婚約破棄したくせに、聖女の能力だけは貸して欲しいとか……馬鹿ですか?

マルローネ

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7話 家族との会話

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「エメリ! よくやったわ! まさかフラック王子殿下に取り入って、宮殿内での仕事を行えるようにするなんて!」

「ひゃあ! お、お母様……!?」


 お母様こと、ミアース・ハーグリーブスは私の部屋に入るなり、急に抱きしめてきた。いきなりのことだったので、私も驚いてしまう。

「こらこら、ミアース。落ち着くのだ」

「あらサドレイ、ごめんなさい」


 サドレイというのは私のお父様の名前になる。お父様は抱きしめては来なかったけれど、テンションとしてはお母様と変わらなかった。とても笑顔で私に視線を合わせていたから……。

「ふふふ、エメリ」

「は、はい……お父様。なんでしょうか?」

「聖女としての能力を最善の形で行使しているようだな。私としても安心だよ」

「あ、はい……それはそうかもしれませんね。ありがとうございます」


 お父様の「最善の」という言葉の意味は、最も良い場所で使っているという意味合いがあるのだと思う。確かにそれに関しては私も同感だ。フラック王子殿下の下で、聖女の能力を行使できるのは私にとって最善のことだと言えると思うし。

「ルドルフ様の下で働くより、はるかに有意義な時間を過ごせていると思います」

「うむ、それは何よりだ」


 お父様は非常に満足そうにしていた。お母様も満足そうな表情をしていたけれど……何か考え事をしているようだ。

「お母様、どうかされたのですか?」

「いえ、大したことはないのだけれど……コーブル公爵家が、今頃、焦ってないと良いと思ってね」

「焦る……?」

「いえ、あなたの聖女としての能力が消えたのだから、仕事の作業効率が落ちているでしょう? それをちゃんと挽回出来ているのかと思ってね」

 そういうことか……でも、ルドルフ様は人員を増やしたり、作業時間を増やすことで十分に挽回出来ると考えていたみたいね。実際のところは不明だから、何とも言えないけれど……。


「ルドルフ様は私が居なくなることなんて、そこまで重要視していませんでしたよ?」

「だといいのだけれどね……ふふふ」


 お母様はなんだか怪しく笑っていた。少しだけ背筋が寒くなってしまう……。


「まあ、ルドルフ様の件はどうでも良いとして……エメリ、よくやったわね」

「えっ?」

「ふふふふ……フラック王子殿下と婚約出来る可能性を見出せたのだから、これは勝ち組になれるわよ? しっかりとアピールしていきなさい」

「婚約って……何を言っているんですか……!」


 突然の話の方向転換に私は付いて行くことが出来なかった。お父様も笑っているところを見ると、私をフラック王子殿下とくっつけたいようだ。流石にそれは気が早すぎるし……王子殿下と婚約なんて……。

 で、出来るのかしら……? 私の頭はしばらくまともに思考していなかった。
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