異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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目覚めの聖女!

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「んー!」
 千春はベッドで伸びをしながら目を覚ました。

「おはようチハル。」
「おはよーサフィー、今何時?」
「5時よ。」
「え~、早すぎ~・・・明るくない?」
「それはそうよ、午後5時だもの。」
「・・・ん?」
 首を傾げる千春は少し考えてハッとした顔でサフィーナを見る。

「そうだった!え?私寝ちゃったの!?」
「ハル様が眠りにつかせたのよ、色々と疲れが溜まってたみたいだから。」
「あー、そうなんだ、で?おかぁさんは?」
 千春が話していると扉が開き、春恵と文恵が入って来る。

「おはよう千春、体は大丈夫?」
 春恵は微笑みながら問いかける、千春はウンウンと頷き、文恵を見る。

「おばぁちゃんもいるけど、どうしたの?」
「チーちゃんが村の人を助けたんでしょう?」
「あー、うん。」
「猪の料理があるって言われて春恵に呼ばれたの、お爺さんもいるわよ。」
「おお・・・そうだ!あっちでみんなが待ってるんだった!」
「大丈夫よ、ヨリちゃんたちもあっちで休んでるわ、そろそろ起きると思うけれど。」
「ヨリたちも寝てるの?」
「ええ、アイトネ様に眠らされたわ、魔力もそうだけれど、精神的にも結構ギリギリだったでしょう?あなた達。」
「・・・あー、そうなのかな、よくわかんないや。」
 千春は首を傾げる、しかし女神が言うのだ、そうなんだろうなと納得しながらベッドから降りる。

「それじゃあっちに戻るよ。」
 千春が言うと、文恵も頷き答える。

「それじゃお婆ちゃんももう一回行こうかね。」
「・・・もう一回?」
 千春が問いかけると、春恵が答える。

「もう3かいくらい往復してるわよ、調味料を取りに来たり、鍋に使う野菜を取りに帰ったりしてるわ。」
「えぇ~、言ってくれたら私も手伝うのに!」
「チーちゃんは頑張ってたんだから良いのよ、それじゃカイヤナ村に行こうか。」
「・・・カイヤナ村?何処それ。」
「チーちゃんが助けた村だよ?」
「カイヤナ村って言うんだ。」
「知らなかったのかい?」
「うん、今初めて知ったよ。」
 話をしながら千春は靴を履くと、文恵と一緒に寝室を出る、庭を見ると、いまだに妖精たちが物資や人を送り込んでいた。

「おかぁさん、私1時間くらい寝てたみたいだけど。」
「そうね、それくらいね。」
「ずっとこうなの?」
「そうよ?」
「マ?どれだけ荷物と人送ってるの!?」
「結構沢山ね、さっき魔導士団も行ってたわよ。」
「おお・・・それじゃアリンも行ってんだ。」
「ええ、今、魔導師団が村に結界を張っているわね。」
 春恵は遠くの空を見ながら呟く。

「よし!それじゃあっちで美味しい物作らないとね!」
 千春は腕捲りしながら自分を奮起させる、すると文恵が答えた。

「もう料理の準備は終わってるとおもうけどねぇ。」
「へ?なんで?」
「お婆ちゃんがルノアー君に料理を教えたからね、今頃は下ごしらえも終わってると思うねぇ。」
「えー!私の料理はー!?」
「たまにはゆっくりすれば良いじゃない、チーちゃんは今日いっぱい動いたんでしょう?」
「うー・・・それじゃ私のアイデンティティが・・・」
「何言ってるんだい、チーちゃんはチーちゃん、今日はお婆ちゃんと春恵、あとはママさん達に任せれば良いんだよ。」
「ママさん?え?ヨリママたちも行ってるの?」
「行ってるよ、王族の料理もあっちで作った料理を持って行く事になったからね。」
 文恵と千春、春恵、そしてサフィーナ達侍女は庭に出る、フェアリーリングの順番待ちをしていた商業ギルドの者は千春達に道を譲る。

「あ、ごめんなさい。」
「いえいえ。」
 にこやかに答える商業ギルドの男、千春は微笑み返すと、フェアリーリングで村へ戻った。


-------------------------


「千春が起きたな。」
 ルプがポツリと呟く、横に立っていたエンハルトはルプを見ながら問いかける。

「体調は分かるか?」
「ああ、すこぶる元気だ。」
「・・・それはそれで心配だな。」
「やる事は終わってるからな、これ以上無茶はしないだろ。」
 クックックと笑いを堪えるルプにエンハルトも笑みを零す、すると屋敷の中が騒がしくなる。

「ヨリも起きたばーい。」
 ビェリーはヨリの魂と繋がった感覚を受け取り、目を覚ました事を伝える、するとカプリオル族の若者が家から飛び出し、声を上げた。

「聖女様が目を覚まされたぞ!!!」
 声を聞いた他のカプリオル族はワラワラと集まり始める、子供や大人、老人までが庭に集まり家を見つめていた。

「来るぞ。」
 ルプが呟くと、庭に作られたフェアリーリングから千春が現れた。

「・・・!??!??!?」
 千春は現れた瞬間、沢山のカプリオル族に見つめられ、ビクッと体を震わせ一歩下がった。

「なに!?どしたの!?」
 千春はそう呟くと、すぐ近くにいたエンハルトとルプに問いかける。

「ハルト、ルプ、なにごと?」
「あぁ、今ヨリたちも起きた所でな、起きた事を種族の若者が報告したら集まって来た。」
「お礼でも言いたいんじゃ無いか?」
 エンハルトとルプの説明に千春は視線をカプリオル族に向ける、すると皆は膝をつき、頭を下げる、まるで騎士が王へ忠誠を誓う様に。

「ちょ!?頭上げてください!雪の上に膝つかないで!冷たいよ?!」
 相当な人が通ったのであろう、踏みしめられた雪に膝をつくカプリオル族、千春がおろおろとしていると家から毛でモコモコの長老が出てきた。

「聖女チハル王女殿下、この度はありがとうございます。」
 イットリは恭しく千春へ礼を言う、その後ろから頼子たちも出て来る。

「お帰り千春、めっちゃ寝てたわ。」
 頼子に千春も答える。

「私もあっちでおかぁさんに強制睡眠食らったわ~♪」
「疲れてたらしいんだけど、まぁ疲れてはいたけど、そこまでとはねー。」
 麗奈が笑いながら言う。

「まぁそれは良いとして、みなさーん!お礼は分りましたので立ってくださーい!冷たいし寒いのでー!」
 千春が言うと、カプリオル族は立ち上がる、そしてイットリは皆に声を掛けると、また皆はそれぞれの持ち場へ向かった。

「ヨリ、ママさんズ来てるらしいけど、何処?」
「・・・え?来てんの?」
「らしいよ?知らなかったの?」
「知らないよ、今起きたばっかりだもん、千春がジブラロールに帰って直ぐにアイトネ様に眠らされたよ。」
「マジか、来てるらしいんだけど・・・」
 千春はエンハルトを見る。

「ああ、トモミさん達は新しく作られた寄り合い所の厨房で料理を作っているぞ。」
「・・・新しく!?いつ作ったの?」
「1時間くらい前だ。」
「私が寝た後すぐ作ったのか・・・どうやって!?」
 思わず千春が突っ込むと、エンハルトが笑いながら答える。

「商業ギルドの建築部だな、魔法使いもフルメンバーで連れて来たからあっという間だったぞ。」
「凄いな異世界建築!」
「仮だからな、壊れはしないが後で作りなおすと言ってた、行くか?」
「行く!」
 千春が言うと、頼子達も頷く、すると文恵が前を歩き始める。

「チーちゃんこっちだよ。」
 文恵は近所を散歩するように歩き始める、道を歩いていると、カプリオルの女性が文恵に話しかけ微笑む、すれ違う者は皆笑顔で文恵に挨拶を交わす。

「・・・おばぁちゃん、馴染みすぎてない?」
「そうかい?」
 ニコッと微笑む文恵、春恵はクスクス笑いながら後ろを歩く、するとプレハブに毛が生えた程の大きな建物が見えた。

「あれか!」
「あれだね。」
「プレハブじゃん。」
「家ではないね。」
「でも丈夫そうだね。」
 聖女達が感想を言っていると、悠希と玲がプレハブから走って来る。

「ユラちゃん!」
「レンちゃん!イーナちゃん!」
 満面の笑みで走る2人にユラ達も2人に向かって走る。

「ただいまー!」
「体大丈夫?」
「うん!げんきだよ!」
「私もだいじょうぶだよ♪」
「イーナは寝て無いのですよ?」
「ユラとイーレンも寝てたの?」
 千春がルプに問いかける。

「ああ、範囲魔法を使っても治せない者がいてな、個々に追加で治療したらしい。」
「イーナは?」
 千春が言うと、耳元から声が聞こえ、アルデアが現れた。

「イーナは私が補填したわ、ユラとイーレンが寝ている間ずっと手を握ってたのよ。」
「そっか。」
 思わず微笑む千春に文恵が声を掛ける。

「チーちゃんこっちだよ。」
「はーい!おばぁちゃん!みんな行こう!」
 千春は振り返り聖女達を見る、十分な休憩を取り元気を取り戻した聖女達は頷き、臨時で作られた厨房へ向かった。






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