婚約破棄したくせに、聖女の能力だけは貸して欲しいとか……馬鹿ですか?

マルローネ

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8話 生産効率

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 ルドルフ公爵令息視点……。

「ルドルフ……少し良いか?」

「父上? 如何なさいましたでしょうか?」

「あら、ラグディ様。ごきげんよう」

「リシア嬢も一緒だったか」


 私とリシアが部屋で寛いでいた時、父上が突然訪れた。一体、何の用事だろうか? 神妙な顔つきになっているような気がするぞ。


「ルドルフ、金鉱山と鉄道建設の件なのだが……」

「あ、はい」


 金鉱山と鉄道建設……どちらも父上ではなく、私に管理を任されている案件だった。父上いわく、今後の公爵になる為の経験としてだそうだ。

「金鉱山と鉄道建設事業がどうかしましたか?」

「うむ……現場監督からの報告書では、作業効率が落ちているようだぞ」

「作業効率が……落ちている?」

「ああ、その通りだ」


 どういうことだ? それはつまり、エメリの聖女の能力を行使していた時に比べ、事業の進捗状況が芳しくないということを意味しているのだろうが。


「失礼ながらラグディ様。その作業効率が低下した時期というのは、いつ頃からなのでしょうか?」

「ああ、リシア嬢。ちょうど、エメリ嬢との婚約破棄が成立した時からだな。つまりは比較的最近だということだ」

「まあ、そうだったんですの……」


 リシアはなぜか、大袈裟なリアクションを取っていた。彼女からすれば、予想通りだと言いたいのだろうか? いや、ここまでは想定内のはずだ私にとってもな。

「現場監督には既に、エメリが抜けた穴の補填を命じております。その作業に時間が掛かっているだけでございましょう。すぐに、今まで通り……いえ、今まで以上の生産効率に戻りますよ」

「お前の言っている補填……つまり代替案は新しく作業員を増やし、労働力を確保するものだったな?」

「左様でございます、父上」


 新しい作業員を増やせば、それだけで雇用機会の増加にも繋がり経済的にも効率化が図れるはずだ。仕事を失った平民達も減ることに繋がる……ふふふ、我ながら慈悲深いアイデアだと言えるだろうか。

 そんな風に余裕を持っていた私だったが、父上の表情は暗かった。どういうことだ……?


「ルドルフよ……現場はどうやら、暴動が起きそうな状況のようだぞ……現場監督ですら、辞職を願い出ている」

「まあ……それはそれは!! 予想通りと言いましょうか!」

「な、なんと……暴動、辞職……!?」

 リシアの言葉が気になるが今はそんなことはどうでもいい。金鉱山と鉄道現場で作業員の暴動が起こっているのは非常にマズい事態だ。

「ルドルフ……このままではマズイと思うが、どうするつもりなのだ? 最終的な責任者はお前なのだぞ?」

「わ、わかっております……父上……」

「では、早急に事態を鎮静化させる方法を考えるのだ」

「か、畏まりました……!」


 事態の鎮静化……くそ、平民如きが暴動などと! やはり労働環境を過酷にしたのが原因なのか? 早急に対応策を練らなければならないが……事態の解決を考えると、やはり1つしか手はないか。
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