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白と黒の騎士
第22話-異変-後編
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驚いたようにホリナは自分の顔に手のひらを這わせた。這わせた手にはホリナから出ていたのか汗の跡が残った。暑い季節に向かっているとはいえそれにしても今日の天気でそこまでの汗をかくものだろうか。
「大丈夫です。何も問題ありません」
そう言い切ったホリナは深く息を吸って吐いた。それは普段のホリナから想像できない、自分に鞭を打って体を動かす時のしぐさだ。
「本当に? 早めに宿に行って休んだ方がいいんじゃない? いえ、休みましょう。これは命令」
「そう……言われるのでしたら」
ホリナを先頭に泊まる予定の宿へと向かう。ここから高層にある宿まで行くのに30分ほど歩くらしい。街中なので乗り物もなく私たちは歩くしかなかった。
中層に差し掛かった付近でホリナの足が止まった。片膝を地面につけて座り込む。
「ホリナ! どうしたの!?」
「お嬢様……私に近づかない方がいいです」
周りの人が奇異のまなざしを向けてくる。当然だ。私だって逆の立場なら視線を向けてしまう。
「限界よ。この辺で宿を取りましょう。荷物は私が引っ張るから、私の肩につかまって」
返事の帰ってこないホリナの腕を肩に回して引っ張った。
「お嬢ちゃん。宿ならそこにあるよ」
見かねた女性が教えてくれた。指さす方はすぐななめ前の建物だ。
「ご親切にありがとうございます。助かります」
ホリナを傍らに宿へと入って空いている部屋を1部屋とった。2階の上がったところすぐの角部屋。ホリナを連れて階段を登って部屋に入って、2つあるベッドの1つに息苦しそうにするホリナを寝かせた。
「やっぱりあなた働き過ぎだったのよ。だから言ったのに」
返事はない。ただ荒いけど細い息遣いだけが返ってくる。
洗面所で濡らしたタオルを彼女の額に乗せる。効くかは分からないけど少しは楽になるでしょう。私も経験あるし。
布団を被せようとしたときに視界に彼女の袖に違和感を見つけた。
袖の部分に小さな赤い丸が出来ている。柄じゃない……。こんな柄のない真っ白なシャツを彼女は着ている。
「なにこれ…」
赤い丸のある部分の袖を捲ると小さな出血と赤く腫れ上がった腕が露わになる。
細くて白い左腕は赤ワインのような色になっている。さらに血管が浮き出たのかと思ってしまう線上の腫れが、彼女の腕が健常でない事を物語っている。
「ホリナ待っててね」
部屋を飛び出て鍵を閉める。うまく鍵穴に入らなくて叫びそうになる。
鍵をかけたことを確認して、フロントに走る。
「ねぇ! お医者さんはここらどこが一番近いの!」
フロントにいる男に聞くとここから一番近いのは下って筋を外れた所にいる医者が一番近いらしい。私は宿を飛び出して目の前の道を周りの目も気にせずに走り出した。
「大丈夫です。何も問題ありません」
そう言い切ったホリナは深く息を吸って吐いた。それは普段のホリナから想像できない、自分に鞭を打って体を動かす時のしぐさだ。
「本当に? 早めに宿に行って休んだ方がいいんじゃない? いえ、休みましょう。これは命令」
「そう……言われるのでしたら」
ホリナを先頭に泊まる予定の宿へと向かう。ここから高層にある宿まで行くのに30分ほど歩くらしい。街中なので乗り物もなく私たちは歩くしかなかった。
中層に差し掛かった付近でホリナの足が止まった。片膝を地面につけて座り込む。
「ホリナ! どうしたの!?」
「お嬢様……私に近づかない方がいいです」
周りの人が奇異のまなざしを向けてくる。当然だ。私だって逆の立場なら視線を向けてしまう。
「限界よ。この辺で宿を取りましょう。荷物は私が引っ張るから、私の肩につかまって」
返事の帰ってこないホリナの腕を肩に回して引っ張った。
「お嬢ちゃん。宿ならそこにあるよ」
見かねた女性が教えてくれた。指さす方はすぐななめ前の建物だ。
「ご親切にありがとうございます。助かります」
ホリナを傍らに宿へと入って空いている部屋を1部屋とった。2階の上がったところすぐの角部屋。ホリナを連れて階段を登って部屋に入って、2つあるベッドの1つに息苦しそうにするホリナを寝かせた。
「やっぱりあなた働き過ぎだったのよ。だから言ったのに」
返事はない。ただ荒いけど細い息遣いだけが返ってくる。
洗面所で濡らしたタオルを彼女の額に乗せる。効くかは分からないけど少しは楽になるでしょう。私も経験あるし。
布団を被せようとしたときに視界に彼女の袖に違和感を見つけた。
袖の部分に小さな赤い丸が出来ている。柄じゃない……。こんな柄のない真っ白なシャツを彼女は着ている。
「なにこれ…」
赤い丸のある部分の袖を捲ると小さな出血と赤く腫れ上がった腕が露わになる。
細くて白い左腕は赤ワインのような色になっている。さらに血管が浮き出たのかと思ってしまう線上の腫れが、彼女の腕が健常でない事を物語っている。
「ホリナ待っててね」
部屋を飛び出て鍵を閉める。うまく鍵穴に入らなくて叫びそうになる。
鍵をかけたことを確認して、フロントに走る。
「ねぇ! お医者さんはここらどこが一番近いの!」
フロントにいる男に聞くとここから一番近いのは下って筋を外れた所にいる医者が一番近いらしい。私は宿を飛び出して目の前の道を周りの目も気にせずに走り出した。
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