悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

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白と黒の騎士

第28話-下層とキース一派-中編

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「この街の下層には元々下層を仕切っているグループがありました。『フロスト』という名前の僕らと変わらない年のリーダーを筆頭にしていました。彼らのグループが現れるまでは下層は仕切られておらず、ただルールもない場所でした」

 そんな殺伐とした設定は初めて聞いた。ヤンは学校に来る前には下町で育った。そのくらいしか情報はなかった。

「仕切ると言っても下層を闊歩するのではなく、『ルールを定めて下層を改革したい』という目的の元に若者が集まったグループが元々です。グループ内でも上下はなく、周りが勝手に上下を付けているようなグループでした」
「そこにヤンがいたの?」
「残念ながらハズレです。ヤンはどこにも所属はしていません。むしろリーダーのフロストとは表面上は仲が悪かったですよ」

 笑いを交えながらアルが言った。

「表面上?」
「信頼はしていたみたいです。悪い方向には持っていかないだろうと。それは僕も2人でこの街を出る時に聞きました」
「なるほどね。ごめん、話の腰を折っちゃった続けて。ここからは口を挟まずに聞いておくから」
「いえいえ。疑問などあったら気にせず聞いてください。それでは……結論からすると今下層はフロストグループではない一派が闊歩している状態になっています。フロストグループでない一派は『キース』という男がリーダーの野盗の集まりだそうです。元々この街の人間ではなく、外からこの街に流れ着いたと聞いています。男たちは2カ月ほど前にやってきてフロスト達と衝突しました。数こそフロストグループの方が多かったのですが、事前準備もなく、何より相手は野盗経験のあるいわばプロです。適わずでした」

 外から打ち付ける雨が響く部屋の中で今の下層の状態を話すアルは怒っているようにも感じられた。その怒りを噛みしめるような声で話す。

「今はキース一派が下層を何でもありの場所に変えてきてしまっています。外に出るのにも億劫にならないといけない場所に。これが今下層に起こっている現状です」

「ごめんなさい私良くわからないのだけど、犯罪者が街についたならそれこそ下層の問題だけじゃないんじゃないの? それに、ヤンは何を頑なに周りを遠ざけていたの?」

 純粋な疑問だった。街の自警団でもなんでも出てきたら終わりそうな話だし、その問題にどうヤンが関わってきているかが正直分からない。

「そうですね、その通りです。高層なり中層なりが自分たちに被害が及ぶ前に片づける問題です。ましてやそれをヤンがどうこうできる問題でもありません」 
「そうよね。だったら何でしないの? 通報がいるなら私がしてあげるわ」
「高層はこの問題には今はわざと野放しにしています。簡単な理由です。下層だからですよ」
「下層だから……?」
「これも先に結論から言います。この街の高層は下層を潰して中層の一部にしようと考えています」
「それはいいことじゃないの? 言ってしまえば生活が良くなるんでしょう?」
「外から聞いた感想としてはそうです。ただ、この問題は『下層を潰す』という所です。自分たちの住んでいた場所を潰されて中層と共になったとしても、格差も出てくるでしょう。何より生活様式が変わってきます。そこに上から決まり事を押し付けられる事に反発を覚える人も出てくるでしょう」

 言いたいことは分かる。どんなに生活レベルが上がると言っても住んでいたところを潰されるのには反対の声が上がる。反対の声が小さくてもやがてはそれが集まって大きくなる。押し通しても後々絶対に遺恨が出てくる。

「今キース一派を追い出してもその後釜に座るのはフロスト達です。そうなると人望がある分また潰しにくくなります。それなら、キース一派に完全に荒らさせてから討伐して、下層に恩を売る形で占める。それが高層側の考えです」
「でもあいつら中層にいたわ。それこそ下層だけの問題で済まなくなってない?」
「流石です。その通りです。ではなぜそれでも高層がこの問題を放置していると思われますか?」

 その理由を私は考えた。なぜ下層だけの問題でなくするのか。中層も巻き込みたい理由。この街を今日下層から高層まで自分の目で見た。その情報を頭の中で整理する。自分が下層・中層・高層の住人だった時の感覚で、住人の目から考えた。
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