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12話 救ってくれた その1
しおりを挟むディノス様とメリナ様は連れて行かれ、パーティー会場は静寂に包まれていた。この状態でしゃべると、私の声が響いてしまうけれど仕方ない。私はどうしてもケルビン様にお礼を言いたかったのだ。
「ケルビン様、本当にありがとうございました。なんとお礼を言ったらいいのか……」
「そんなに畏まる必要はないだろう? 私は当然のことをしたまでだ。あの二人が断罪されるのは必然だったしな。あとは……裁判所に任せておけば良い。然るべき罰が下るだろう」
「はい、ありがとうございます」
しまった……また、お礼を言ってしまったわ。まあいいか、そのくらい嬉しかったということだし。ケルビン様にはお礼を何度も言っても足りない程の恩が出来てしまった。これはいつか返さないといけないわね……。
「ケルビン様、このご恩は一生忘れません。いつか必ずお返しいたします」
「ははは、わかった。期待しているよ」
単純にディノス様とメリナ様の二人を断罪してくれただけではない。この一件は私に対する周囲の考えにも影響を与えていたからだ。
「おいおい、どういうことだ……? ディノス様の話は嘘だったのか?」
「そういうことになるでしょうね……なんだか、あんな噂を信じてしまった私がバカだったわ」
「リディア嬢には悪いことをしてしまったかもしれんな……」
直接謝りにくることはなかったけれど、噂を信じていた人達が少なくなった印象がある。それだけでも私は救われた気分になっていた。
「リディア様、良かったですね。私も心から嬉しく思います」
「シェリー……ありがとう。色々と苦労を掛けてしまったわね」
「いえ、とんでもございません。ケルビン王子殿下には、中々返せない程のご恩が生まれてしまいましたわね。これは一生を掛けて返さないと駄目ですね」
「それはそうね……ん?」
シェリーが私の傍に来てくれ励ましてくれたけれど……なんだか様子がおかしいような……。そんなことを考えると、タイミングを見計らったかのようにケルビン様が話し掛けて来た。
「リディア、私に対する恩義を返したいというのであれば……」
「は、はい……!」
何を言われるのだろう? 王子殿下が私に求めることなんて想像が付かなかった。私にこなせるものなのだろうか?
「今度もまた私と、会ってくれないか?」
「えっ……?」
ケルビン様が言った言葉は想定外のものだった。そんなことで大丈夫なのだろうか……?
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