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第十四話:目覚めの朝と月の雫草
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深い眠りから覚めると、小鳥のさえずりが聞こえてきた。
柔らかな朝日が、木の葉の隙間から差し込んでいる。
「……ここは……」
わたくしはゆっくりと身を起こし、周囲を見渡した。
そこは、森の賢者の小屋の中だった。簡素な寝台に横たえられていたらしい。
傍らには、アレクシス様が静かな寝息を立てて眠っていた。
彼の顔色は穏やかで、苦しんでいた様子はもうどこにもない。
(アレクシス様……!)
安堵感と共に、昨夜の出来事が鮮明に蘇ってくる。
勇気の石の力、アレクシス様の苦悶、そして、わたくしたちの絆が生んだ奇跡。
「……目が覚めたかね、娘よ」
静かな声に振り返ると、森の賢者が穏やかな笑みを浮かべて立っていた。
「賢者様……アレクシス様は……」
「うむ。騎士殿の呪いは、完全に浄化されたようだ。お主の強い想いと、騎士殿の勇気が、古の呪いに打ち勝ったのじゃ」
賢者の言葉に、わたくしの目から再び涙が溢れそうになる。
本当に、よかった……。
「そして、約束通り、これを授けよう」
賢者はそう言うと、小屋の隅に置かれていた小さな木の箱を手に取った。
そして、その箱をわたくしの前に差し出す。
「これは……?」
おそるおそる箱を開けると、そこには、月明かりのように白く輝く、美しい花が数輪、大切に収められていた。
その花びらは、まるで絹のように滑らかで、中心からは微かな甘い香りが漂ってくる。
「月の雫草じゃ。昨夜、お主たちの絆の力に呼応するように、月影の泉に咲き誇っておった」
「まあ……!」
これが、幻の薬草、月の雫草……!
わたくしは、感動のあまり言葉を失った。その美しさは、どんな宝石よりも気高く、神秘的だった。
「この花は、持ち主の治癒の力を高め、あらゆる傷や病を癒すと言われておる。じゃが、最も大切なのは、それを使う者の心じゃ。清らかな心と、他者を想う強い気持ちがあってこそ、真の力を発揮する」
賢者は、わたくしの目をじっと見つめて言った。
「娘よ、お主にはその資格がある。この月の雫草を、大切に使うがよい」
「……はい! ありがとうございます、賢者様!」
わたくしは深々と頭を下げ、月の雫草の入った箱を大切に受け取った。
これで、アレクシス様の古傷の心配はもうない。そして、この力があれば、もっと多くの人を助けることができるかもしれない。
その時、寝台で身じろぎする気配がした。
「……ん……リリア……?」
アレクシス様が、ゆっくりと目を開けた。
まだ少し眠たげな瞳が、わたくしを捉える。
「アレクシス様! お目覚めですのね!」
わたくしは彼のそばに駆け寄り、その手を握った。
彼の体からは、もうあの呪いの気配は感じられない。代わりに、穏やかで力強い生命力が満ちている。
「……ああ。体が、軽い。まるで、生まれ変わったようだ」
アレクシス様は、自分の胸に手を当て、信じられないといった表情を浮かべている。
そして、わたくしの顔を見て、ふっと微笑んだ。
「お前のおかげだ、リリア。……ありがとう」
その笑顔は、これまで見たどんな笑顔よりも晴れやかで、わたくしの心を温かく満たした。
「いいえ、アレクシス様。わたくしは、何も……」
「また、それか」
アレクシス様は悪戯っぽく笑うと、わたくしの手を強く握り返した。
「お前がいなければ、俺は今頃どうなっていたか分からない。お前は、俺の命の恩人だ」
彼の真摯な言葉に、胸がいっぱいになる。
わたくしたちは、しばし見つめ合った。言葉はなくても、互いの想いが通じ合っているのを感じた。
夜明けの光が、二人を優しく照らしている。
長い苦しみから解放された騎士と、彼を支え続けた薬師。
二人の間には、確かな絆と、そして新たな未来への希望が輝いていた。
柔らかな朝日が、木の葉の隙間から差し込んでいる。
「……ここは……」
わたくしはゆっくりと身を起こし、周囲を見渡した。
そこは、森の賢者の小屋の中だった。簡素な寝台に横たえられていたらしい。
傍らには、アレクシス様が静かな寝息を立てて眠っていた。
彼の顔色は穏やかで、苦しんでいた様子はもうどこにもない。
(アレクシス様……!)
安堵感と共に、昨夜の出来事が鮮明に蘇ってくる。
勇気の石の力、アレクシス様の苦悶、そして、わたくしたちの絆が生んだ奇跡。
「……目が覚めたかね、娘よ」
静かな声に振り返ると、森の賢者が穏やかな笑みを浮かべて立っていた。
「賢者様……アレクシス様は……」
「うむ。騎士殿の呪いは、完全に浄化されたようだ。お主の強い想いと、騎士殿の勇気が、古の呪いに打ち勝ったのじゃ」
賢者の言葉に、わたくしの目から再び涙が溢れそうになる。
本当に、よかった……。
「そして、約束通り、これを授けよう」
賢者はそう言うと、小屋の隅に置かれていた小さな木の箱を手に取った。
そして、その箱をわたくしの前に差し出す。
「これは……?」
おそるおそる箱を開けると、そこには、月明かりのように白く輝く、美しい花が数輪、大切に収められていた。
その花びらは、まるで絹のように滑らかで、中心からは微かな甘い香りが漂ってくる。
「月の雫草じゃ。昨夜、お主たちの絆の力に呼応するように、月影の泉に咲き誇っておった」
「まあ……!」
これが、幻の薬草、月の雫草……!
わたくしは、感動のあまり言葉を失った。その美しさは、どんな宝石よりも気高く、神秘的だった。
「この花は、持ち主の治癒の力を高め、あらゆる傷や病を癒すと言われておる。じゃが、最も大切なのは、それを使う者の心じゃ。清らかな心と、他者を想う強い気持ちがあってこそ、真の力を発揮する」
賢者は、わたくしの目をじっと見つめて言った。
「娘よ、お主にはその資格がある。この月の雫草を、大切に使うがよい」
「……はい! ありがとうございます、賢者様!」
わたくしは深々と頭を下げ、月の雫草の入った箱を大切に受け取った。
これで、アレクシス様の古傷の心配はもうない。そして、この力があれば、もっと多くの人を助けることができるかもしれない。
その時、寝台で身じろぎする気配がした。
「……ん……リリア……?」
アレクシス様が、ゆっくりと目を開けた。
まだ少し眠たげな瞳が、わたくしを捉える。
「アレクシス様! お目覚めですのね!」
わたくしは彼のそばに駆け寄り、その手を握った。
彼の体からは、もうあの呪いの気配は感じられない。代わりに、穏やかで力強い生命力が満ちている。
「……ああ。体が、軽い。まるで、生まれ変わったようだ」
アレクシス様は、自分の胸に手を当て、信じられないといった表情を浮かべている。
そして、わたくしの顔を見て、ふっと微笑んだ。
「お前のおかげだ、リリア。……ありがとう」
その笑顔は、これまで見たどんな笑顔よりも晴れやかで、わたくしの心を温かく満たした。
「いいえ、アレクシス様。わたくしは、何も……」
「また、それか」
アレクシス様は悪戯っぽく笑うと、わたくしの手を強く握り返した。
「お前がいなければ、俺は今頃どうなっていたか分からない。お前は、俺の命の恩人だ」
彼の真摯な言葉に、胸がいっぱいになる。
わたくしたちは、しばし見つめ合った。言葉はなくても、互いの想いが通じ合っているのを感じた。
夜明けの光が、二人を優しく照らしている。
長い苦しみから解放された騎士と、彼を支え続けた薬師。
二人の間には、確かな絆と、そして新たな未来への希望が輝いていた。
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