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【第1章 】 顔を隠して、声だけで世界とつながるはじまり
3 初めてのマイク、揺れる心
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あれから、叔父に「ちょっと試してみようかな……」と伝えた翌日。
叔父は早速、機材の入ったダンボールを俺の部屋へ放り込んできた。中身は中古のオーディオインターフェイス、コンデンサーマイク、そこそこのスペックのPC――全部彼が昔、海外の友人にもらったり自分で買ったりした余り物らしい。
「PCのセッティングは大丈夫か? わからなけりゃ教えるぞ」
「まあ……やってみる」
ネットやPCの操作にはそこそこ慣れている。アニメも配信サイトでよく観るし、軽い編集ならアプリでやったりしていた。こういう時、引きこもりでも“ネット世界”での経験だけは豊富なのが役に立つ。
ごちゃごちゃと配線をつなぎ、テスト配信をしてみて、自分の声を録音してみる。ヘッドホンから返ってくる自分の声は、やけに生々しくて気恥ずかしい。
――どこか、幼い頃から指摘されていた「女の子っぽい」要素が混ざっているように感じる。それが嫌で嫌でたまらない……はずだった。けれど不思議なことに、少し角度を変えて聴いてみると、「意外と悪くないかも」なんて思ってしまう瞬間もある。
「でも、どうしよう……最初に何を話そうかな。配信ってどんな感じで始めればいいんだ?」
他のVの初配信を参考にしようと、いくつかアーカイブを回してみる。
「こんにちわー!」と元気に挨拶して、自己紹介や好きなものを淡々と語って、最後に今後の活動予定をちらっと話す――大雑把にはそんな流れのようだ。
だが、俺はアニメやマンガの雑談ならいくらでも語れるのに、自分自身を紹介するとなると、途端に言葉が出てこない。
なぜ不登校なのか、なぜ顔出しNGなのか――そういうコアな部分は、いきなり語るには重すぎる気がする。そもそも誰も興味ないかもしれないし……。
「でも、声だけなら……やれるか」
空っぽのPCモニターに映るライブ画面。まだ“配信オフ”の状態で、視聴者なんてゼロだ。俺は静かに息を呑む。この数十分後、見ず知らずの誰かが、俺の声を“視聴”してくれるかもしれない。
ドキドキと鼓動が高鳴る。怖い。でも、わずかに高揚している自分もいる。
思わず呟いた。
「昔のアニメでこんなセリフあったよな……“逃げちゃだめだ、でも逃げるのもアリだ”って。矛盾だけど、俺、今はどっちだろう。逃げてるのか、挑戦してるのか……」
自分の声がヘッドホンの奥で反響する。かすかに震えているようにも聞こえる。それでも、次の瞬間には配信ソフトの「Start」ボタンをクリックしていた。
まるで、深いプールに足を沈めるような、ちょっとした恐怖と期待。その両方を抱えて、俺の“声だけの世界”が動き出す。
叔父は早速、機材の入ったダンボールを俺の部屋へ放り込んできた。中身は中古のオーディオインターフェイス、コンデンサーマイク、そこそこのスペックのPC――全部彼が昔、海外の友人にもらったり自分で買ったりした余り物らしい。
「PCのセッティングは大丈夫か? わからなけりゃ教えるぞ」
「まあ……やってみる」
ネットやPCの操作にはそこそこ慣れている。アニメも配信サイトでよく観るし、軽い編集ならアプリでやったりしていた。こういう時、引きこもりでも“ネット世界”での経験だけは豊富なのが役に立つ。
ごちゃごちゃと配線をつなぎ、テスト配信をしてみて、自分の声を録音してみる。ヘッドホンから返ってくる自分の声は、やけに生々しくて気恥ずかしい。
――どこか、幼い頃から指摘されていた「女の子っぽい」要素が混ざっているように感じる。それが嫌で嫌でたまらない……はずだった。けれど不思議なことに、少し角度を変えて聴いてみると、「意外と悪くないかも」なんて思ってしまう瞬間もある。
「でも、どうしよう……最初に何を話そうかな。配信ってどんな感じで始めればいいんだ?」
他のVの初配信を参考にしようと、いくつかアーカイブを回してみる。
「こんにちわー!」と元気に挨拶して、自己紹介や好きなものを淡々と語って、最後に今後の活動予定をちらっと話す――大雑把にはそんな流れのようだ。
だが、俺はアニメやマンガの雑談ならいくらでも語れるのに、自分自身を紹介するとなると、途端に言葉が出てこない。
なぜ不登校なのか、なぜ顔出しNGなのか――そういうコアな部分は、いきなり語るには重すぎる気がする。そもそも誰も興味ないかもしれないし……。
「でも、声だけなら……やれるか」
空っぽのPCモニターに映るライブ画面。まだ“配信オフ”の状態で、視聴者なんてゼロだ。俺は静かに息を呑む。この数十分後、見ず知らずの誰かが、俺の声を“視聴”してくれるかもしれない。
ドキドキと鼓動が高鳴る。怖い。でも、わずかに高揚している自分もいる。
思わず呟いた。
「昔のアニメでこんなセリフあったよな……“逃げちゃだめだ、でも逃げるのもアリだ”って。矛盾だけど、俺、今はどっちだろう。逃げてるのか、挑戦してるのか……」
自分の声がヘッドホンの奥で反響する。かすかに震えているようにも聞こえる。それでも、次の瞬間には配信ソフトの「Start」ボタンをクリックしていた。
まるで、深いプールに足を沈めるような、ちょっとした恐怖と期待。その両方を抱えて、俺の“声だけの世界”が動き出す。
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