悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

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ガルド城の秘密

第65話-手掛かり-

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 持ってきて貰った本のほとんどが読み終わった。結果として今のところ手がかりとなりそうな物は無かった。
 どれもこの城の工事の記録と言ったもので当然ながら秘密の部屋の存在もない。あるのは天候情報と使用した石材木材の目安量と言ったものが予測として書かれていた。
 読むうちに眠たくなるほどの代物で開始早々に私としては魔法への興味が薄れていっているのが分かる。

「次に行きましょうユリ。普通の記録でしかないわ」
「当然と言えば当然なのですが。そうですね次に行きましょう」

 最後の4冊目を手に取った。3冊目の終わり辺りで城が完成。そこからは城をベースに庭となる場所への囲いを作る作業に入っていた。

「『城を中心にバレス=ガルドが指示する場所までの4点を計測、距離を測り4点を繋ぐように円上に囲いを引いた』ねぇ。それであの広い広い庭になったのね。適当だと思ってたけどそうでも無いのね」
「その4点を測るために最初に見渡すための城を建てたとも考えられますね」
「そこまで深い意味があるのかしらね」
「あくまで推測考えですよフランソワ様」
「このバレスさんって人がこの城を立てて、魔法が使えたと言われた人なのよね」
「そうなりますね。どうかしたんですか?」

 私は昨日父に言われた事を思い出した。『頭がいい人』の知識が魔法に見えたのではないか、そう言っていた。真実は分からないがこのバレスという人自体を知らないと先に進めないような気はした。
 今資料に出てくるバレスは少なくとも魔法という物を使っていない。だからなんだか引っ掛かった。

「本当に魔法が使えたのなら魔法で城を建てるとかしなかったのかしら。やってることが原始的な気がするのよ。時代相応と言うかなんと言うか」
「言われてみればそうですが……。魔法を人に見せなかったとかでは?」
「それなら1人でこっそり城を建てればいいじゃない」

 言った私も、言われたユリも2人で頭を抱えた。
 そう思うと父の言葉通りにこの時代ではあり得なかった知識、発送が魔法と言われた説が私の中で濃厚になってくる。つまりこの城にある技術とは昔の発明品の設計図なのではないかと勘繰ってしまう。

「あのー。今『魔法』って言われましたか?」
「ひゃっ!?」

 突然背後から声をかけられて2人であられもない声を出してしまった。
 こっちにくる気配もなく、背後に立っていた気配すらも抱かせないチェルさんのスニーキングスキルに驚いた。

「すみません。驚かせてしまいましたか」
「き、気付かなくてすみません」
「お気になさらずにー。それでもしかして『魔法』に関する資料をお探しで?」
「えっ!? あるんですか?」
「1枚だけですがありますよー。てっきり自由研究で城の歴史を調べにきたのかと思いまして」

 子どもだしね。そう思われても仕方がない。

「こちらですよ。この1枚だけです」
「何故この1枚をチェルさんが?」
「元々はその4冊目の最後に挟んであったもので、ただ挟んだままでは傷んでいくばかりでしたので、城主に相談したら私が持っておくようにと言われまして。『魔法』について調べる人が来たら見せるようにと言われておりましたのでー」
「他にも調べにくる人がいるんですか?」
「居たり居なかったりですね」

 つまり私達以外にも『魔法』を探しに来ている人がいる。チェルさんが把握してると言うことはつまりこの札を持っている人。この資料室へガルド公が誘導していると言うことになる。

「今年は他に居ませんか?」
「いませんねー」
「去年は?」
「いましたよー」
「何て言う人でしたか?」
「名前は聞いていません。ただ男の人でした」
「フランソワ様? どうしたんですか急に?」
「もしかしたら去年私達のように探しに来てた人がいてその人が『魔法』の正体をつかめてなくても、手がかりとかある程度持ってないかと思った。だからその人と話してみたいなって」

 0から集めるよりかははるかに効率的だ。仮に何も掴んでなくも、去年調べた事を除外すれば当たる件数を減らすことができる。

「特徴とかも覚えてませんか?」
「身体が大きかったような気はします。それと少しおっかなかった気がしますねー。同じ人は基本来ないので毎回覚えていたらキリがないので分かりませんねー」
「そうですか。ありがとうございました。また何か思い出したらまた教えて下さい。それと資料ありがとうございました。この1枚読んでみます」
「そしたら成り立ちは置いておいて下さい。後で片付けますのでー」

 呑気な言葉と共にチェルさんは元いた席に戻っていった。
 私とユリは気を取り直して受け取った1枚に目を通した。
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