有能婚約者を捨てた王子は、幼馴染との真実の愛に目覚めたらしい

マルローネ

文字の大きさ
19 / 40

19話 怪しい会話 その1

しおりを挟む
 フリック王子殿下視点……。


 現れたのはジェイド兄さんか。アルゼイ兄さんだけでなく、ジェイド兄さんまで来るとは……王位継承に当たってのライバルが揃ってしまったということか。

 くそう、ますますこの舞踏会で恥を晒すわけにはいかなくなったぞ。先ほどはエリザの妹のシリカに大笑いをされ、それをルービック・キングダム侯爵が上手く拾ったのだ。それがフォローになり、私へのマイナス評価は抑えられた。

 マイナス評価はされなかったが、これは相当に屈辱だった。なんということだ、この私がよりにもよってガーランドの家系の者と、キングダム侯爵に助けられるとは。


「あの、フリック様。先ほどから、貴族との挨拶を断っていらっしゃいますが……」

「シャーリーか、それがどうしたのだ?」

「はい……先ほどの出来事を後悔されているのは分かりますが、貴族の方々との挨拶を拒否するのは、心象が悪いように思います。ジェイド王子殿下もいらっしゃった今、エラルド王国の貴族とだけでも挨拶を交わした方が良いかと……」

「ぬう……それはそうかもしれんな」


 私は第三王子でしかない。ジェイド兄さんまで来た現状では、各方面の貴族への挨拶をサボっていると、確実王位継承争いに乗り遅れてしまう。

 莫大な富と名声か……甘美な響きだ。よし、今からでも遅くはないシャーリーの言う通り、各貴族との挨拶を開始するとしようか。しかし……どういう順番に挨拶をすれば良いものか。先ほどから挨拶に来ていた貴族を断っていた為に、向こうから来なくなってしまっているからな。

「シャーリー、上手く貴族とのコンタクトを取れそうか?」

「申し訳ありません、フリック様。今の状態では最適解を出すことはできません……他の貴族の方々はおそらく、フリック様を警戒されているでしょうし」

「上手くサポート出来ない、ということか……」

「さ、左様でございます……申し訳ございません……」


 役立たずが、と言いそうになったが私はその言葉を喉の奥に締まった。シャーリーを貶したところで、問題が解決するわけではない。数少ない味方との関係性が悪くなるのも避けたいところだしな。さて……どうするか。


「お困りのようですね、フリック王子殿下」

「キングダム侯爵……何か用かな?」


 このタイミングで現れるとは……何か嫌な予感がするな。相手にしない方が良いか?


「まあ、そう警戒しないでいただきたい。自分達の味方になってくれる貴族との繋がりの強化……その為の挨拶回りを考えているのでしょう? よろしければ力になりますよ?」


 この男……以前のパーティーでは、散々私のことを扱き下ろしておいて、今回は全く違う態度を見せている。そういえば先ほども王位継承争いでは応援しているなどと言っていたな?

 忌々しい奴だが、今は贅沢を言っている場合ではない。キングダム侯爵の話に乗ってみるか。

「よし、話してみろ」

「おお、ありがとうございます。フリック王子殿下! 流石ですね!」

「フリック様……止めておいた方が良いと思われますが……」


 シャーリーはやけに警戒している様子だ。しかし、考えている時間がないのは確かだ、彼女の言葉は無視することにする。私に意見するなら、結果を出してからにして欲しいものだな、まったく。
しおりを挟む
感想 88

あなたにおすすめの小説

婚約者様への逆襲です。

有栖川灯里
恋愛
王太子との婚約を、一方的な断罪と共に破棄された令嬢・アンネリーゼ=フォン=アイゼナッハ。 理由は“聖女を妬んだ悪役”という、ありふれた台本。 だが彼女は涙ひとつ見せずに微笑み、ただ静かに言い残した。 ――「さようなら、婚約者様。二度と戻りませんわ」 すべてを捨て、王宮を去った“悪役令嬢”が辿り着いたのは、沈黙と再生の修道院。 そこで出会ったのは、聖女の奇跡に疑問を抱く神官、情報を操る傭兵、そしてかつて見逃された“真実”。 これは、少女が嘘を暴き、誇りを取り戻し、自らの手で未来を選び取る物語。 断罪は終わりではなく、始まりだった。 “信仰”に支配された王国を、静かに揺るがす――悪役令嬢の逆襲。

【完結】婚約破棄されたユニコーンの乙女は、神殿に向かいます。

秋月一花
恋愛
「イザベラ。君との婚約破棄を、ここに宣言する!」 「かしこまりました。わたくしは神殿へ向かいます」 「……え?」  あっさりと婚約破棄を認めたわたくしに、ディラン殿下は目を瞬かせた。 「ほ、本当に良いのか? 王妃になりたくないのか?」 「……何か誤解なさっているようですが……。ディラン殿下が王太子なのは、わたくしがユニコーンの乙女だからですわ」  そう言い残して、その場から去った。呆然とした表情を浮かべていたディラン殿下を見て、本当に気付いてなかったのかと呆れたけれど――……。おめでとうございます、ディラン殿下。あなたは明日から王太子ではありません。

死に戻りの悪役令嬢は、今世は復讐を完遂する。

乞食
恋愛
メディチ家の公爵令嬢プリシラは、かつて誰からも愛される少女だった。しかし、数年前のある事件をきっかけに周囲の人間に虐げられるようになってしまった。 唯一の心の支えは、プリシラを慕う義妹であるロザリーだけ。 だがある日、プリシラは異母妹を苛めていた罪で断罪されてしまう。 プリシラは処刑の日の前日、牢屋を訪れたロザリーに無実の証言を願い出るが、彼女は高らかに笑いながらこう言った。 「ぜーんぶ私が仕組んだことよ!!」 唯一信頼していた義妹に裏切られていたことを知り、プリシラは深い悲しみのまま処刑された。 ──はずだった。 目が覚めるとプリシラは、三年前のロザリーがメディチ家に引き取られる前日に、なぜか時間が巻き戻っていて──。 逆行した世界で、プリシラは義妹と、自分を虐げていた人々に復讐することを誓う。

婚約破棄を兄上に報告申し上げます~ここまでお怒りになった兄を見たのは初めてでした~

ルイス
恋愛
カスタム王国の伯爵令嬢ことアリシアは、慕っていた侯爵令息のランドールに婚約破棄を言い渡された 「理由はどういったことなのでしょうか?」 「なに、他に好きな女性ができただけだ。お前は少し固過ぎたようだ、私の隣にはふさわしくない」 悲しみに暮れたアリシアは、兄に婚約が破棄されたことを告げる それを聞いたアリシアの腹違いの兄であり、現国王の息子トランス王子殿下は怒りを露わにした。 腹違いお兄様の復讐……アリシアはそこにイケない感情が芽生えつつあったのだ。

とある令嬢の優雅な別れ方 〜婚約破棄されたので、笑顔で地獄へお送りいたします〜

入多麗夜
恋愛
【完結まで執筆済!】 社交界を賑わせた婚約披露の茶会。 令嬢セリーヌ・リュミエールは、婚約者から突きつけられる。 「真実の愛を見つけたんだ」 それは、信じた誠実も、築いてきた未来も踏みにじる裏切りだった。だが、彼女は微笑んだ。 愛よりも冷たく、そして美しく。 笑顔で地獄へお送りいたします――

婚約破棄された公爵令嬢は真の聖女でした ~偽りの妹を追放し、冷徹騎士団長に永遠を誓う~

鷹 綾
恋愛
公爵令嬢アプリリア・フォン・ロズウェルは、王太子ルキノ・エドワードとの幸せな婚約生活を夢見ていた。 しかし、王宮のパーティーで突然、ルキノから公衆の面前で婚約破棄を宣告される。 理由は「性格が悪い」「王妃にふさわしくない」という、にわかには信じがたいもの。 さらに、新しい婚約者候補として名指しされたのは、アプリリアの異母妹エテルナだった。 絶望の淵に突き落とされたアプリリア。 破棄の儀式の最中、突如として前世の記憶が蘇り、 彼女の中に眠っていた「真の聖女の力」――強力な治癒魔法と予知能力が覚醒する。 王宮を追われ、辺境の荒れた領地へ左遷されたアプリリアは、 そこで自立を誓い、聖女の力で領民を癒し、土地を豊かにしていく。 そんな彼女の前に現れたのは、王国最強の冷徹騎士団長ガイア・ヴァルハルト。 魔物の脅威から領地を守る彼との出会いが、アプリリアの運命を大きく変えていく。 一方、王宮ではエテルナの「偽りの聖女の力」が露呈し始め、 ルキノの無能さが明るみに出る。 エテルナの陰謀――偽手紙、刺客、魔物の誘導――が次々と暴かれ、 王国は混乱の渦に巻き込まれる。 アプリリアはガイアの愛を得て、強くなっていく。 やがて王宮に招かれた彼女は、聖女の力で王国を救い、 エテルナを永久追放、ルキノを王位剥奪へと導く。 偽りの妹は孤独な追放生活へ、 元婚約者は権力を失い後悔の日々へ、 取り巻きの貴族令嬢は家を没落させ貧困に陥る。 そしてアプリリアは、愛するガイアと結婚。 辺境の領地は王国一の繁栄地となり、 二人は子に恵まれ、永遠の幸せを手にしていく――。

婚約破棄を受け入れたのは、この日の為に準備していたからです

天宮有
恋愛
 子爵令嬢の私シーラは、伯爵令息レヴォクに婚約破棄を言い渡されてしまう。  レヴォクは私の妹ソフィーを好きになったみたいだけど、それは前から知っていた。  知っていて、許せなかったからこそ――私はこの日の為に準備していた。  私は婚約破棄を言い渡されてしまうけど、すぐに受け入れる。  そして――レヴォクの後悔が、始まろうとしていた。

捨てられたなら 〜婚約破棄された私に出来ること〜

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
長年の婚約者だった王太子殿下から婚約破棄を言い渡されたクリスティン。 彼女は婚約破棄を受け入れ、周りも処理に動き出します。 さて、どうなりますでしょうか…… 別作品のボツネタ救済です(ヒロインの名前と設定のみ)。 突然のポイント数増加に驚いています。HOTランキングですか? 自分には縁のないものだと思っていたのでびっくりしました。 私の拙い作品をたくさんの方に読んでいただけて嬉しいです。 それに伴い、たくさんの方から感想をいただくようになりました。 ありがとうございます。 様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。 ただ、皆様に楽しんでいただけたらと思いますので、中にはいただいたコメントを非公開とさせていただく場合がございます。 申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。 もちろん、私は全て読ませていただきますし、削除はいたしません。 7/16 最終部がわかりにくいとのご指摘をいただき、訂正しました。 ※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。

処理中です...