナイフを握っているルイス様の手を自分の方に引き寄せようとしました。
お願いお願いお願いお願い!やめてやめてやめてやめて!
ルイス様の腕を握る私の手に、生暖かいものが触れます。
「血・・・」
誰かが飛び込んできてルイス様からナイフを奪いました。
羽交い絞めされているルイス様は私を見てそっと微笑みました。
アレンさんとリリさんが目の端に映ったような気がしましたが、私はルイス様の頬についた一本の赤い筋からはだらだらと溢れ出る血から目が離せませんでした。
目の前が暗くなり・・・そこからは覚えていません。
105
あなたにおすすめの小説
私が生きていたことは秘密にしてください
月山 歩
恋愛
メイベルは婚約者と妹によって、崖に突き落とされ、公爵家の領地に倒れていた。
見つけてくれた彼は一見優しそうだが、行方不明のまま隠れて生きて行こうとする私に驚くような提案をする。
「少年の世話係になってくれ。けれど人に話したら消す。」
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
婚約破棄された堅物令嬢ですが、鬼の騎士団長の娘として宮廷の陰謀を暴くのに忙しいので、美貌のカストラート(実は王子)に溺愛される暇はありません
綾森れん
恋愛
「お前のような真面目くさった女はいらない。婚約は破棄させてもらう!」
婚約者だった公爵令息に冷酷に言い放たれたリラ・プリマヴェーラ。
だが、彼女の心にあったのは悲しみではなく―― 十年前の王族暗殺事件を調査したいという情熱だった。
伯爵令嬢であるリラは、鉄の掟を守る『鬼の騎士団長』の娘。
彼女には恋よりも何よりも優先すべき使命があった。それは、十年前に幼い王子が暗殺された事件の真相を暴き、父を、そして王国を陰謀から救うこと。
婚約破棄直後、彼女の前に現れたのは、天使の歌声を持つ美貌のカストラート(去勢歌手)、アルカンジェロだった。
彼が十年前の事件について密かに調べていることを、リラは知ってしまう。
真相を探るため、リラは彼を自分の音楽教師として迎え入れ、距離を縮めていく。
事件解決の協力者として彼と接するうち、リラは謎めいたアルカンジェロに危機を救われることになる。
しかし、リラは知らない。
アルカンジェロの正体が、十年前に暗殺されたはずの第三王子であることを。
そして彼にとってリラこそが、初恋の女性であることを。
彼は十年間、密かにリラを想い続けていたのだ。
王位を狙う者たちから身を隠すため、声楽の技術を駆使して、教会歌手として大聖堂で生き延びてきたアルカンジェロだったが、王家を巡る不穏な陰謀が静かに動き始めていた。
捜査に猪突猛進な堅物令嬢と、彼女を影から支え執着を見せる、カストラート歌手のふりをした王子。
宮廷の闇を切り裂く二人の恋と事件の行方は――?
※本作は、過去に投稿していた『真面目くさった女はいらないと婚約破棄された伯爵令嬢ですが、王太子様に求婚されました。実はかわいい彼の溺愛っぷりに困っています』の設定・キャラクター・構成を大幅に改稿し、新作として再構成したものです。
物語の結末やキャラクターの掘り下げを強化しておりますので、初めての方も、以前お読みいただいた方もお楽しみいただけます。
なりゆきで妻になった割に大事にされている……と思ったら溺愛されてた
たぬきち25番
恋愛
男爵家の三女イリスに転生した七海は、貴族の夜会で相手を見つけることができずに女官になった。
女官として認められ、夜会を仕切る部署に配属された。
そして今回、既婚者しか入れない夜会の責任者を任せられた。
夜会当日、伯爵家のリカルドがどうしても公爵に会う必要があるので夜会会場に入れてほしいと懇願された。
だが、会場に入るためには結婚をしている必要があり……?
※本当に申し訳ないです、感想の返信できないかもしれません……
※他サイト様にも掲載始めました!
プロローグでケリをつけた乙女ゲームに、悪役令嬢は必要ない(と思いたい)
犬野きらり
恋愛
私、ミルフィーナ・ダルンは侯爵令嬢で二年前にこの世界が乙女ゲームと気づき本当にヒロインがいるか確認して、私は覚悟を決めた。
『ヒロインをゲーム本編に出さない。プロローグでケリをつける』
ヒロインは、お父様の再婚相手の連れ子な義妹、特に何もされていないが、今後が大変そうだからひとまず、ごめんなさい。プロローグは肩慣らし程度の攻略対象者の義兄。わかっていれば対応はできます。
まず乙女ゲームって一人の女の子が何人も男性を攻略出来ること自体、あり得ないのよ。ヒロインは天然だから気づかない、嘘、嘘。わかってて敢えてやってるからね、男落とし、それで成り上がってますから。
みんなに現実見せて、納得してもらう。揚げ足、ご都合に変換発言なんて上等!ヒロインと一緒の生活は、少しの発言でも悪役令嬢発言多々ありらしく、私も危ない。ごめんね、ヒロインさん、そんな理由で強制退去です。
でもこのゲーム退屈で途中でやめたから、その続き知りません。
白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます
時岡継美
ファンタジー
初夜に旦那様から「白い結婚」を言い渡され、お飾り妻としての生活が始まったヴィクトリアのライフワークはなんとダンジョンの攻略だった。
侯爵夫人として最低限の仕事をする傍ら、旦那様にも使用人たちにも内緒でダンジョンのラスボス戦に向けて準備を進めている。
しかし実は旦那様にも何やら秘密があるようで……?
他サイトでは「お飾り妻の趣味はダンジョン攻略です」のタイトルで公開している作品を加筆修正しております。
誤字脱字報告ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる