運命なんて知らない[完結]

ななな

文字の大きさ
37 / 54

1%

しおりを挟む
今日は雪に会いに行く日だ。
話があるって言うけどなんの話をされるのだろう。
あの日は荷物だけ置いて帰ってしまったけどちゃんと話せば良かった。
本当は会いたかった。
側に居たかった。
でも、あまりにも唐突な雪の願いは俺には絶対叶えられないことでどうしてもいいか分からなかった。
血が繋がってないことが分かって、雪とずっと一緒にいれるかもしれない1%の希望があっさり消えてしまった。
少しでも喜んだ自分が馬鹿みたいだ。
沈んだ気持ちのまま、朝ご飯も食べず家を出た。
会いたいけど会いたくない。
そもそも、俺がこんな気持ちを抱かなければよかったんだ。
そんなことはきっと無理だっただろうけど。
過去の自分に言っても、きっと変わらないままだろう。
やっぱり雪に会いたい。
会って話を聞いてから、考えよう。
電車から降りて、病院まで歩く。
朝から雪が降っていて、歩くのが大変だ。
雪は嫌いじゃないけど、こんな日に降られるとちょっと困る。
受付を済ませ、面会カードを首に下げ雪の元に向かう。
いつ行くのか連絡をするのを忘れてた。
とりあえず、そろそろ着くと送信してなるべくゆっくり病室に行った。
あの日のようにドアを開いていない。
緊張しながら、ノックをする。
返事が来るのを待っていたけどいくら待ってもこない。
緊張してるからか時間が長く感じているのだろうか。
どんな顔をして会えばいいのか。
雪が番が欲しいと言った時どう返したらいいのか。
そんなことをぐるぐる考えていたけどあまりにも、長い時間を過ごした気がしてドアを開ける。
ベットの方を見ると寝ている雪がいた。
寝顔は穏やかで起こすのが申し訳ないくらいだ。
近くにあった椅子に座り、しばらく顔を眺めてたけど、何となく自分がキモいなって思ってやめた。
雪の胸元には貸した小説があった。
読みながら、寝てしまったのがすぐに分かった。
雪が誕生日にくれた小説。
主人公の親友の事故で失った記憶が一部蘇るところから始まる。
小さな違和感が大きくなり、事故じゃなくて事件だと気づく。
何も知らなかった自分を憎む主人公。
全てを理解して後悔する親友。
お互いに起きた出来事は対象的なのに、主人公と親友の気持ちは似ていて自分の気持ちをわかってくれるのは自分達だけ。
そんなように依存していく。
愛し合った人も、血の繋がった家族も全て捨てて二人で自分達を知ってる人がいないところに行くという終わりかた。
もし、雪と二人で何処かに行けるなら。
それは、自分にとって想像できないくらい幸せなんだろう。
雪と2人きりで誰も知らない街に行く。
非現実的で届かないのに手を伸ばしたくなるような夢だ。
雪が気づいてくれたら出来るかもな。
雪も同じ気持ちだったら良かったのに。
そんなこと絶対に無いって知った後だから辛い。
早く起きて、ちゃんと話を聞かせて。
そしたら、諦められるから。
雪と一緒にいることは諦めるから。
きっと気持ちは変わらないままだけど。





しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

流れる星、どうかお願い

ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる) オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年 高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼 そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ ”要が幸せになりますように” オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ 王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに! 一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが お付き合いください!

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

【完結】言えない言葉

未希かずは(Miki)
BL
 双子の弟・水瀬碧依は、明るい兄・翼と比べられ、自信がない引っ込み思案な大学生。  同じゼミの気さくで眩しい如月大和に密かに恋するが、話しかける勇気はない。  ある日、碧依は兄になりすまし、本屋のバイトで大和に近づく大胆な計画を立てる。  兄の笑顔で大和と心を通わせる碧依だが、嘘の自分に葛藤し……。  すれ違いを経て本当の想いを伝える、切なく甘い青春BLストーリー。 第1回青春BLカップ参加作品です。 1章 「出会い」が長くなってしまったので、前後編に分けました。 2章、3章も長くなってしまって、分けました。碧依の恋心を丁寧に書き直しました。(2025/9/2 18:40)

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

ジャスミン茶は、君のかおり

霧瀬 渓
BL
アルファとオメガにランクのあるオメガバース世界。 大学2年の高位アルファ高遠裕二は、新入生の三ツ橋鷹也を助けた。 裕二の部活後輩となった鷹也は、新歓の数日後、放火でアパートを焼け出されてしまう。 困った鷹也に、裕二が条件付きで同居を申し出てくれた。 その条件は、恋人のフリをして虫除けになることだった。

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

君と僕との泡沫は

七天八狂
BL
【ツンデレ美貌✕鈍感平凡の高校生】 品行方正才色兼備の生徒会長と、爪弾きの底辺ぼっちが親の再婚で義兄弟となった青春BLドラマ。 親の再婚で義兄弟となった正反対の二人の青春BL。 入学して以来、ずっと見つめ続けていた彼が義兄弟となった。 しかし、誰にでも親切で、みなから慕われている彼が向けてきたのは、拒絶の言葉だった。 櫻井優斗は、再婚を繰り返す母のせいで引っ越しと転校を余儀なくされ、友人をつくることを諦め、漫画を描くという趣味に没頭し、孤独に生きていた。 高校で出会った久我雅利の美貌に見惚れ、彼を主人公にした漫画を描くことに決めて、二年間観察し続けていた。 底辺ぼっちだった優斗は、周りから空気のように扱われていたから、見えない存在として、どれほど見ていても気づかれることはなかった。 そのはずが、同じ屋根の下に住む関係となり、当の本人に、絵を描いていたことまでもがバレてしまった。

【完結】恋人になりたかった

ivy
BL
初めてのキスは、 すべてが始まった合図だと思っていた。 優しい大地と過ごす時間は、 律にとって特別で、 手放したくないものになっていく。 けれど……

処理中です...