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33話 その後のお話 その3
しおりを挟む「ふふふ、エメリ。しばらく見ない間に、随分と大人っぽくなったじゃない」
「お母様……そんなに久しぶりでもないと思いますが……」
いつものお母様の冗談が仕事場に飛び込んで来た。もう宮殿での仕事をして数カ月だ。自然と仕事にも慣れていた。その姿を見たお母様が変なことを言っているのだけれど……。
「本日は私の仕事風景を見たいという依頼をされたようですけれど、フラック様がお許しになったのですか?」
「ええ、そうよ。あいにく、テムザ達は来れなかったけれど、私だけは来ることが出来たわ」
「お父様やテムザ兄さまは用事ですかね」
「そういうことね。私が来た理由としては、聖女の能力を有効活用出来ているようで、安心したっていうことよ」
「ああ、そういうことですか……」
フラック様と私は婚約関係にある。私の仕事が上手く行っていることは、既に屋敷に届いているはずだけれど、お母様も私と同じく聖女の能力を行使できる為、心配だったのでしょうね。
「エメリがルドルフ様との婚約破棄になった時はどうしようかと思ったものだけれど……こうして立派に仕事を持ってくれて安心したわ」
「お母様……ありがとうございます。私が頑張ったわけではないですが」
「フラック様のおかげもあるけれど、あなたの人徳が今の幸福を掴んだのよ。自信持ちなさい」
「はい、お母様」
私は今、本当に幸せな状況にあると思う。フラック様と婚約が成立して、リシア様という友人まで出来たのだから。今でも偶にリシア様にはからかわれるけど、それを含めて楽しんでいる。
「ああ、それから……コーブル公爵家が事実上、監視対象になっているから、あの領地で行っている事業の生産効率が悪くなっているって話があったでしょ?」
「はい、前にありましたね」
「領地の民に罪はないから、ということで王家の方で生産効率の悪さを改善させる案が組まれているらしいわ」
「本当ですか?」
以前は私が聖女の能力で生産効率を上げていたけれど、それも無くなった為に、効率は落ちていると聞いている。そっか……ちょっとだけ心残りではあったから、どうなるのか気になっていたのよね。
「かなりの報酬を約束してくれてね」
「? どういう意味ですか?」
「もう引退したつもりだったけど、私も手伝うことになったわ」
「ええ~~!? そうなんですか?」
「まあ、コーブル公爵家と関わらないように配慮はしてくれるらしいから……あなたは宮殿内での仕事に注力しなさい。それから、フラック様との関係を大切にね」
「お母様……わかりました! お母様も気を付けてお仕事をしてくださいね!」
そっか……お母様は引退していたけれど、聖女としての仕事に復帰するんだ。今日はその報告がメインだったのでしょうね。屋敷に戻っても会えなくなる可能性が高そうだから……て、そこまでの頻度にはならないかな。
とにかく、頑張ってねお母様。コーブル家の領地の人々に罪がないのは確かだから。
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