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7話
しおりを挟む学園での騒動はビスタが捕まるという形で終了した。最終的には護衛をしていた兵士達に拘束されて連れて行かれたのだから世話がないというか……皮肉な話だ。
マリアはウィンドル様……父親にもこのことを伝えて叱られたらしい。その辺りはしっかりしているわね。本当に伝えるとは思わなかったから。
「ビスタについては二度とあなたに近づかせないわ。それで許してもらえるかしら?」
「大丈夫ですよ、マリア様。今はもうそんなに気にしていませんし」
「ならいいのだけれど……悪かったわ本当に」
「いえ」
マリアは誠心誠意私に謝罪してくれた。ビスタは聞くところによると、王位継承権を剥奪されるようだ。まあ、あんな情けない人が国王になったらそれはそれで大変だし、当たり前のような気がしてしまうけれど。
「でも、マリア様にまで罰が下るなんて……納得出来ないです」
「仕方がないのよ。あいにくだけれど、この学園での勉学には少々飽きていたし、丁度良いのかもしれないわ」
「でも……」
マリアに下った罰……それは諸国を放浪せよとのことだった。護衛は付くけれどしばらくの間王国から離れるということだ。
「各国の視察業務だと考えれば妥当なところだわ」
「マリア様が納得しているのなら、私からは何も言えないですけど」
彼女は課せられた罰を楽しむ心づもりのようだ。学園での勉強に関しては彼女からすればレベルが低いみたいだし、納得しているのなら何も言えない。
「それにしても、テレーズはしっかりとしているわね。こんな子が近くにいたなんて……私としたことが見落としていたわ」
「あ、ありがとうございます」
「ふふ、ビスタなんかには勿体ないわね。私がいただこうかしら」
「えっ……?」
最近のことだけれど、マリアの私を見る目が変だった。偶にドキッとすることを言って来るし……これはもしかして。
「やめてくださいよ、マリア様。私はそっち方面ではないので」
「わかっているわよ。冗談よ冗談」
どこまで本気かわからないけれど、度々、彼女に翻弄される毎日を送っていた。彼女はしっかりしているけれど相当な変わり者だ。それを楽しんでいる私も変わっているのかもしれないけれど。
「本当に冗談なんですか?」
「ふふ、どうかしらね。でも退屈しないで済みそうだわ。あなたという存在に出会えたし、諸国漫遊も楽しむつもりよ」
「あはは……そうなんですね。頑張ってくださいね」
「ええ、ありがとう」
マリアという存在を知れたこと……これは私にとっても大きな経験だった。ビスタの事件は許せるものではないけれど、彼女に罪はなかったと思う。マリア様との生活……そんな未来を私は予見していた。
おわり
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