86 / 435
ガルド城の秘密
第59話-影は誰なのか?-
しおりを挟む
「さっき庭の所で怪しい人影を見たらしいの。警備している中でそんな知らせはあった?」
手短に警備へと伝えた。
それに対して警備兵は首を捻っている。こちらを全く信じていない。
「夜の暗闇の中での見かけたと言われてもなぁ」
歯痒い。子どもだからと言って甘く見られている。そんな気がした。
「フランソワ様、警備の方の言う通りです。暗闇の中で見かけたでは信じろと言う方が難しい。だから降りてきましたが、はっきりと見つけることはできませんでしたし」
「でも、こんな要人が集まる場所よ。邪な考えを持った侵入者がいたら問題よ」
「はっきりと見たわけではないんだろ。私だってそれを上に伝えた時に説得できない。むしろ混乱させるなって怒られるよ」
言いたいことは分かるけど、それでも用心はしておくべきだと伝える私に耳を傾けることない警備兵との溝は深い。
「騒がしいが何かあったのか?」
突然階段の上から聞こえた声は重々しく、威厳のある声だった。しかもこの声を私は聞いたことがある。ついさっきだ。
階段をゆっくりと降りてくる老人が声の主だ。傍らには護衛の騎士。
ガルド公。ここの城主だ。
遠目から見ても威厳があったのに、近くで見ると一層迫力のある人だ。
「はっ! こちらの少女2名が怪しい人影を庭の暗闇で見たと」
「ほほう。本当か?」
こちらを見て問いかけてくる。私とユリは揃って即座に「はい!」と背筋を伸ばして返答していた。
自然とそうなってしまう程の力強さがその問いにはあった。
「一名、庭の木々を縫うように移動していました。こちらを少し向いたようにも見えましたが、はっきりとは分かりませんでした」
「ふむ、要人狙いの暗殺者、もしくは物盗りか。はたまたそれ以外かは分からぬが、時期が時期じゃ、警戒しておくに越したことはないな。そうじゃろカルロス」
警備兵ではなく、傍らに待機している騎士に問いかけた。
「はい。警備の方で情報の共有をしておけ。そして見回りを多くするように」
騎士からの一言に警備兵は背筋を真っ直ぐに伸ばして大きく返事をした。
「しかし、普通の物盗りであればまだいいんじゃがな」
「普通の物盗り以外がいるんですか?」
何気ないガルド公のつぶやき。私はその言葉をスルーできずに思わず聞いてしまった。
「おるよ。物ではなく、技術を盗りに来ると言った方がよいかもしれんがな」
はっきりと言い切るが、その言葉はどこか浮ついていた。物盗りが来ると言うのにあっけらかんとしたその口調はどこか私とは気持ちの持ち方がズレている。
「城の建築方法ですか?」
「古くからある城だ。今更技術を盗む事はない」
「それなら何を?」
「魔法じゃよ」
私の予想を遥か斜めに裏切る答えに思わず息を呑んだ。
手短に警備へと伝えた。
それに対して警備兵は首を捻っている。こちらを全く信じていない。
「夜の暗闇の中での見かけたと言われてもなぁ」
歯痒い。子どもだからと言って甘く見られている。そんな気がした。
「フランソワ様、警備の方の言う通りです。暗闇の中で見かけたでは信じろと言う方が難しい。だから降りてきましたが、はっきりと見つけることはできませんでしたし」
「でも、こんな要人が集まる場所よ。邪な考えを持った侵入者がいたら問題よ」
「はっきりと見たわけではないんだろ。私だってそれを上に伝えた時に説得できない。むしろ混乱させるなって怒られるよ」
言いたいことは分かるけど、それでも用心はしておくべきだと伝える私に耳を傾けることない警備兵との溝は深い。
「騒がしいが何かあったのか?」
突然階段の上から聞こえた声は重々しく、威厳のある声だった。しかもこの声を私は聞いたことがある。ついさっきだ。
階段をゆっくりと降りてくる老人が声の主だ。傍らには護衛の騎士。
ガルド公。ここの城主だ。
遠目から見ても威厳があったのに、近くで見ると一層迫力のある人だ。
「はっ! こちらの少女2名が怪しい人影を庭の暗闇で見たと」
「ほほう。本当か?」
こちらを見て問いかけてくる。私とユリは揃って即座に「はい!」と背筋を伸ばして返答していた。
自然とそうなってしまう程の力強さがその問いにはあった。
「一名、庭の木々を縫うように移動していました。こちらを少し向いたようにも見えましたが、はっきりとは分かりませんでした」
「ふむ、要人狙いの暗殺者、もしくは物盗りか。はたまたそれ以外かは分からぬが、時期が時期じゃ、警戒しておくに越したことはないな。そうじゃろカルロス」
警備兵ではなく、傍らに待機している騎士に問いかけた。
「はい。警備の方で情報の共有をしておけ。そして見回りを多くするように」
騎士からの一言に警備兵は背筋を真っ直ぐに伸ばして大きく返事をした。
「しかし、普通の物盗りであればまだいいんじゃがな」
「普通の物盗り以外がいるんですか?」
何気ないガルド公のつぶやき。私はその言葉をスルーできずに思わず聞いてしまった。
「おるよ。物ではなく、技術を盗りに来ると言った方がよいかもしれんがな」
はっきりと言い切るが、その言葉はどこか浮ついていた。物盗りが来ると言うのにあっけらかんとしたその口調はどこか私とは気持ちの持ち方がズレている。
「城の建築方法ですか?」
「古くからある城だ。今更技術を盗む事はない」
「それなら何を?」
「魔法じゃよ」
私の予想を遥か斜めに裏切る答えに思わず息を呑んだ。
0
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されて森に捨てられた悪役令嬢を救ったら〜〜名もなき平民の世直し戦記〜〜
naturalsoft
ファンタジー
アヴァロン王国は現国王が病に倒れて、第一王子が摂政に就いてから変わってしまった。度重なる重税と徴収に国民は我慢の限界にきていた。国を守るはずの騎士達が民衆から略奪するような徴収に、とある街の若者が立ち上がった。さらに森で捨てられた悪役令嬢を拾ったことで物語は進展する。
※一部有料のイラスト素材を利用しています。【無断転載禁止】です。
素材利用
・森の奥の隠里様
・みにくる様
婚約者を奪い返そうとしたらいきなり溺愛されました
宵闇 月
恋愛
異世界に転生したらスマホゲームの悪役令嬢でした。
しかも前世の推し且つ今世の婚約者は既にヒロインに攻略された後でした。
断罪まであと一年と少し。
だったら断罪回避より今から全力で奪い返してみせますわ。
と意気込んだはいいけど
あれ?
婚約者様の様子がおかしいのだけど…
※ 4/26
内容とタイトルが合ってないない気がするのでタイトル変更しました。
生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
悪役令嬢ってもっとハイスペックだと思ってた
nionea
恋愛
ブラック企業勤めの日本人女性ミキ、享年二十五歳は、
死んだ
と、思ったら目が覚めて、
悪役令嬢に転生してざまぁされる方向まっしぐらだった。
ぽっちゃり(控えめな表現です)
うっかり (婉曲的な表現です)
マイペース(モノはいいようです)
略してPUMな侯爵令嬢ファランに転生してしまったミキは、
「デブでバカでワガママって救いようねぇわ」
と、落ち込んでばかりもいられない。
今後の人生がかかっている。
果たして彼女は身に覚えはないが散々やらかしちゃった今までの人生を精算し、生き抜く事はできるのか。
※恋愛のスタートまでがだいぶ長いです。
’20.3.17 追記
更新ミスがありました。
3.16公開の77の本文が78の内容になっていました。
本日78を公開するにあたって気付きましたので、77を正規の内容に変え、78を公開しました。
大変失礼いたしました。77から再度お読みいただくと話がちゃんとつながります。
ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
無事にバッドエンドは回避できたので、これからは自由に楽しく生きていきます。
木山楽斗
恋愛
悪役令嬢ラナトゥーリ・ウェルリグルに転生した私は、無事にゲームのエンディングである魔法学校の卒業式の日を迎えていた。
本来であれば、ラナトゥーリはこの時点で断罪されており、良くて国外追放になっているのだが、私は大人しく生活を送ったおかげでそれを回避することができていた。
しかしながら、思い返してみると私の今までの人生というものは、それ程面白いものではなかったように感じられる。
特に友達も作らず勉強ばかりしてきたこの人生は、悪いとは言えないが少々彩りに欠けているような気がしたのだ。
せっかく掴んだ二度目の人生を、このまま終わらせていいはずはない。
そう思った私は、これからの人生を楽しいものにすることを決意した。
幸いにも、私はそれ程貴族としてのしがらみに縛られている訳でもない。多少のわがままも許してもらえるはずだ。
こうして私は、改めてゲームの世界で新たな人生を送る決意をするのだった。
※一部キャラクターの名前を変更しました。(リウェルド→リベルト)
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる