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遺跡でらんくあーっぷ!
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淡い光は千春の手を包み込むように広がっていく。その瞬間、彼女の意識はふっと浮かぶような感覚に囚われた。
光の中、何かが流れ込んでくる。
言葉ではない。記憶の断片。祈り。微笑み。涙。誰かの声。誰かの手。
それは遥か昔、けれど温かな感情に満ちていた。
教会の鐘の音。子どもたちの笑い声。血に染まる夜。祈り続けた日々。救いたいと願った、全ての命。
それは、最初の聖女の記憶。
「千春!!」
頼子の叫びに、皆がはっとする。
千春の体が、淡い光に包まれたまま、静かに宙に浮いていた。
その瞳は閉じられ、けれどその顔はどこか穏やかで、痛みも苦しみもないように見えた。
「チハル!!大丈夫なの!?」
美桜が駆け寄ろうとするが、その足をコンがそっと止める。
「待ってください、これは今、千春さんの魂は、“かつての記憶”と繋がっています。」
コンの静かな言葉に、皆が息を呑んで見守る。
そして──
「・・・ありがとう」
ふわりと、千春の唇が動いた。
その声は、小さく、優しく、けれどしっかりと響く。
次の瞬間、光がゆっくりと収まり、千春はふたたび床に足をつけた。彼女はゆっくりと目を開け、周囲を見回す。
「・・・ただいま。」
その一言に、誰もが言葉を失った。
だが、そこには確かに、かつてと同じ千春がいた。
しかし・・・その瞳の奥には、何か深く、揺るがぬ光が宿っていた。
「千春・・・!」
頼子が駆け寄り、その手を取り、強く抱きしめた。
「大丈夫?変なところない?!」
「うん、ありがとう。」
千春は微笑む。その表情は、どこか懐かしく、そして新しかった。
「チハル・・・今の、記憶全部、見たの?」
青空が恐る恐る問うと、千春は少し首をかしげた。
「全部じゃないと思う、でも気持ちは、わかった、すごく、すごく、伝わってきたの」
彼女は女神像を見上げ、そっと手を胸に当てた。
「祈ってたの、私たちのこと・・・未来の誰かが、ちゃんと歩いてくれるようにって」
「最初の聖女が?」
「うん、今度は私が、その続きを歩く番なんだと思う。」
そう答えると、千春はアイトネの前に行く。
「女神アイトネ様。」
千春は、柔らかな微笑を湛えるアイトネの瞳をまっすぐに見つめた。
「まもってくれて、ありがとう。」
それは、千春としての言葉であり、同時に、前世の少女──ウィステルとしての想いだった。
アイトネは何も言わず、ただ静かに頷くと、そっと両腕を広げて千春を優しく抱き寄せた。
その抱擁は温かく、包み込むような光に満ちていた。
「・・・アイトネ様・・・」
千春はこらえきれず、ぽろぽろと涙を流した、胸の奥にこびりついていた感情が、溶けていくようだった。
アイトネは、静かに千春の名を呼ぶ。
『・・・ウィステル。』
「はい・・・」
かすかに返事をした千春に、アイトネは想いを紡いでゆく。
『もっと話したかったの、もっと一緒にいたかった、けれど・・・私は“管理者”だったから、それが許されなかったの。』
その言葉には、かすかな寂しさと、悔いが滲んでいた。
「・・・・・・。」
千春は、こくりと頷いた。そして、アイトネが続ける。
『でもね。今なら、わかるの。もっと人と関わっても、いいのだって。今のあなたたちなら、信じてもいいって。』
千春の背を撫でながら、アイトネは続けた。
『頼子たちも、美桜も、麗奈も、青空も・・・みんな、あなたと共に“聖女”になった。あなたがひとりで抱える必要なんて、もうないのに・・・ごめんなさいね、寂しい思いをさせて。』
千春はアイトネの腕の中で、首を横に振った。
「みんな一緒・・・。」
涙を浮かべたまま、けれどどこか晴れやかな表情で呟き答える千春。
しばらくの静寂が流れた後、千春とアイトネはゆっくりと離れた。
千春がニコッと微笑んだその時・・・
「チハル・・・」
エンハルトが、おそるおそる声を掛けた。
千春はくるりと振り向き、ぱっと明るい笑顔を浮かべて叫んだ。
「ハルト! こっちの方にすっごい美味しい鳥がいるんだって!」
「えっ?」
皆が一斉にきょとんとした表情になる、そしてエンハルトの横に立っていたアリンハンドが、おずおずと声をかけた。
「・・・チハルさん、ですよね?」
「うん、そうだよ?」
千春は何でもない様子で答える。
「ちょ、ちょっと待って?千春、記憶は?何回前かわかんないけど、前世の魂とかは?」
頼子が戸惑いながら訊ねると、千春は首をかしげて笑った。
「もらったよ、記憶。でも魂はよくわかんないや、ただ、私がそうらしいよ?」
「さっきアイトネ様に話しかけてた時、別人みたいだったじゃん!」
美桜がツッコミを入れると、千春は平然と答えた。
「いや、私だよ? ウィステルちゃんの言葉が残ってて、それをそのまま伝えただけ、お手紙みたいなもんだよ。」
そんな千春に、サフィーナが優しく問いかけた。
「チハル・・・その、聖女としての宿命とか、背負ってるものがあったりするの?前世の思い残し、みたいな・・・。」
「さあ?どうなの、アイトネ?」
あっけらかんと千春がアイトネへ投げると、女神はふっと笑って答える。
『ないわよ?いつも通りね。でも・・・』
少し言葉を濁したその瞬間、麗奈が食い気味に詰め寄る。
「でも・・・?」
アイトネは視線を逸らしながら、呟くように言った。
『ちょっと・・・ランクアップしちゃった・・・かな?』
「へ? なにそれ!? 聞いてない!」
『言ってないもの。』
「何!? どうなったの!?」
『えっと、新しい称号、“神聖女”ね♪』
「何それ。」
『今までと変わらないわよ? ちょっとだけ魔力とかマナの保有量が増えたくらい・・・かな?』
「そのごまかし方、絶対なんかあるでしょ!」
千春の問い詰めに、アイトネは笑って目をそらした。
「アイトネ様、魔力上がったって・・・どれくらいなんです?」
麗奈が訊ねる、すると、美桜が乗っかるように尋ねた。
「たとえばメグ様以上とか?」
アイトネはさらりと答える。
『メグちゃんよりは少ないわ。あの子は特殊な魂の持ち主よ。この世界で、あの子以上の魔法使いはいないわ。』
「マジか・・・女神様のお墨付きの世界一なんだ、メグ様。」
花音がぽつりと呟く。
「まぁ、変わらないなら別にいっか。」
「いいんかい!」
千春がそう言えば、頼子が速攻でツッコミを入れた。
「それよりもさ! 美味しい鳥がいるんだってば!」
千春はそう言って、聖堂の奥を指さす。
「あっちが出口だから、みんな行こう!」
「え? なんでそんなこと知ってんの?」
「ウィステルちゃんの記憶だよ♪」
「マジか、便利だな・・・」
頼子は感心しつつも呆れながら言う、そして、皆が奥へと向かうと、扉に古い文字が刻まれていた、千春がその前で立ち止まり、ぽつりと呟く。
「ストノクト大聖堂・・・あ、やっぱり聖堂だったんだ、ここ。」
「読めるの?」
サフィーナの問いに、千春は頷いた。
「うん、読めるね。たぶん古代魔術語、全部読めると思う。」
その言葉に、アリンハンドが瞳を輝かせる。
「チハルさん! 本当ですか!?」
「多分ね~♪」
「では、王都に戻ったら読んでいただきたい文書があります! 未解読の古文書がありまして!」
「はいはい、読めたら読みますよ~、それより鳥!ルプ、美味しい鳥料理のために頑張って!」
「おう、任せろ! いくらでも狩ってやる!」
ルプが力強く答え、ロイロも隣で笑った。
「いつものチハルじゃなぁ。」
「そりゃそうだよ、私は私で~す♪」
少女たちの笑い声が、聖堂の天井高くへと響き渡る、それは、祝福のような笑い声だった。
“最初の聖女”の記憶を継いだ少女は、変わらぬ笑顔で仲間と歩き出す、魂を受け継ぎ、祈りを繋ぎ、今を生きる少女として。
光の中、何かが流れ込んでくる。
言葉ではない。記憶の断片。祈り。微笑み。涙。誰かの声。誰かの手。
それは遥か昔、けれど温かな感情に満ちていた。
教会の鐘の音。子どもたちの笑い声。血に染まる夜。祈り続けた日々。救いたいと願った、全ての命。
それは、最初の聖女の記憶。
「千春!!」
頼子の叫びに、皆がはっとする。
千春の体が、淡い光に包まれたまま、静かに宙に浮いていた。
その瞳は閉じられ、けれどその顔はどこか穏やかで、痛みも苦しみもないように見えた。
「チハル!!大丈夫なの!?」
美桜が駆け寄ろうとするが、その足をコンがそっと止める。
「待ってください、これは今、千春さんの魂は、“かつての記憶”と繋がっています。」
コンの静かな言葉に、皆が息を呑んで見守る。
そして──
「・・・ありがとう」
ふわりと、千春の唇が動いた。
その声は、小さく、優しく、けれどしっかりと響く。
次の瞬間、光がゆっくりと収まり、千春はふたたび床に足をつけた。彼女はゆっくりと目を開け、周囲を見回す。
「・・・ただいま。」
その一言に、誰もが言葉を失った。
だが、そこには確かに、かつてと同じ千春がいた。
しかし・・・その瞳の奥には、何か深く、揺るがぬ光が宿っていた。
「千春・・・!」
頼子が駆け寄り、その手を取り、強く抱きしめた。
「大丈夫?変なところない?!」
「うん、ありがとう。」
千春は微笑む。その表情は、どこか懐かしく、そして新しかった。
「チハル・・・今の、記憶全部、見たの?」
青空が恐る恐る問うと、千春は少し首をかしげた。
「全部じゃないと思う、でも気持ちは、わかった、すごく、すごく、伝わってきたの」
彼女は女神像を見上げ、そっと手を胸に当てた。
「祈ってたの、私たちのこと・・・未来の誰かが、ちゃんと歩いてくれるようにって」
「最初の聖女が?」
「うん、今度は私が、その続きを歩く番なんだと思う。」
そう答えると、千春はアイトネの前に行く。
「女神アイトネ様。」
千春は、柔らかな微笑を湛えるアイトネの瞳をまっすぐに見つめた。
「まもってくれて、ありがとう。」
それは、千春としての言葉であり、同時に、前世の少女──ウィステルとしての想いだった。
アイトネは何も言わず、ただ静かに頷くと、そっと両腕を広げて千春を優しく抱き寄せた。
その抱擁は温かく、包み込むような光に満ちていた。
「・・・アイトネ様・・・」
千春はこらえきれず、ぽろぽろと涙を流した、胸の奥にこびりついていた感情が、溶けていくようだった。
アイトネは、静かに千春の名を呼ぶ。
『・・・ウィステル。』
「はい・・・」
かすかに返事をした千春に、アイトネは想いを紡いでゆく。
『もっと話したかったの、もっと一緒にいたかった、けれど・・・私は“管理者”だったから、それが許されなかったの。』
その言葉には、かすかな寂しさと、悔いが滲んでいた。
「・・・・・・。」
千春は、こくりと頷いた。そして、アイトネが続ける。
『でもね。今なら、わかるの。もっと人と関わっても、いいのだって。今のあなたたちなら、信じてもいいって。』
千春の背を撫でながら、アイトネは続けた。
『頼子たちも、美桜も、麗奈も、青空も・・・みんな、あなたと共に“聖女”になった。あなたがひとりで抱える必要なんて、もうないのに・・・ごめんなさいね、寂しい思いをさせて。』
千春はアイトネの腕の中で、首を横に振った。
「みんな一緒・・・。」
涙を浮かべたまま、けれどどこか晴れやかな表情で呟き答える千春。
しばらくの静寂が流れた後、千春とアイトネはゆっくりと離れた。
千春がニコッと微笑んだその時・・・
「チハル・・・」
エンハルトが、おそるおそる声を掛けた。
千春はくるりと振り向き、ぱっと明るい笑顔を浮かべて叫んだ。
「ハルト! こっちの方にすっごい美味しい鳥がいるんだって!」
「えっ?」
皆が一斉にきょとんとした表情になる、そしてエンハルトの横に立っていたアリンハンドが、おずおずと声をかけた。
「・・・チハルさん、ですよね?」
「うん、そうだよ?」
千春は何でもない様子で答える。
「ちょ、ちょっと待って?千春、記憶は?何回前かわかんないけど、前世の魂とかは?」
頼子が戸惑いながら訊ねると、千春は首をかしげて笑った。
「もらったよ、記憶。でも魂はよくわかんないや、ただ、私がそうらしいよ?」
「さっきアイトネ様に話しかけてた時、別人みたいだったじゃん!」
美桜がツッコミを入れると、千春は平然と答えた。
「いや、私だよ? ウィステルちゃんの言葉が残ってて、それをそのまま伝えただけ、お手紙みたいなもんだよ。」
そんな千春に、サフィーナが優しく問いかけた。
「チハル・・・その、聖女としての宿命とか、背負ってるものがあったりするの?前世の思い残し、みたいな・・・。」
「さあ?どうなの、アイトネ?」
あっけらかんと千春がアイトネへ投げると、女神はふっと笑って答える。
『ないわよ?いつも通りね。でも・・・』
少し言葉を濁したその瞬間、麗奈が食い気味に詰め寄る。
「でも・・・?」
アイトネは視線を逸らしながら、呟くように言った。
『ちょっと・・・ランクアップしちゃった・・・かな?』
「へ? なにそれ!? 聞いてない!」
『言ってないもの。』
「何!? どうなったの!?」
『えっと、新しい称号、“神聖女”ね♪』
「何それ。」
『今までと変わらないわよ? ちょっとだけ魔力とかマナの保有量が増えたくらい・・・かな?』
「そのごまかし方、絶対なんかあるでしょ!」
千春の問い詰めに、アイトネは笑って目をそらした。
「アイトネ様、魔力上がったって・・・どれくらいなんです?」
麗奈が訊ねる、すると、美桜が乗っかるように尋ねた。
「たとえばメグ様以上とか?」
アイトネはさらりと答える。
『メグちゃんよりは少ないわ。あの子は特殊な魂の持ち主よ。この世界で、あの子以上の魔法使いはいないわ。』
「マジか・・・女神様のお墨付きの世界一なんだ、メグ様。」
花音がぽつりと呟く。
「まぁ、変わらないなら別にいっか。」
「いいんかい!」
千春がそう言えば、頼子が速攻でツッコミを入れた。
「それよりもさ! 美味しい鳥がいるんだってば!」
千春はそう言って、聖堂の奥を指さす。
「あっちが出口だから、みんな行こう!」
「え? なんでそんなこと知ってんの?」
「ウィステルちゃんの記憶だよ♪」
「マジか、便利だな・・・」
頼子は感心しつつも呆れながら言う、そして、皆が奥へと向かうと、扉に古い文字が刻まれていた、千春がその前で立ち止まり、ぽつりと呟く。
「ストノクト大聖堂・・・あ、やっぱり聖堂だったんだ、ここ。」
「読めるの?」
サフィーナの問いに、千春は頷いた。
「うん、読めるね。たぶん古代魔術語、全部読めると思う。」
その言葉に、アリンハンドが瞳を輝かせる。
「チハルさん! 本当ですか!?」
「多分ね~♪」
「では、王都に戻ったら読んでいただきたい文書があります! 未解読の古文書がありまして!」
「はいはい、読めたら読みますよ~、それより鳥!ルプ、美味しい鳥料理のために頑張って!」
「おう、任せろ! いくらでも狩ってやる!」
ルプが力強く答え、ロイロも隣で笑った。
「いつものチハルじゃなぁ。」
「そりゃそうだよ、私は私で~す♪」
少女たちの笑い声が、聖堂の天井高くへと響き渡る、それは、祝福のような笑い声だった。
“最初の聖女”の記憶を継いだ少女は、変わらぬ笑顔で仲間と歩き出す、魂を受け継ぎ、祈りを繋ぎ、今を生きる少女として。
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