婚約破棄したくせに、聖女の能力だけは貸して欲しいとか……馬鹿ですか?

マルローネ

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5話 仕事 その1

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 ……ルドルフ・コーブル公爵令息視点。


 私は現在、新たな婚約者であるリシア・メイルバーク侯爵令嬢と会っていた。彼女は美しく聡明だ。


「ルドルフ様」

「なんだ、リシア?」

「本当に私と婚約をして良かったんですの?」

「どういう意味だ?」


 リシアは突然、理解しがたいことを言って来た。彼女と婚約をして後悔するはずがない。見た目は美しいし、年齢も18歳と若い。さらには侯爵令嬢という立場にあるので、彼女との結婚はコーブル公爵家にとっても、大きな利益をもたらすのは間違いない。

 あらゆる意味で、リシアとの婚約は正解なのだ。


「エメリ・ハーグリーブス嬢を振ったのことは、良かったんですの?」

「当たり前じゃないか、エメリ。彼女は伯爵令嬢でしかないのだぞ? 君との婚約を選ぶのは当たり前のことさ」

「あらあら、嬉しいですわ。うふふふふふ」

「ふははははははっ」


 リシアは笑顔になりながら、私に抱き着いて来る。ふはははは、可愛い奴め。私はそんな彼女の頭を優しく撫でてやった。彼女との子供はそれはもう、優秀な人材に育つのだろうな。今から楽しみだよ、コーブル家の未来は明るいというものだ。


「だが、1つだけ懸念点があるな……」

「ああ、やはり彼女の聖女としての能力ですわね?」

「その通りだ」


 エメリの聖女の能力は生産性の向上に貢献するものだ。居なくなれば、我が領地での収益が減ることになる。父上もその辺りは懸念していたな、そういえば。


「しかしまあ、生産性については人員の確保と従業員の労働時間の調整でなんとでもなる。エメリと婚約破棄をして、リシアと一緒になった選択に間違いはないだろう」

「うふふふふ、とても嬉しいことですわ。ただ、従業員の方々は大変ですわね。コーブル公爵家の気まぐれによって、今まで以上の重労働をさせられるわけですから」

「ははははは、平民が重労働をするのは当然のことだ。奴らがしっかりと働き、私達が領地を管理する……そういう循環で成り立っているのだからな。そして、あくまでも我々が上に立つ存在なのだからな」

「それはそうかもしれませんわね、うふふふふふ」


 全ては順調に進んでいるのだ……私とリシアの婚約も上手く結ぶことに成功した。ハーグリーブス家との関係性は途絶えてしまったが、エメリ達はもう必要のない存在だからな。私はリシアとの幸せな結婚生活を夢見ることにしようか。

 そして……コーブル公爵家の当主になった暁には、更なる領地経営にも乗り出すことにしようか。ふふふふ、非常に楽しみなことだな。
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