異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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もう一回フィアー領都でお買い物っ!

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「今日はこっちの通り?」
「はい、職人通りと言われ、家具や日用品などが売られています。」
 ヤーテの案内で通りを歩く千春達、何故かフランシスとテールキも楽し気に通りを見ていた、不思議に思い頼子はフランシスに話しかける。

「フランちゃんこういう所初めてなの?」
「初めてではありませんが、フィアー侯爵領に来たのが数年ぶりなので。」
「そうなんだ。」
「オーレン公爵領から遠い事も有りますから、なので、今回連れてきてもらって嬉しかったりします♪」
「テールキちゃんも?」
「はい♪ヤーテの生まれ育った領都へ来れて嬉しいです♪」
「それは良かったね、千春に無理やり連れて来られて困ってるかと思ったからさ。」
 前の方を歩く千春とヤーテ、頼子は後ろ姿を見ながらフランシスとテールキに言うと、2人は首を横に振る。

「チハルさんにはお世話になってます、それに一緒にお出かけするのは楽しいですもの、逆にお礼を言わなければならないくらいですわ。」
「ええ、今回は急で驚きましたけれど、何よりも優先しますわ♪」
 2人はニコニコと微笑みながら答えた。

「チハルさん?」
 不意に店を気にし始めた千春へ、ヤーテが話しかけた。

「・・・ん?」
「どうされました?」
「いや、あの店の商品なんだけど。」
 千春はそう言うと横を歩く美桜も店を見る。

「・・・え?なに、面白い物あった?」
 美桜は千春が見ていた店の方を見る、日の当たらない店の中に、家具や調度品が置かれ、老夫婦が座っている、美桜は千春と店の方へ向かうと、並べられた品を見回す。

「おおー、色々あるー。」
「・・・。」
 美桜が見回すと、千春は棚に置かれた小さな箱を手にする。

「それ買うの?」
「なんか気になっただけ。」
 千春が箱を手にし、クルクルと回しながら箱を調べる、すると老婆が千春に話しかけた。

「それはただの飾りだよ、聞いた話じゃ何かすれば開ける事が出来るらしいけどねぇ。」
 老婆に言われ千春はニパッと笑みを浮かべる。

「これアレじゃん?秘密箱だっけ?」
「あー!動画で見た事ある、なんか模様をスライドすると開けれるんだっけ?」
「それそれ!」
 千春は楽し気に答えながら箱を触る。

「おばあちゃん、これいくらですか?」
「んー?大銅貨1枚で良いよ、古びた飾りだからね。」
「はい!これ買います!」
 千春は巾着袋から大銅貨を一枚取り出すと、老婆に渡す。

「はい、ありがとうね。」
 ニコッと微笑む老婆に千春は手を振り店を出る。

「なにー?それ買ったの?」
 頼子が千春に話しかけると、千春は頷く。

「なんか気になったんだよね、なんだろなーって。」
「へぇ、珍しい、呪われてる品じゃないよね?」
「多分違うと思うけど。」
 千春はそう言うと、箱をじっと見つめる。

「どう?」
「呪いのモヤモヤは見えないから大丈夫じゃない?」
「で?なにそれ。」
「多分秘密箱、この模様を動かして鍵開けるんだと思う。」
 千春は歩きながら頼子と話す、そして箱を触るが、何も動かない。

「壊したらダメなん?」
 美桜が横から言うが、千春は首を振る。

「それじゃ面白くないじゃーん。」
 千春は美桜に答えながら手を動かす、しかし箱は何処も動かなかった。

「チハルさん、お店につきますよ?」
 ヤーテは箱しか見ていない千春に声を掛けると、千春は、ハッとした顔で前を見る、ヤーテの指す方に店があり、鍋やフライパン、フライ返しなどが並んでいた。

「おー!キッチン用品やさん!」
 千春は嬉しそうに目を輝かせ、調理器具を見回す。

「あー!いいなこれ!大き目のフライパン!」
「持ってるじゃん。」
 麗奈が千春に突っ込むと、千春は答える。

「いやぁ、もう少し大きいの欲しいなーっておもってたのよ、最近特に沢山作るじゃん?」
「作るねー、っていうか私も欲しいかも。」
「この鍋もよくない?」
「ちっちゃくない?」
「袋ラーメン作るのに良いサイズじゃん?」
「作るの?」
「たまにね。」
 青空と大愛が小さめの鍋を手にしながら話す、すると日葵が千春に問いかける。

「ジンギスカン鍋は?」
「あ、そうだったわ。」
 千春はアイテムボックスから、昨夜絵に書き起こしたジンギスカン鍋のイラストを取り出すと、店員に声を掛ける。

「すみませーん!」
「はーい!」
 中からパタパタと走って来る小柄な女性、返事を返すと千春に話しかけて来た。

「すみません、作り物注文したいんですけれど~♪」
「はいはーいどのような物ですかー?」
「これですけど。」
 千春は紙を渡すと、少女は目を開き驚く。

「なんですかこれ!?」
「あ、ジンギスカン鍋っていうんですけどね?」
「このツヤツヤした!紙ですよね!?」
「あ、はい、いや、そうじゃなくて、そっちの絵なんですけど。」
「この紙何処で手に入れたんですか?!」
「えっと、その・・・。」
 千春は話を聞かない少女に困りながら後ろを見ると、エンハルトが笑って見ていた。

「ジブラロールの王都とムカイ領で作り始めたからな、王都で買えると言って良いぞ。」
「ういっ、王都で買えます!で!その絵!その絵に書いてる鍋が欲しいんですよ!」
 千春は少女に捲し立てるように言うと、少女はポカンとした顔で頷く。

「はい、えっと、これですね、お父さんに見せて来ても良いですか?」
「お願いします♪」
 やっと話が通じたと、千春はホッとした顔で頷く、すると中から渋い男性が出てきた。

「あー、この子かい?」
「うん!」
 少女が答えると、男が千春を見る。

「これはなんだい?」
「ジンギスカン鍋って言う鍋なんですよ、羊肉を焼いて食べる鍋です。」
「この盛り上がりは?」
「えっと、これはー・・・。」
 千春はジンギスカン鍋の説明をすると、男は頷き感心しながら話す。

「熱と油よけ、色々考えられた物なんだな、良いだろう、俺も作ってみたいから請け負う。」
「ありがとうございます♪で、どれくらいで出来ます?」
「そうだな、初めて作る物だからな、3日もあれば作れるだろう。」
 千春は男の言葉を聞き、止まる。

「・・・3日ですか。」
「ああ、それくらいだな。」
「そのぉ、早く出来たりします?」
「急ぎか?」
「まぁまぁ急ぎで作って貰ったら嬉しいです。」
「それは構わないが、優先するなら高くなるぞ?」
 男に言われ、千春は金貨を一枚取り出す。

「これでどうでしょう!」
「金貨!?」
「はい!どれくらいで出来ますか?」
「明日の朝までに作ろう、どうだ?」
「お願いしまーす♪」
 千春は嬉しそうに答え、男も少女も嬉しそうに頷いた、交渉成立し、千春は店を出る。

「ジンギスカンは明日になりましたー。」
「はいよー。」
「ういーっす。」
「今日はどうするの?このまま買い物?」
 花音が千春に問いかける。

「うん、そのつもりだけど。」
 千春は花音に答えていると、後ろでモリアンが声をあげる。

「ああああ!!!」
「どうしたの?モリー。」
 千春がモリアンを見ると、先程かった箱がバラバラになり地面に落ちた。

「こわれちゃいました!!!」
「え?モリーそれ解いたの?!」
「え?壊れちゃったんじゃないんですかぁ?」
 いくつかのパーツに分かれ、分解された箱、そして一枚の古い紙が地面に落ちていた。

「なにこれ。」
 千春は紙を手に取る、数回折られた紙を千春は広げていく。

「柔らかい紙だなー。」
 千春の手元をみながらエンハルトが答える。

「それは羊皮紙だな。」
「ようひし?これが?」
「初めて見たのか?」
「うん。」
「まあ王都でも今は紙を使っているが、昔はこれが主流だったらしいぞ。」
「私は見た事あるよーん♪」
 横から頼子が千春の持つ羊皮紙を見ながら答える。

「どこで?」
「アリンさんの所、昔の文献とかは羊皮紙多いんだってさ。」
「へぇ。」
 千春は羊皮紙を広げる、紙にはいびつな線が引かれ、小さな文字が書かれていた。

「・・・よめぬ!ハルト読める?」
「どれ、みせてくれ。」
 エンハルトは紙を見つめる、そして口を開く。

「わからないな。」
「え?読めないの?」
「ああ、無理だな。」
「なんか殴り書きみたいな文字だもんね、へたくそ?」
「いや、そうじゃない、古い文字だ。」
「ほほぉ~?それじゃアリンなら読めるかな。」
「どうだろうな、この線は地図のようだが、一度帰るか?」
「気にはなるけど別に急ぐ必要はないからなー。」
 千春が言うと、頼子がニコッと微笑む。

「千春、私が呼んでくるわ♪リリ、付き合ってくれる?」
「いいわよ~♪」
 リリに声を掛けると頼子は杖を取り出し跨る。

「ちょっといってくるわ!」
「いってくるわねー♪」
 頼子はビェリーを頭に乗せ、リリと空へ飛び立つ、残された皆は頼子に手を振り、千春はモリアンの持つバラバラの箱を見る。

「なんだろねこれ。」




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