運命なんて知らない[完結]

ななな

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本を読み直していた。
霜が来た時にちゃんと話せるように。
だけど気がついたら寝ていた。
いきなり、目が覚める感覚に瞼が少し開く。
まだ慣れない白い天井が目に入る。
部屋は少し薄暗い。

「起きた?」

驚いて体がビクッとなった。
「霜、きてたの?起こせば良かったのに」
「あんまり、気持ちよさそうに寝てるから」
いつものような会話。
いつもより、優しく喋る霜。
「霜、なんかあった?」
元気がないように見えるのは気のせいだろうか。
「ちょっとね。でも、これからちゃんと解決するから大丈夫」
そう言っているけど、僕にはわかった。
辛いことがあると、目を細めて首を傾げる癖。
あんまりにも分かりやすくやるからちょっと心配になった。
「僕に何か出来ることあったら言ってね。こんなんだけど、一緒にいるくらいは出来るから」
「うん」
それだけだったけど、嬉しいんだって事は分かった。
「霜、あのね」
「俺と雪は双子じゃない」
「うん。でも、僕はそんなの関係ないと思うし、これからも霜と入れたらって」
「俺も雪とこれからもずっと入れたらいい。でも、その前に前にも聞いた事聞いてもいい?」
「うん」
「雪は今、好きな人いる?」
なんでそんなことを聞くのだろう。
もう、誰でもいいから番を作るって決めたのに。
どうして今なの。
決心が揺らいじゃうじゃないか。
期待したくなってしまう。
なんて言えばいいのか。
言葉が出て来ない。
上手く伝わらなかったら間違えたとかで誤魔化せて、それでいて上手くいったらそのまま過ごせるような言葉を探してる。
そんなものないのに。
「その沈黙はそういうこと?」
そういうことってどういうことだよ。
「僕に好きな人がいたとしてなんでそんなの知りたいの」
「雪が番欲しいって聴いたから」
「何それ。別に好きな人じゃなくても番に
なれるじゃん」
「運命より好きな人と一緒に居たいって言ってたのは」
なんで、昔のこと言うの。
昔の僕は夢見がちで何も気にしてなかったからだよ。
こんな風になるなんて思わなかった。
「今は違うから」
「いきなりすぎる。なんで番欲しいの」
霜に迷惑かけたくないから。
そんなこと言ったら霜は傷つく。
だって、霜に迷惑かけるからって突き放せされた時、僕は傷ついた。
そんなこと気にしなくてもいいのにって思った。
霜が1番大事だから。
自分よりも当たり前に霜が大切だから。
迷惑かけたくない。
迷惑だなんて思ってないと思う。
でも、僕がダメなんだ。
我儘だって分かってるけど。
ダメだ。言い訳が思いつかない。
発情期ヒート来るのつらいし、年齢的にも?」
「年齢ってまだ21歳じゃん。ふざけて
る?」
やっぱり、年齢はダメだよね。
「年齢は嘘。でも、発情期ヒートがつらいのは本当」
発情期ヒートが来るだけで霜を心配させてしまう。
「そっか。でも、俺、そんなんじゃ納得できないよ」
「ちゃんと雪が選んだいい人で一生側にいれる自信があるような人じゃないと」
「その辺は大丈夫。霜の先輩のお墨付きの人紹介してくれるって」
「そういうことじゃない」
「霜。この話は終わり。もう僕が話すことはないよ」
これ以上、話したらきっとバレてしまう。
霜はただでさえ、僕の理解度が高いんだ。
それにその顔をされたらボロボロ話してしまいそうだ。
首を傾げて目を細める顔は不満があったりつらい時にする顔。
分かってるから僕は話せないんだ。
「霜、僕も聞きたいことある。霜は番とか考え...」
「ごめん。その先は今、聞く余裕ない」
「そっか。僕の方こそごめん」
聞かれたくないこともあるよね。
僕も言わなかったし。
しょうがない。
「ちょっと先輩に会ってきてもいい?」
「いいけど。もう、行っちゃうの」
「...やっぱり、もう少しだけいる」
「本当!?霜に話たいこといっぱいあるから嬉しい」
ずっと、喋りたかった。
会いたかった。
やっぱり霜がいないなんて僕には想像できない。
離れることもむずかしい。
それでも、お互いのために少しずつ慣れなきゃ。
大丈夫だ。
僕も墓場まで持っていけるよ。
寂しいって気持ちも何もかも全部持って行かないと。



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