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目が覚めたらゲームの世界!?
第16話-麗しの騎士-
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校庭に出ると相変わらずの人の多さに気疲れしてしまいそうになる。
学院側の生徒が群れをなしながら歩いて、学校側の生徒に声をかけてみたり、逆に学校側の生徒が学院側の生徒に対して自分のアピールをしている場面があちらこちらで行われている。
その中でも学院側でも学校側でも囲いができている生徒もいたり、そんな囲いなど皆無の生徒もいてお互い苦労している姿が見える。
「フランソワ様」
人ごみの中で名前を呼ばれた気がする。それも聞いたことのある声。
「ユリィ。偶然ね」
「はい。ちょうどフランソワ様をお見かけしたので。お目当ての方には会えましたか?」
「あー。うん。ちゃんと会えたわよ」
「それは良かったです! フランソワ様ならのお誘いなら断ることもなかったでしょう!」
上手くいったと当然の如く思ってくれている友人の言葉が心に突き刺さる。
「そうね。今日の事はまた今度話しましょう。ところで、騎士学校の生徒で女の子を見なかった?」
「さっきあっちの方で数人に囲まれているのを見かけましたが。学院の方ではないような雰囲気だったので、恐らくその方ではないかと」
ユリィが来た方向に手を差して場所を教えてくれた。
「本当!? ならその人かも! そしたら私そっち行ってみるわ。ありがとうね」
「それでは私は先に学院へ戻ります。少し歩き疲れてしまったので」
「えぇ。また明日会いましょう」
ユリィに教えてもらった方に行くといくつか囲いがある中で一つ目立つ囲いがあった。華やかな雰囲気のある集団。中心に立っているのは間違いなくユリ=ランだわ。
首元まで伸びた栗色の髪が陽に照らされて艶が出ていて、横顔はしなやかなのにどこか鋭い男性らしさを彷彿とさせる。着ている服はドレスではなく、細身のパンツスタイルに腰元まで裾のある礼服が彼女を一層煌びやかにしている。
攻略キャラ唯一恋愛には入らないけど個別ルートのある男装キャラでユーザーからの人気が毎回安定して高いキャラクター。
騎士学校唯一の女子生徒ということもあってか、周りにも男女共に10人ほどの囲いができている。見た感じでは上級生も混じっている。
その囲いに加わるが当然後から来たのだから私は一番後ろで虎視眈々と話すチャンスを待つことになった。
「君本当に女子なんだな。どんなものか見に来てみたが、近衛としての役目を果たせるかは期待できそうにないな」
最前列に立っている男子生徒が言い放った一言は間違いなく侮蔑の言葉だった。だけど、その言葉を聞いていた周りの生徒はそれに何も言わない。調子を合わせているように見えた。
私が言われたわけではない。だけど私自身その言葉を言った男子生徒に何か言わないとモヤモヤした気持ちが晴れそうになかった。
そう思って前に出ようとすると侮蔑の言葉を投げられた本人と目があった。彼女はこちらに向かって小さく頷いた。私はそれを『ストップ』の合図だと受け取って前に出るための足を引っ込めた。
「申し訳ございません。まだ入学したてでもあり、実績もないので返す言葉も御座いません。ただ、私が活躍できるかは卒業時迄分からないのも事実。それまで見守っていただければと存じます」
「ふん。俺は3年でな。お前の卒業する頃にはもういないさ。物珍しいから見に来ただけで近衛に誘いに来たわけでもないだ。残念だったな」
好き放題言ってその場を去って行った。3年だったのか。それにしても感じの悪い奴だった、今でもちょっとむかつく。
「さっきはありがとうございました。私の事なのに怒ってくれたのでしょう」
完全に目線をこっちに向けて話しかけてくる。明らかに私に向けて言った言葉だった。
「流石にあの言い方は失礼だと思ったの。何様って感じ」
「でもあなたから見て彼は上級生です。目に止まればあなたの学校生活が平穏でなくなるかもしれませんよ」
「元より平穏な生活じゃない気がするから大丈夫よ」
私とユリの会話を見て周りも不満と怒りを露わにして、「同じ男として恥ずかしい言葉だ」「あんな男がいる家は程度が知れますわ」。それぞれがさっきの上級生を批判する言葉を口にしだした。
「ほら、みんなだってそう思ってるみたいよ」
「でも彼がそう思うのも無理はないと思います。自分でも言った通り私にはまだ実績がない。近衛としての役目を全うできるかの判断材料がないのは間違いないですから。それに物珍しいのも確かです。前例のない事象には認めてもらうまで時間はかかるものです」
決してどちらか片方を責めるような言葉ではない。彼女が見ているのはあくまで客観的な視点から見た自分だった。
彼女の言う『前例のない』は私自身にもかかる言葉で、その言葉は他人事のようには思えない。
「だから私は今から実績を積み重ねて認めてもらうしかありません。彼にも将来女性の近衛騎士が誕生した時に認めてもらいたいですね」
さっきの男が向かった方を見てユリは覚悟の言葉を口にした。
学院側の生徒が群れをなしながら歩いて、学校側の生徒に声をかけてみたり、逆に学校側の生徒が学院側の生徒に対して自分のアピールをしている場面があちらこちらで行われている。
その中でも学院側でも学校側でも囲いができている生徒もいたり、そんな囲いなど皆無の生徒もいてお互い苦労している姿が見える。
「フランソワ様」
人ごみの中で名前を呼ばれた気がする。それも聞いたことのある声。
「ユリィ。偶然ね」
「はい。ちょうどフランソワ様をお見かけしたので。お目当ての方には会えましたか?」
「あー。うん。ちゃんと会えたわよ」
「それは良かったです! フランソワ様ならのお誘いなら断ることもなかったでしょう!」
上手くいったと当然の如く思ってくれている友人の言葉が心に突き刺さる。
「そうね。今日の事はまた今度話しましょう。ところで、騎士学校の生徒で女の子を見なかった?」
「さっきあっちの方で数人に囲まれているのを見かけましたが。学院の方ではないような雰囲気だったので、恐らくその方ではないかと」
ユリィが来た方向に手を差して場所を教えてくれた。
「本当!? ならその人かも! そしたら私そっち行ってみるわ。ありがとうね」
「それでは私は先に学院へ戻ります。少し歩き疲れてしまったので」
「えぇ。また明日会いましょう」
ユリィに教えてもらった方に行くといくつか囲いがある中で一つ目立つ囲いがあった。華やかな雰囲気のある集団。中心に立っているのは間違いなくユリ=ランだわ。
首元まで伸びた栗色の髪が陽に照らされて艶が出ていて、横顔はしなやかなのにどこか鋭い男性らしさを彷彿とさせる。着ている服はドレスではなく、細身のパンツスタイルに腰元まで裾のある礼服が彼女を一層煌びやかにしている。
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騎士学校唯一の女子生徒ということもあってか、周りにも男女共に10人ほどの囲いができている。見た感じでは上級生も混じっている。
その囲いに加わるが当然後から来たのだから私は一番後ろで虎視眈々と話すチャンスを待つことになった。
「君本当に女子なんだな。どんなものか見に来てみたが、近衛としての役目を果たせるかは期待できそうにないな」
最前列に立っている男子生徒が言い放った一言は間違いなく侮蔑の言葉だった。だけど、その言葉を聞いていた周りの生徒はそれに何も言わない。調子を合わせているように見えた。
私が言われたわけではない。だけど私自身その言葉を言った男子生徒に何か言わないとモヤモヤした気持ちが晴れそうになかった。
そう思って前に出ようとすると侮蔑の言葉を投げられた本人と目があった。彼女はこちらに向かって小さく頷いた。私はそれを『ストップ』の合図だと受け取って前に出るための足を引っ込めた。
「申し訳ございません。まだ入学したてでもあり、実績もないので返す言葉も御座いません。ただ、私が活躍できるかは卒業時迄分からないのも事実。それまで見守っていただければと存じます」
「ふん。俺は3年でな。お前の卒業する頃にはもういないさ。物珍しいから見に来ただけで近衛に誘いに来たわけでもないだ。残念だったな」
好き放題言ってその場を去って行った。3年だったのか。それにしても感じの悪い奴だった、今でもちょっとむかつく。
「さっきはありがとうございました。私の事なのに怒ってくれたのでしょう」
完全に目線をこっちに向けて話しかけてくる。明らかに私に向けて言った言葉だった。
「流石にあの言い方は失礼だと思ったの。何様って感じ」
「でもあなたから見て彼は上級生です。目に止まればあなたの学校生活が平穏でなくなるかもしれませんよ」
「元より平穏な生活じゃない気がするから大丈夫よ」
私とユリの会話を見て周りも不満と怒りを露わにして、「同じ男として恥ずかしい言葉だ」「あんな男がいる家は程度が知れますわ」。それぞれがさっきの上級生を批判する言葉を口にしだした。
「ほら、みんなだってそう思ってるみたいよ」
「でも彼がそう思うのも無理はないと思います。自分でも言った通り私にはまだ実績がない。近衛としての役目を全うできるかの判断材料がないのは間違いないですから。それに物珍しいのも確かです。前例のない事象には認めてもらうまで時間はかかるものです」
決してどちらか片方を責めるような言葉ではない。彼女が見ているのはあくまで客観的な視点から見た自分だった。
彼女の言う『前例のない』は私自身にもかかる言葉で、その言葉は他人事のようには思えない。
「だから私は今から実績を積み重ねて認めてもらうしかありません。彼にも将来女性の近衛騎士が誕生した時に認めてもらいたいですね」
さっきの男が向かった方を見てユリは覚悟の言葉を口にした。
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