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第4話:ミノネリラ騒乱
#00
しおりを挟む皇国暦1562年4月20日―――
アイノンザン=ウォーダ家本拠地惑星アイノゼア
皇国の標準時で4月であっても、アイノンザン場がある地方は、季節的に夏の掛かりであった。城の中庭に植えられた木々では、この地方の固有種の、アオバネトゲヒグラシが、シキシキシキ…とけたたましく鳴いている。
暮れ始めた空は、やや紫色を帯びて上空の薄雲をグラデーションに染め、葉を揺らす夕風は涼しさを帯び始める。
ヴァルキス=ウォーダは愛人である雌雄同体のロアクルル星人、アリュスタの細い腰に腕を回し、二人並んで中庭の景色を眺めていた。この景色を見るのもこれが最後だろうという思いからだ。
そんな二人のもとへ、背後から筆頭家老のヘルタス=マスマが歩み寄って来る。こちらも異星人で、額に赤外線を感知する第三の眼を持つ、薄緑色の肌のボーラル星人だ。ヴァルキスはヘルタスが声を掛けるより先に、後ろを振り返って呼びかけて来た。
「ヘルタス」
「はっ」
軽く頭を下げるヘルタスに、ヴァルキスは静かな誇張で告げる。
「例の指示…実行に移そうと思う」
これを聞いてヘルタスは、白い髭を蓄えた口を僅かにわななかせ、少し間を置いてから「かしこまりました…」と一段深く頭を下げた。ヴァルキスはアリュスタと一つ、視線を交わらせてから穏やかな表情でヘルタスに言う。
「これまで世話になった。あとはノヴァルナ様に皆、よく尽くすように」
そして三日後、惑星ラゴンのノヴァルナのもとへ、アイノンザン=ウォーダ家筆頭家老ヘルタス=マスマを首謀者とした謀叛と、主君ヴァルキス=ウォーダの逃亡の報が届けられたのであった………
▶#01につづく
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