婚約破棄したくせに、聖女の能力だけは貸して欲しいとか……馬鹿ですか?

マルローネ

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28話 メイラース・クヴェル その2

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「し、失礼致します……あ、あの……」

「呼び立てて済まなかったな、メイラース。そんなに緊張しなくても大丈夫だ」


 メイラースさんは流石に使用人という立場だからか、私達の前に来た時には緊張しているようだった。まあ、フラック王子殿下からの呼び出しだから無理もないけれど。

 私は軽くお祈りを捧げて、彼女の体力調整をした。緊張感が少しでも和らぐように。


「あ、あれ……? 身体が……」

「仕事効率を上げる際の祈りの応用をしておきました。少し、気分が楽になったのではないですか?」

「あ……申し訳ありません、エメリ様……」

「いえいえ、お気になさらずに」

 緊張はどうやら解れたようだ、顔色が良くなっているし。用意されたソファにメイラースさんは座った。緊張は解れたようだけれど、これから始まるのは追及なのよね……。


「ここに呼び出した理由は分かるかな?」

「そ、それは……」

 フラック様はなるべくメイラース様を責めないように問い質しているようだ。リシア様も彼女に視線を合わせているけれど、率先して言うつもりはないようだし。二人とも、優しさが伝わって来ていた。


「今日の昼過ぎにラグディ・コーブル公爵が正門前に来ていた件は知っているだろう?」

「は、はい……存じております」

「あの件について、もしも隠している件があるなら教えて欲しいのだ。些細なことでも問題はない」

「あの……そ、それは……」


 メイラース様は黙ってしまった。まあ、この態度からしてもラグディ様に通じているのは彼女で間違いないのだろうけれど。私はそこまで責める気にはなれなかった。彼女とは浅い付き合いではあるけれど、そんなに悪い人には見えなかったし。

「フラック王子殿下、私から話をしてもよろしいでしょうか?」

「リシア嬢? ああ、構わないが」

「ありがとうございます。メイラースさん、あなたはコーブル家の屋敷に出入りしている時期がありましたわよね? それでいてコーブル家の使用人ではない。間違いございませんか?」

「リシア様……はい、間違いございません」

 メイラースさんは素直に認めたようだ。やっぱり、彼女がスパイというのは間違いないのか……何か理由があるのかもしれないけれど、私は残念で仕方なかった。
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