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第21話:禁書庫への道と集いし仲間たち
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王妃様のガーデンパーティーから数日後。
アシュリー商会の工房は、祝勝ムードに包まれていた。
「いやぁ、痛快だったぜ! あのイザベラって女の、悔しそうな顔ったらなかったな!」
ギルさんは、エールを飲みながら豪快に笑っている。
私たちの『甜菜シュガー』は、王都に衝撃を与えた。
ヴァレンティン公爵家の砂糖独占は、全くの無意味に終わり、逆にアシュリー商会の名を、さらに高める結果となったのだ。
今では、私たちの砂糖を卸してほしいという商会からの申し出が、引きも切らない状態だった。
「これも全て、リナお嬢の知識と、アレクシス様の助けがあったからだ」
「いえ、ギルさんの協力がなければ、ここまで来られませんでした」
私たちは、互いの労をねぎらい合った。
アレクシス様も、工房の隅で、少しだけ嬉しそうに紅茶を飲んでいる。
しかし、私たちは浮かれてばかりはいられない。
本当の目的は、ここからなのだから。
「――さて、始めましょうか」
私がそう切り出すと、工房の空気は、一瞬で引き締まった。
テーブルの上に、一枚の大きな羊皮紙を広げる。
それは、ギルさんが裏ルートから手に入れた、王城の禁書庫の見取り図だった。
「これが、禁書庫……」
アレクシス様が、ゴクリと喉を鳴らす。
「古文書によれば、『真実の月の涙』は、この最奥にある『星見の間』に安置されているとのことです」
私は、地図の一点を指差した。
「だが、問題はどうやってそこまで辿り着くか、だ」
ギルさんが、腕を組む。
「見取り図によれば、そこへ至る道には、いくつもの魔法的な罠や、古代のゴーレムが配置されているらしい。生半可な覚悟じゃ、命がいくつあっても足りねぇぞ」
「……俺が行く」
アレクシス様が、静かに言った。
「俺一人なら、なんとか……」
「ダメです!」
私は、彼の言葉を強く遮った。
「あなた一人に、危険な真似はさせません! これは、私たち全員の戦いです!」
「だが……!」
「リナお嬢の言う通りでさァ、王子様」
ギルさんも、私に同意する。
「俺たちを、信用してくだせぇ。俺たちだって、ただの商人じゃねぇんでね」
その時、工房の扉が、コンコン、とノックされた。
入ってきたのは、私たちが雇った従業員たちだった。
元傭兵の屈強な男たちや、手先の器用な元職人、情報収集に長けた元密偵。
彼らは皆、何かしらの事情を抱えていたところを、アシュリー商会に拾われた者たちだ。
「社長、話は聞かせてもらいました」
従業員の代表である、元傭兵のリーダー、バルトが前に進み出た。
「俺たちも、連れて行ってください」
「え……?」
「俺たちは、社長と、ギルさんと、そしてアレクシス様に、大きな恩があります。この命、あなたたちのために使わせてください!」
バルトの言葉に、他の従業員たちも、力強く頷く。
「皆さん……!」
胸が、熱くなった。
いつの間にか、私たちにはこんなにも頼もしい仲間がいたのだ。
アレクシス様は、驚いたように目を見開いている。
彼が、ずっと一人で戦ってきたことを思えば、この光景は信じられないものだっただろう。
「……わかった」
彼は、深く息を吐くと、頭を下げた。
「……皆の力を、貸してほしい。頼む」
呪われ王子が、初めて見せた、素直な姿。
それに応えるように、仲間たちは「おお!」と力強い歓声を上げた。
こうして、私たちの『真実の月の涙』奪還作戦のチームが、正式に結成された。
作戦は、三日後の夜。
王城の警備が、最も手薄になる新月の夜を決行日とした。
ギルさんとバルトたちが、陽動部隊として城の反対側で騒ぎを起こす。
その隙に、私とアレクシス様が、禁書庫へ潜入する。
完璧な計画のはずだった。
――しかし、私たちは知らなかった。
私たちの計画が、全て、敵に筒抜けになっていたことを。
そして、禁書庫には、私たちが想像するよりも、遥かに恐ろしい罠が仕掛けられていることを……。
アシュリー商会の工房は、祝勝ムードに包まれていた。
「いやぁ、痛快だったぜ! あのイザベラって女の、悔しそうな顔ったらなかったな!」
ギルさんは、エールを飲みながら豪快に笑っている。
私たちの『甜菜シュガー』は、王都に衝撃を与えた。
ヴァレンティン公爵家の砂糖独占は、全くの無意味に終わり、逆にアシュリー商会の名を、さらに高める結果となったのだ。
今では、私たちの砂糖を卸してほしいという商会からの申し出が、引きも切らない状態だった。
「これも全て、リナお嬢の知識と、アレクシス様の助けがあったからだ」
「いえ、ギルさんの協力がなければ、ここまで来られませんでした」
私たちは、互いの労をねぎらい合った。
アレクシス様も、工房の隅で、少しだけ嬉しそうに紅茶を飲んでいる。
しかし、私たちは浮かれてばかりはいられない。
本当の目的は、ここからなのだから。
「――さて、始めましょうか」
私がそう切り出すと、工房の空気は、一瞬で引き締まった。
テーブルの上に、一枚の大きな羊皮紙を広げる。
それは、ギルさんが裏ルートから手に入れた、王城の禁書庫の見取り図だった。
「これが、禁書庫……」
アレクシス様が、ゴクリと喉を鳴らす。
「古文書によれば、『真実の月の涙』は、この最奥にある『星見の間』に安置されているとのことです」
私は、地図の一点を指差した。
「だが、問題はどうやってそこまで辿り着くか、だ」
ギルさんが、腕を組む。
「見取り図によれば、そこへ至る道には、いくつもの魔法的な罠や、古代のゴーレムが配置されているらしい。生半可な覚悟じゃ、命がいくつあっても足りねぇぞ」
「……俺が行く」
アレクシス様が、静かに言った。
「俺一人なら、なんとか……」
「ダメです!」
私は、彼の言葉を強く遮った。
「あなた一人に、危険な真似はさせません! これは、私たち全員の戦いです!」
「だが……!」
「リナお嬢の言う通りでさァ、王子様」
ギルさんも、私に同意する。
「俺たちを、信用してくだせぇ。俺たちだって、ただの商人じゃねぇんでね」
その時、工房の扉が、コンコン、とノックされた。
入ってきたのは、私たちが雇った従業員たちだった。
元傭兵の屈強な男たちや、手先の器用な元職人、情報収集に長けた元密偵。
彼らは皆、何かしらの事情を抱えていたところを、アシュリー商会に拾われた者たちだ。
「社長、話は聞かせてもらいました」
従業員の代表である、元傭兵のリーダー、バルトが前に進み出た。
「俺たちも、連れて行ってください」
「え……?」
「俺たちは、社長と、ギルさんと、そしてアレクシス様に、大きな恩があります。この命、あなたたちのために使わせてください!」
バルトの言葉に、他の従業員たちも、力強く頷く。
「皆さん……!」
胸が、熱くなった。
いつの間にか、私たちにはこんなにも頼もしい仲間がいたのだ。
アレクシス様は、驚いたように目を見開いている。
彼が、ずっと一人で戦ってきたことを思えば、この光景は信じられないものだっただろう。
「……わかった」
彼は、深く息を吐くと、頭を下げた。
「……皆の力を、貸してほしい。頼む」
呪われ王子が、初めて見せた、素直な姿。
それに応えるように、仲間たちは「おお!」と力強い歓声を上げた。
こうして、私たちの『真実の月の涙』奪還作戦のチームが、正式に結成された。
作戦は、三日後の夜。
王城の警備が、最も手薄になる新月の夜を決行日とした。
ギルさんとバルトたちが、陽動部隊として城の反対側で騒ぎを起こす。
その隙に、私とアレクシス様が、禁書庫へ潜入する。
完璧な計画のはずだった。
――しかし、私たちは知らなかった。
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