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第7話:魔の森の囁きと、黒い汚染
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馬に揺られ、カイ様と数名の精鋭騎士と共に、私たちはミルン大森林の入り口に到着した。
森に一歩足を踏み入れた瞬間、空気ががらりと変わるのが分かった。
湿った土の匂いと、むせ返るような濃密な生命の気配。それは、王都の庭園とは全く違う、荒々しく、原初的な自然の息吹だった。
そして、私の瞳に視えるのは――。
「……これは、ひどい」
思わず、絶句した。
森を満たしているはずの、穏やかで優しい、生命の源たる緑色の自然魔力が、どす黒く、濁っている。
まるで、透き通った水に一滴ずつ、黒い毒を垂らしたかのように、あちこちで***紫黒色の魔力の澱み***が、まるで生きているかのように渦を巻いていた。
「どうした、アリア。何が視える」
隣を馬で進むカイ様が、私の異変に気付いて鋭く声をかける。
「森の魔力が、汚染されています。何者かが、意図的に、邪悪な魔力で森を汚しているようですわ」
「意図的に、だと?」
カイ様の声が、氷点下まで下がる。
「ええ。これは、自然に発生する魔力の乱れではありません。もっと悪質で、計画的なものです。まるで、大地そのものに毒を盛られたかのように、森が内側から蝕まれ、苦しんでいます。だから、森に住む獣や魔物たちが、その苦痛から逃れるために、狂暴化しているのです」
私の言葉に、同行していた騎士たちが息を呑み、ざわめいた。
「馬鹿な! 一体誰が、森そのものを害するような真似を……」
「このヴォルフガング領に、それほどの恨みを持つ者の仕業か……?」
カイ様は何も言わず、ただ静かに森の奥を見つめている。
その美しい青い瞳は、氷のように冷たく、けれどその奥では、自らの領地を汚されたことに対する、激しい怒りの炎が静かに燃え盛っていた。
「アリア、汚染の中心はどこだ。発生源を特定できるか」
「はい。このまま真っ直ぐ進んだ先……森の最深部。そこに、ひときわ強く、邪悪な魔力の渦を感じます。おそらく、古い遺跡のような場所ですわ」
「……よし。全員、警戒を怠るな。遺跡へ向かうぞ」
カイ様の号令一下、私たちは森の奥深くへと馬を進める。
進めば進むほど、森の汚染は濃くなっていく。木々は生気を失って枯れ、地面には不気味な模様の苔が広がり、不快な臭気が鼻をついた。
道中、何度も狂暴化した魔物に襲われた。
巨大な牙を持つ狼の群れ、硬い甲殻を持つ昆虫型の魔物。
けれど、その度にカイ様が、驚くほど精密に制御された氷の魔法で、的確に魔物を無力化していく。
「アイス・ジャベリン(氷の投槍)」
「フリーズ・バインド(氷結拘束)」
暴走していた頃のように、辺り一面を無差別に凍らせるような、無駄な力の行使は一切ない。
魔物の足だけを凍らせて動きを止めたり、鋭い氷の礫(つぶて)を寸分の狂いなく飛ばして急所だけを的確に狙ったり。
それは、この一週間、二人で血の滲むような努力を重ねてきた、紛れもない成果だった。
(すごい……)
彼の戦う姿を、初めて間近で見た。
その圧倒的な強さと、洗練された美しさ。
そして、彼が魔法を放つ瞬間、私の指示を完全に信頼しきった、力強い眼差し。
私は、ただただ見惚れるしかなかった。
やがて、私たちは森の最深部――古い遺跡にたどり着いた。
そこは、苔むした石造りの祭壇を中心とした、開けた場所だった。
そして、その中央に、それはあった。
「……あれは……魔法陣?」
地面に、不気味な紫色の光を放つ、巨大で複雑な魔法陣が描かれている。
森の魔力を汚染している、邪悪な力の源は、間違いなくこれだ。
魔法陣からは、絶えず黒い瘴気が立ち上り、周囲の空間を歪ませている。
「『魔力汚染陣(マナ・ポリューション)』か……。古代の禁術だぞ、なぜこんなものが……」
騎士の一人が、忌々しげに呟く。
こんなものを、一体誰が、何のために。
そう思った、その時だった。
「――ククク……よくぞたどり着いたな、氷の公爵」
遺跡の影から、ぬらり、と複数の人影が姿を現した。
全員が、顔を深くフードで隠した、黒いローブを身にまとっている。その数、十数名。
その中心に立つ、一際背の高い男が、私たちに向かって嘲るように言った。
「貴様らが来るのは、分かっていたぞ」
「……何者だ、貴様ら」
カイ様が、静かに剣の柄に手をかけながら問う。
「我らは、大いなるお方にお仕えする者。貴様らには、この森の魔物の餌となってもらう」
「大いなるお方、だと?」
男は、くつくつと喉を鳴らして笑う。
「クク……ヒントをやろう。我らが主は、それはそれは可憐で、美しい、***聖女様***だ。貴様らが無慈悲にも見捨てた、哀れな追放者の姉とは大違いのな!」
「……!」
聖女。姉。
その言葉が意味するものは、一つしかない。
(……リナ……!)
やはり、この事件の黒幕は、あの義理の妹だったのだ。
わざわざこんな辺境まで、私を追いかけてきたというのか。
「アリアを、どうするつもりだ」
カイ様の声の温度が、さらに数度、下がった。
「あの女の『瞳』は、聖女様が欲しがっておられる。我らは、まず貴様をここで始末し、その後、城に残っているはずのあの女を、丁重にお迎えする手はずになっているのだ」
やはり、私の【魔力鑑定EX】の力が目的だったのだ。
そして、私がこの場にいることには、まだ気づいていないらしい。
「下衆が」
カイ様が、一言、吐き捨てる。
次の瞬間、彼の全身から、凄まじい冷気が放たれた。
「貴様らのような塵芥に、アリアの髪一本、触れさせるものか」
その言葉は、静かだった。
けれど、そこに込められた怒りと独占欲は、何よりも雄弁に、彼の決意を物語っていた。
「ほざけ! やれ、者ども!」
リーダー格の男の号令と共に、黒装束の闇魔術師たちが、一斉に禍々しい呪文の詠唱を開始した。
カイ様と騎士たちも、剣を抜き、臨戦態勢に入る。
この、邪悪な魔法陣が輝く古代遺跡で、私たちの、絶望的な戦いの幕が、今、切って落とされた。
森に一歩足を踏み入れた瞬間、空気ががらりと変わるのが分かった。
湿った土の匂いと、むせ返るような濃密な生命の気配。それは、王都の庭園とは全く違う、荒々しく、原初的な自然の息吹だった。
そして、私の瞳に視えるのは――。
「……これは、ひどい」
思わず、絶句した。
森を満たしているはずの、穏やかで優しい、生命の源たる緑色の自然魔力が、どす黒く、濁っている。
まるで、透き通った水に一滴ずつ、黒い毒を垂らしたかのように、あちこちで***紫黒色の魔力の澱み***が、まるで生きているかのように渦を巻いていた。
「どうした、アリア。何が視える」
隣を馬で進むカイ様が、私の異変に気付いて鋭く声をかける。
「森の魔力が、汚染されています。何者かが、意図的に、邪悪な魔力で森を汚しているようですわ」
「意図的に、だと?」
カイ様の声が、氷点下まで下がる。
「ええ。これは、自然に発生する魔力の乱れではありません。もっと悪質で、計画的なものです。まるで、大地そのものに毒を盛られたかのように、森が内側から蝕まれ、苦しんでいます。だから、森に住む獣や魔物たちが、その苦痛から逃れるために、狂暴化しているのです」
私の言葉に、同行していた騎士たちが息を呑み、ざわめいた。
「馬鹿な! 一体誰が、森そのものを害するような真似を……」
「このヴォルフガング領に、それほどの恨みを持つ者の仕業か……?」
カイ様は何も言わず、ただ静かに森の奥を見つめている。
その美しい青い瞳は、氷のように冷たく、けれどその奥では、自らの領地を汚されたことに対する、激しい怒りの炎が静かに燃え盛っていた。
「アリア、汚染の中心はどこだ。発生源を特定できるか」
「はい。このまま真っ直ぐ進んだ先……森の最深部。そこに、ひときわ強く、邪悪な魔力の渦を感じます。おそらく、古い遺跡のような場所ですわ」
「……よし。全員、警戒を怠るな。遺跡へ向かうぞ」
カイ様の号令一下、私たちは森の奥深くへと馬を進める。
進めば進むほど、森の汚染は濃くなっていく。木々は生気を失って枯れ、地面には不気味な模様の苔が広がり、不快な臭気が鼻をついた。
道中、何度も狂暴化した魔物に襲われた。
巨大な牙を持つ狼の群れ、硬い甲殻を持つ昆虫型の魔物。
けれど、その度にカイ様が、驚くほど精密に制御された氷の魔法で、的確に魔物を無力化していく。
「アイス・ジャベリン(氷の投槍)」
「フリーズ・バインド(氷結拘束)」
暴走していた頃のように、辺り一面を無差別に凍らせるような、無駄な力の行使は一切ない。
魔物の足だけを凍らせて動きを止めたり、鋭い氷の礫(つぶて)を寸分の狂いなく飛ばして急所だけを的確に狙ったり。
それは、この一週間、二人で血の滲むような努力を重ねてきた、紛れもない成果だった。
(すごい……)
彼の戦う姿を、初めて間近で見た。
その圧倒的な強さと、洗練された美しさ。
そして、彼が魔法を放つ瞬間、私の指示を完全に信頼しきった、力強い眼差し。
私は、ただただ見惚れるしかなかった。
やがて、私たちは森の最深部――古い遺跡にたどり着いた。
そこは、苔むした石造りの祭壇を中心とした、開けた場所だった。
そして、その中央に、それはあった。
「……あれは……魔法陣?」
地面に、不気味な紫色の光を放つ、巨大で複雑な魔法陣が描かれている。
森の魔力を汚染している、邪悪な力の源は、間違いなくこれだ。
魔法陣からは、絶えず黒い瘴気が立ち上り、周囲の空間を歪ませている。
「『魔力汚染陣(マナ・ポリューション)』か……。古代の禁術だぞ、なぜこんなものが……」
騎士の一人が、忌々しげに呟く。
こんなものを、一体誰が、何のために。
そう思った、その時だった。
「――ククク……よくぞたどり着いたな、氷の公爵」
遺跡の影から、ぬらり、と複数の人影が姿を現した。
全員が、顔を深くフードで隠した、黒いローブを身にまとっている。その数、十数名。
その中心に立つ、一際背の高い男が、私たちに向かって嘲るように言った。
「貴様らが来るのは、分かっていたぞ」
「……何者だ、貴様ら」
カイ様が、静かに剣の柄に手をかけながら問う。
「我らは、大いなるお方にお仕えする者。貴様らには、この森の魔物の餌となってもらう」
「大いなるお方、だと?」
男は、くつくつと喉を鳴らして笑う。
「クク……ヒントをやろう。我らが主は、それはそれは可憐で、美しい、***聖女様***だ。貴様らが無慈悲にも見捨てた、哀れな追放者の姉とは大違いのな!」
「……!」
聖女。姉。
その言葉が意味するものは、一つしかない。
(……リナ……!)
やはり、この事件の黒幕は、あの義理の妹だったのだ。
わざわざこんな辺境まで、私を追いかけてきたというのか。
「アリアを、どうするつもりだ」
カイ様の声の温度が、さらに数度、下がった。
「あの女の『瞳』は、聖女様が欲しがっておられる。我らは、まず貴様をここで始末し、その後、城に残っているはずのあの女を、丁重にお迎えする手はずになっているのだ」
やはり、私の【魔力鑑定EX】の力が目的だったのだ。
そして、私がこの場にいることには、まだ気づいていないらしい。
「下衆が」
カイ様が、一言、吐き捨てる。
次の瞬間、彼の全身から、凄まじい冷気が放たれた。
「貴様らのような塵芥に、アリアの髪一本、触れさせるものか」
その言葉は、静かだった。
けれど、そこに込められた怒りと独占欲は、何よりも雄弁に、彼の決意を物語っていた。
「ほざけ! やれ、者ども!」
リーダー格の男の号令と共に、黒装束の闇魔術師たちが、一斉に禍々しい呪文の詠唱を開始した。
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