運命なんて知らない[完結]

ななな

文字の大きさ
45 / 54

好きだよ(後編)

しおりを挟む
「好きだよ。雪」
どんな風に何度伝えても意識されることはない。
「僕も」
当たり前にすぐ返ってくる。
安心するけど、何かが足らない。
どうしたら伝わるんだろう。
好きなことが当たり前な関係にも困る。
好きだと言っても照れもしない。
こっちは言われただけで期待するのに。
「雪、好きになっちゃいけない人を好きになったらどうする?」
俺はどうしたらいいのか。
雪の返答次第だ。
「まさか...先生?」
「違うよ。例えばの話」
「えー...難しい。好きになっちゃいけない人?うーん。場合にもよるけどね」
「じゃあ、先生とか」
「先生?先生なら...卒業まで好きでいれたら告白とか?」
先生が好きだとしたら、可能性はほんの少しはあるだろう。
だって、他人だから。血の繋がってない人だ。でも、俺は血の繋がった兄弟を好きになってる。こんなのおかしいんだ。
ずっと一緒いるのに、ずっと側に居たくてそれだけじゃ足りなくなる。
ずっと好きで、嫌いになんてなれない。
一緒にいればいるほど好きだと思ってしまう。それと、同時に両思いになる事はない事実が胸を締め付ける。
「...でも、告白なんてしないだろうな。先生と生徒でしょ?先生だって困るだろうし、それに先生の将来とか考えたらしない。好きな人が自分のせいで好きな事出来なくなるのは嫌かな」
雪らしい答え。よく考えているなと思う。俺は自分が雪の側にいる事ばかり考えて雪がどうしたいのかなんて考えたことなかった。
「もし、諦められなかったら?」
「ずっと好きでいればいいんじゃない?好きってだけなら相手に迷惑かかる事は無いし」
「そんなの辛いよ」
気づけば気持ちが溢れてしまった。
「......本当に誰か好きな人がいるみたい。霜に好かれる人は幸せだね。こんなに思われてて」
本当にそうだったらいいのに。
大切にするから、幸せにするから、好きになってよ。
せき止めるように何度も瞬きをしたけど、もう、溢れて頬が濡れる。
「...そうかな」
「え、霜...泣いて...。えっと...僕、ごめん」
「雪のせいじゃないから、雨のせい」
本当は雪のせい。
諦めきれないのも、好きになったのも全部雪のせい。
慰めだって分かってるのに、そんなの期待する。
ずっと曖昧な癖して、俺が喜ぶ事を弱ってる時に限って言う。きっと、本人にはそんなつもりないけど。
好きと伝えることは無い。
振られるとか、疎遠になるのは耐えられないから。
もし、好きになってくれたら。
雪から伝えてくれないと、俺は言えない。
だから、いつか、好きだと言わせて欲しい。

あの時の願いは叶いそうもなくて、それどころか側にいる事すら出来そうにない。
過去の俺に忠告したい。
そんな期待はするなと。
きっと忠告を聞いても、聞かなくても雪を好きなのは今も昔も変わらずに好きなんだろうけど。








しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

流れる星、どうかお願い

ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる) オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年 高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼 そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ ”要が幸せになりますように” オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ 王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに! 一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが お付き合いください!

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

【完結】言えない言葉

未希かずは(Miki)
BL
 双子の弟・水瀬碧依は、明るい兄・翼と比べられ、自信がない引っ込み思案な大学生。  同じゼミの気さくで眩しい如月大和に密かに恋するが、話しかける勇気はない。  ある日、碧依は兄になりすまし、本屋のバイトで大和に近づく大胆な計画を立てる。  兄の笑顔で大和と心を通わせる碧依だが、嘘の自分に葛藤し……。  すれ違いを経て本当の想いを伝える、切なく甘い青春BLストーリー。 第1回青春BLカップ参加作品です。 1章 「出会い」が長くなってしまったので、前後編に分けました。 2章、3章も長くなってしまって、分けました。碧依の恋心を丁寧に書き直しました。(2025/9/2 18:40)

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

ジャスミン茶は、君のかおり

霧瀬 渓
BL
アルファとオメガにランクのあるオメガバース世界。 大学2年の高位アルファ高遠裕二は、新入生の三ツ橋鷹也を助けた。 裕二の部活後輩となった鷹也は、新歓の数日後、放火でアパートを焼け出されてしまう。 困った鷹也に、裕二が条件付きで同居を申し出てくれた。 その条件は、恋人のフリをして虫除けになることだった。

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

君と僕との泡沫は

七天八狂
BL
【ツンデレ美貌✕鈍感平凡の高校生】 品行方正才色兼備の生徒会長と、爪弾きの底辺ぼっちが親の再婚で義兄弟となった青春BLドラマ。 親の再婚で義兄弟となった正反対の二人の青春BL。 入学して以来、ずっと見つめ続けていた彼が義兄弟となった。 しかし、誰にでも親切で、みなから慕われている彼が向けてきたのは、拒絶の言葉だった。 櫻井優斗は、再婚を繰り返す母のせいで引っ越しと転校を余儀なくされ、友人をつくることを諦め、漫画を描くという趣味に没頭し、孤独に生きていた。 高校で出会った久我雅利の美貌に見惚れ、彼を主人公にした漫画を描くことに決めて、二年間観察し続けていた。 底辺ぼっちだった優斗は、周りから空気のように扱われていたから、見えない存在として、どれほど見ていても気づかれることはなかった。 そのはずが、同じ屋根の下に住む関係となり、当の本人に、絵を描いていたことまでもがバレてしまった。

【完結】恋人になりたかった

ivy
BL
初めてのキスは、 すべてが始まった合図だと思っていた。 優しい大地と過ごす時間は、 律にとって特別で、 手放したくないものになっていく。 けれど……

処理中です...