あたし、料理をする為に転生した訳ではないのですが?

ウサクマ

文字の大きさ
1 / 122
プロローグ

正気値チェックはいりません

しおりを挟む
『残念ながらお2人の人生は終わってしまいました』

このお姉さんは唐突に出てきて何を言ってるんでしょうか……

辺りを見渡してみたら真っ白い空間に意味不明なお姉さんと全裸の兄……あたしも裸だった!

でもお姉さんは同姓だし兄になら見られても構わない……というかガン見してもいいんですよ?

まあ兄の視点ならきっと謎の光が恥ずかしい部分を隠してるんでしょうね、お約束ですし。

兄以外だったら両目を潰した後で記憶が消えるまで頭を強打し続けていた所です。

『あの……話を続けてもいいでしょうか?』

あ、どうぞ……って声が出ない?何故?ホワイ?

『お2人は今魂だけの存在となっていますからね、心配せずとも思考で会話は可能です』

つまりさっきまであたしが考えてた事も筒抜けだったと……お恥ずかしい限りです。



『まずお2人の死因ですが、カクカクシカジカ』

長かったので大雑把に纏めると

・万年平社員どころか実は窓際族だった父が遂にリストラを言い渡されて

・自分がこんな目に合ってるのはお前のせいだと母に八つ当たりして

・包丁を持ち出した所にあたしと兄が帰ってきて

・そのまま3人揃って殺されてしまった

『はい、それで合ってます』

あまりの内容に兄も落ち込んでしまいました……

思えば父に振り回されてただけの人生でしたね……あたしも泣きたいです。

『一応伝えておきますがその父親はすぐに捕まえられて終身刑になります、死後も私が責任を持って罰を与えておきましょう』

それは徹底的にお願いします。

そういえば母はどうなったのでしょうか?

『母親は先に来ましたので、今は生まれ変わる手続きをして……本人の希望が通ったのでペルシャになるそうです』

そういえば母は猫が好きでしたね……今度は悪い男、猫なら雄?に引っかからない様に祈ってます。



『ではお2人の処遇なのですが』

まあそうですよね……いつまでもここに居る訳にはいかないでしょうし。

生まれ変われるのなら今度こそ兄と恋人になりたい。

『……異世界って興味あります?』

……は?




で、またカクカクシカジカな説明を聞いた所……

・目の前に居る女神は昇神試験とやらで新しく1つの世界を作る事になって

・ある程度の生物や人類が繁殖して軌道に乗ったのはいいけれど

・同じ試験を受けてる他の女神の妨害でそれまでに見た事のないモンスターなんかが蔓延る様になってしまったので

・それを駆除してくれる人を探しておりました

『大体そんな感じです、一応言っておくと魔王とかドラゴンとか、そういう物騒な存在は居ないのでそこは安心して下さい』

そんなの戦えと言われても絶対に無理だし、居ないならそれで良いです。

『あ、勿論引き受けて下さるんならこちらの方である程度戦える様にしますので』

おっと、兄の目がギラギラと輝いていますね。

シチュエーション的に男子が好きそうな話ですからね……かくいうあたしもラノベとか好きなんで気持ちは分かります。

まあ兄がやるというならあたしが断る理由はありませんけど……他の世界から人材を引っ張ってきて試験は大丈夫なのですか?

『ああ、最高神であるヨグソ様からは1神ひとりにつき5人までなら許すと言われてますので』

どうやら大丈夫らしい……随分と大らかな試験ですね、日本と違って。

って名前あるんですね?まあ当たり前ですけど。

因みに女神様はどんなお名前で?

『そういえば名乗っていませんでしたね……私はトゥグアと申します、炎と愛を司っています』

トゥグア……炎属性……もしかして妨害してくる女神ってニャルラ~とかナイアルラ~とかいう名前だったりします?

『ええ、最も可能性が高いのはアルラという女神なのですが……よく知っていましたね?お2人の世界では信仰されてないと思っていたのですが』

確かに信仰はされてないですね……熱狂的なファンは居ましたけど。

主にラスボス的な意味で。

『……何故か深く聞いてはいけない気がするので追求はしませんね?』




そんなこんなで戦える力と最低限の装備と通貨を貰って……

兄は剣を使いたいと言ってた様ですが狙撃手になってました。

『私の場合その人の適性を見極めて、最も適した職業を自動で付けてしまうらしくて……ご希望に添えなかったら申し訳ありません』

と言ってたのできっと兄は弓とか銃の才能があったのでしょう……これから行く世界に銃はないらしいけど。

因みにあたしは攻撃魔法とか使ってみたかったのですが、回復や支援の方が向いているらしくヒーラーでした……ちくせう。



『では最後に、引き受けて下さったお礼に何か望みがあれば叶えましょう』

天使か……おっと、女神様でした。

とてもラスボスになりかねないアレと同じ名前な女神とは思えませんね。

向こうの世界に行ったら毎晩お祈り捧げなきゃ(使命感)。

で、兄が最初にチートな武器を願った様ですけど却下されてました。

魂だけなせいか兄の声が聞こえないので女神様から又聞きですがそんな感じだったらしいです。

『余りに強過ぎる力は人々に恐怖を与えてしまいます、貴方は魔王になりたいのですか?』

デスヨネー……強過ぎる力は避けられるか、恐れられるか、どの道ロクな目に合わないでしょう。

目立たずひっそりと2人きりで生きていけるのが最上です。




代わりに願ったのはこれから行く世界の地図と言語に大きめの鞄だそうです。

確かに地図はあるに越した事はないし鞄も便利だし、言葉が通じないのはマズイですね……失念してました。

『それなら大丈夫ですよ、私の世界の文字は全て片仮名ですし言葉もそのままで通じますから』

日本語通じるんですか!?

しかもカタカナだけというのは有難いですね……兄は漢字が大の苦手ですから。

因みに地図に書かれていたのは兵庫県を拡大した様な大陸と……海しかありませんでした。




『次に貴方の望みはありますか?あ、バストサイズ以外でお願いします』

いきなり第2候補を潰されたんですがそれは……というか女神様もあたしと大差ないですよね?

因みにあたしのバストは69……AAですね。

『私は72です……そちらの世界で言うとAですね』

おお……まさか女神様が持たざる者の悩みを持つ同志だったとは。

兄は何故か顔を赤くして耳を塞いでますが、女神様がわざわざ教えてくれてるんですから聞いておいて損はないでしょう。

まあいいです、兄が胸の大きさで異性を見ないのはベッドの下にあったエッチな本の内容で分かってますし。

何で知ってるのかって?あたしが兄の全てを知りたいからですよ。

内容の8割は兄が妹を対象に口説いていくギャルゲーの薄い本であるのも把握済です。

では改めて、あたしの望みは……兄と恋人になってから結婚したいです。

『はい、いいですよ』

女神か……おっと、女神様でした。

『実は私、こういうラブコメ話が大好物なんです……なので応援しますよ』

いやー食べられちゃうー(棒読み)

という冗談はさておき女神様の応援とあらばたっぷり見せ付けて差し上げなければいけませんね。

あたし、今から女神トゥグア様の信者になります(確定)。

『ですがあの世界で結婚できるのは男女共に16歳からとなっていますので、後2年程待って頂く事になりますが』

兄と結婚出来るんならそれぐらい待ちますとも!

あ、でも言っておいて何ですけど近親婚とか、生まれる子供とか問題になったりしませんか?

『元々あの世界に送る際に肉体を再構成する必要がありますし、その際に遺伝子なんかを操作するだけなので手間はありませんよ』

うん、もうトゥグア様に足向けて寝れないです。

いっそ今から行く世界の住民全員をトゥグア様の信者にしましょう。

心なしか兄も嬉しそうですからね……嬉しくないとか言ったらお仕置きしますけど。

『余談ですが私の世界は一夫多妻は勿論、多夫一妻や同姓婚、異種族婚も認めています……子供もちゃんと出来ますよ』

愛も司ってると聞いてはいましたけど懐が広過ぎですよトゥグア様!?

というか多夫一妻なんて初めて聞きましたよ!

そして兄よ……一夫多妻という一言に反応があったのは見逃してませんからね?

浮気はギルティです、慈悲?必要ありません。

あ、でも二次元はセーフですから安心して下さい。



『それでは宜しくお願い致します…お2人の人生に今度こそ幸福を』

今度こそという部分に引っかかる物はあるけど実の父に殺された身では否定も出来ないので素直に祝福されましょう。

お礼にしっかりとトゥグア様の信者を増やしておきます。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました

小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。 しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!? 助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、 「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。 幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。 ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく! ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー

病弱少女、転生して健康な肉体(最強)を手に入れる~友達が欲しくて魔境を旅立ちましたが、どうやら私の魔法は少しおかしいようです~

アトハ
ファンタジー
【短いあらすじ】 普通を勘違いした魔界育ちの少女が、王都に旅立ちうっかり無双してしまう話(前世は病院少女なので、本人は「超健康な身体すごい!!」と無邪気に喜んでます) 【まじめなあらすじ】  主人公のフィアナは、前世では一生を病院で過ごした病弱少女であったが……、 「健康な身体って凄い! 神さま、ありがとう!(ドラゴンをワンパンしながら)」  転生して、超健康な身体(最強!)を手に入れてしまう。  魔界で育ったフィアナには、この世界の普通が分からない。  友達を作るため、王都の学園へと旅立つことになるのだが……、 「なるほど! 王都では、ドラゴンを狩るには許可が必要なんですね!」 「「「違う、そうじゃない!!」」」  これは魔界で育った超健康な少女が、うっかり無双してしまうお話である。 ※他サイトにも投稿中 ※旧タイトル 病弱少女、転生して健康な肉体(最強)を手に入れる~友達が欲しくて魔境を旅立ちましたが、どうやら私の魔法は少しおかしいようです~

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

勇者パーティを追放された地味な器用貧乏は、 魔王軍の女騎士とスローライフを送る

ちくわ食べます
ファンタジー
勇者パーティから「地味、英雄譚の汚点」と揶揄され追放された器用貧乏な裏方の僕。 帰る場所もなく死の森を彷徨っていたところ、偶然にも重傷を負った魔王軍四天王で最強の女騎士「黒鉄剣のリューシア」と遭遇する。 敵同士のはずなのに、なぜか彼女を放っておけなくて。治療し、世話をし、一緒に暮らすことになった僕。 これは追放された男と、敗北を重ね居場所を失った女の物語。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

処理中です...