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10話 公爵家の訪問 その2
しおりを挟む「お、お母様……ルドルフ様達を屋敷に招き入れたのですか……?」
私はお母様の行動が理解出来ずに、ついつい声を荒げてしまった。
「ええ、もちろんよ。急なことだったし、コーブル公爵家やメイルバーク侯爵家の人間を蔑ろにするわけにもいかないでしょう?」
「そ、それはそうかもしれませんが……」
お母様の言っていることは正論だけれど、まさか屋敷内に招き入れるとは予想外だった。ルドルフ様だけが来たのなら門前払いを出来たかもしれないけれど、ラグディ・コーブル公爵が一緒ではなかなか難しいのは分かる。リシア・メイルバーク侯爵令嬢はこの際、オマケみたいなものだけれど……。
そして一番の問題は……お母様が何か企んでいそうなことだ。お母様の怪しい笑みは私にとって恐怖だった。
「わかりました……応接室に向かいます」
「ありがとう、エメリ。サドレイが既に対応しているから……それ程、心配することはないと思うわよ」
「はい、わかりました」
お母様の言葉はおそらく真実なのだろう……むしろ、復讐とかを考えそうな人だから。実の母親ながら、私はお母様には恐怖を感じたことが何度もあったりする。
聖女としての能力はお母様から受け継いだものなので、そういった血統による防衛本能が働いているのかもしれない……。私に対しては過剰ともいえる愛情を注いでくれたお母様だけれど、他人には容赦しないみたいな……。
「母上も人が悪いですね……」
「あら、それは誉め言葉かしら? 私は家族が蔑ろにされた場合、そのままにはしておけない性質なのよ」
私が応接室に向かう間に、テムザ兄さまとお母様が話していたようだけれど、内容までは聞き取れなかった。
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「エメリ・ハーグリーブス参りました」
「おお、エメリ! なんだか、久しぶりに感じるな!」
「ルドルフ様……」
私は今、一番会いたくない人物の顔を見て眉間にしわが寄りそうになっていた。必死に平常心を保っているけれど、すぐに限界を迎えそうだ。
「エメリ、よく来てくれたな」
「お父様、私がこの席に参加する必要はあるのでしょうか……?」
せっかくフラック・ルザーリオ王子殿下の下で仕事が出来ているのに……婚約破棄の件については思い出したくない状況だった。だからこそ、お父様に問いかけているのだ。
「済まないな、エメリ。ラグディ様やルドルフ殿の用事がどうやら、お前にあるようでな……」
まあ、そうでなければ私が応接室に呼ばれる意味がないからね。想定済みではあったけれど……一体、どういう内容なのかしら?
「どういった内容なのでしょうか?」
「話は簡単だ、エメリ嬢。我がコーブル公爵家の為に、聖女の能力を貸して欲しいのだ」
「……はい?」
ええと、何を言われたんだろうか。聖女の能力を貸して欲しい……? ラグディ・コーブル公爵は平然と言っているけれど……私の聞き間違いかしら?
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