婚約破棄したくせに、聖女の能力だけは貸して欲しいとか……馬鹿ですか?

マルローネ

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30話 ラグディへの断罪

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 その日、コーブル公爵家に私達は乗り込んでいた。理由はもちろん、ラグディ様を断罪する為だ。

「そ、そんな……! メイラースの奴が全てを話したというのですか!?」

「その通りだ、ラグディ殿。最早、言い逃れなど出来ないのは分かっているな?」

「くっ……! しかし、私は単純にエメリを呼んでくるように依頼しただけですが……」


 ラグディ様はさっきから見苦しい言い訳をしているけれど、口数自体はとても多かった。これは聖女の祈りによるものだ。あれから何度か試してみたけれど、聖女の祈りは相手の動きを活発化させる能力がある。

 だから、仕事の効率に影響したりしていたわけね。この動きと言うのは単純な会話でも同じなのだ。これから行おうとしていることを活性化させる……黙秘は不可能になるわけで。

「メイラースを使って、エメリを呼び出そうとしていたことは認めるわけだな?」

「そ、それは……」

「どうなんだ?」


 フラック様の言葉は怒気に満ちていた。私の為にしてくれているのだけれど、それがとても嬉しい。ラグディ様は完全に戦意を喪失しているようだった。ルドルフ様が隣に座っているけれど、彼も同じような様子を見せている。


「父上……フラック王子殿下に嘘を吐くわけにはいかないでしょう……? ここは正直に答えた方が良いかと思いますが……」

「ルドルフまでそんなことを言うのか!? 私はお前の為に動いているのだぞ!」


 なんだか分からないけれど、ラグディ様はルドルフ様に当たり散らし始めた。


「何を言っているのですか……領地経営の為でしょう? エメリの聖女の祈りがあれば、解決できる問題が多いですからね。私のことなんて、本当は二の次、三の次ではありませんか」

「ルドルフ……! 当り前だろう、元はと言えばお前が勝手にエメリと婚約破棄したのが原因ではないか! 何を今さら達観した気になっているのだ、全ての原因はお前にあるのだぞ!?」

「その話まで戻しますか……?」


 傍から見ている分にはとても面白いけれど、二人の争いは大変醜いものであった。どっちが悪いとかどうでも良いのよ。どっちもフォロー出来ないくらい悪いのだから……。

「私が言いたいことは1つだ、ラグディ殿」

「フラック王子殿下……?」

「一度ははっきり断った聖女の派遣の件を、再び盛り返そうとして姑息な手段に及んだ事実は決して許されることではないぞ。しっかりと刑罰に服することだな」

「あ、ああ……!」


 ラグディ様は言い逃れ出来ないと判断したのか、その場に崩れ落ちた。ルドルフ様の隣に座っていたリシア様は、そんなラグディ様をゴミのような目で見ている。

「コーブル公爵家とは縁を切る必要がありますわね……」


 静かに言った言葉が部屋中に響いていた。メイラースさんが、コーブル公爵家に出入りしていることを察知したのも彼女だし、今回の最大の功労者と言えるのではないだろうか。
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