95 / 435
ガルド城の秘密
第67話-城主への質問-
しおりを挟む
「あのー。城主さんに会いたいんですけどどこ行けば会えますか?」
資料室を出て適当に歩いて、城の方で雇われているであろう人を見つけて声をかけてみた。
衛兵ではなく、黒のスーツを着た執事のような人。
「城主であればこの時間は4階の応接間にいることが多いですよ。ご案内しましょうか?」
「お願いします」
「ただ多忙なため会える確証がない事はご理解下さい」
念押しの注意をされて私は後ろをついて行く。
「この城にはこの期間以外にも滞在されてるんですか?」
「いいえ。基本的には主のお屋敷の方ですよ。この開催時期のみこちらで寝泊まりしておりますので。常時こちらに居るのは警備の兵が数名と城内の管理をする者数名ですから、寂しい物です」
「大変ですね」
「もう慣れてしまいましたよ」
他愛ない話が続いてる間に私は応接室へと案内されていた。
案内してくれた人がノックをして在室しているか確認してくれた。
私には聞こえなかったけど中から返事があったみたいで、中に入ってすぐ出てきた。
「少し待つ様にと」
言われて3分程経ったタイミングで入室の許可がおりた。
「突然だったので準備に手間取ってな。すまんな娘さんや」
入室して1番に言われた言葉は口調は優しくても私には嫌味に聞こえた。
実際アポ無しで来た私が悪いんだから当たり前だ。
「突然の訪問すみません」
謝辞を伝えて頭を下げた。
「気にせんでもよい」と言われたので、とりあえず言葉通りに受け取っておいた。
ガルド公は手で私を案内してくれた人を退室させるように促した。その後黙々と案内してくれた人は退室して行った。
「して、何用か。もう『魔法』は見つけたか?」
「いえ、残念ながらまだ見つかっていません。ただ1つ聞きたい事がありまして」
「答えられる事なら答えよう」
「城主であるガルド公は『魔法』がある所を知っていますか?」
私の問いを聞いてガルド公は笑い出す。我慢できずに漏れ出すような笑い方だ。
「面白い質問じゃな。ふむ、答えよう。『魔法』がある場所は知らぬ」
「ではもちろん中身もですよね?」
「無論、知らぬ」
「では、ガルド公が知りうる中でその場所を知っている人はいますか?」
「今はもうおらぬ」
「今……その人はどなたですか?」
「5年前に他界した妻じゃな」
「重ねて失礼します。何故奥様は知っていると?」
「妻はガルド一族の人間だった。儂は婿入りだ」
なるほど聞けて良かった。つまりこの人は……。
「毎年、外部の人間を使ってその場所を探させている。と言う風に考えても宜しいでしょうか?」
「隠すつもりはない。その通りだ。不満か?」
「いえ、何も言って下さらなかったのは少しモヤモヤとしますが、今この場でお聞きできたので大丈夫です」
「それは良かった。引き続き探索を頼もう」
「もし、その場所が見つかって、『魔法』の技術が出てきた時、どうしますか?」
さっきと違って即答の答えはなかった。あるのは沈黙。何かを考え込むかの様に、それか自分の中の何かを飲み込む様な。
「秘密だ。ただ見つけてくれたなら褒美は惜しまん。欲しければ儂が死んだ後この城でもやろう」
「縁起でもない事を仰らないで下さい」
私のツッコミに小さな笑みを浮かべてガルド公は笑った。
「して、聞きたい事はそれが全てか?」
「いえ、次からの質問が本番です」
そう。あくまでここまでの質問は探りだ。
ただ次からの質問、それは今回の探索に大きな影響がある。私はそう信じて質問を続ける。
資料室を出て適当に歩いて、城の方で雇われているであろう人を見つけて声をかけてみた。
衛兵ではなく、黒のスーツを着た執事のような人。
「城主であればこの時間は4階の応接間にいることが多いですよ。ご案内しましょうか?」
「お願いします」
「ただ多忙なため会える確証がない事はご理解下さい」
念押しの注意をされて私は後ろをついて行く。
「この城にはこの期間以外にも滞在されてるんですか?」
「いいえ。基本的には主のお屋敷の方ですよ。この開催時期のみこちらで寝泊まりしておりますので。常時こちらに居るのは警備の兵が数名と城内の管理をする者数名ですから、寂しい物です」
「大変ですね」
「もう慣れてしまいましたよ」
他愛ない話が続いてる間に私は応接室へと案内されていた。
案内してくれた人がノックをして在室しているか確認してくれた。
私には聞こえなかったけど中から返事があったみたいで、中に入ってすぐ出てきた。
「少し待つ様にと」
言われて3分程経ったタイミングで入室の許可がおりた。
「突然だったので準備に手間取ってな。すまんな娘さんや」
入室して1番に言われた言葉は口調は優しくても私には嫌味に聞こえた。
実際アポ無しで来た私が悪いんだから当たり前だ。
「突然の訪問すみません」
謝辞を伝えて頭を下げた。
「気にせんでもよい」と言われたので、とりあえず言葉通りに受け取っておいた。
ガルド公は手で私を案内してくれた人を退室させるように促した。その後黙々と案内してくれた人は退室して行った。
「して、何用か。もう『魔法』は見つけたか?」
「いえ、残念ながらまだ見つかっていません。ただ1つ聞きたい事がありまして」
「答えられる事なら答えよう」
「城主であるガルド公は『魔法』がある所を知っていますか?」
私の問いを聞いてガルド公は笑い出す。我慢できずに漏れ出すような笑い方だ。
「面白い質問じゃな。ふむ、答えよう。『魔法』がある場所は知らぬ」
「ではもちろん中身もですよね?」
「無論、知らぬ」
「では、ガルド公が知りうる中でその場所を知っている人はいますか?」
「今はもうおらぬ」
「今……その人はどなたですか?」
「5年前に他界した妻じゃな」
「重ねて失礼します。何故奥様は知っていると?」
「妻はガルド一族の人間だった。儂は婿入りだ」
なるほど聞けて良かった。つまりこの人は……。
「毎年、外部の人間を使ってその場所を探させている。と言う風に考えても宜しいでしょうか?」
「隠すつもりはない。その通りだ。不満か?」
「いえ、何も言って下さらなかったのは少しモヤモヤとしますが、今この場でお聞きできたので大丈夫です」
「それは良かった。引き続き探索を頼もう」
「もし、その場所が見つかって、『魔法』の技術が出てきた時、どうしますか?」
さっきと違って即答の答えはなかった。あるのは沈黙。何かを考え込むかの様に、それか自分の中の何かを飲み込む様な。
「秘密だ。ただ見つけてくれたなら褒美は惜しまん。欲しければ儂が死んだ後この城でもやろう」
「縁起でもない事を仰らないで下さい」
私のツッコミに小さな笑みを浮かべてガルド公は笑った。
「して、聞きたい事はそれが全てか?」
「いえ、次からの質問が本番です」
そう。あくまでここまでの質問は探りだ。
ただ次からの質問、それは今回の探索に大きな影響がある。私はそう信じて質問を続ける。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
どうやら悪役令嬢のようですが、興味が無いので錬金術師を目指します(旧:公爵令嬢ですが錬金術師を兼業します)
水神瑠架
ファンタジー
――悪役令嬢だったようですが私は今、自由に楽しく生きています! ――
乙女ゲームに酷似した世界に転生? けど私、このゲームの本筋よりも寄り道のミニゲームにはまっていたんですけど? 基本的に攻略者達の顔もうろ覚えなんですけど?! けど転生してしまったら仕方無いですよね。攻略者を助けるなんて面倒い事するような性格でも無いし好きに生きてもいいですよね? 運が良いのか悪いのか好きな事出来そうな環境に産まれたようですしヒロイン役でも無いようですので。という事で私、顔もうろ覚えのキャラの救済よりも好きな事をして生きて行きます! ……極めろ【錬金術師】! 目指せ【錬金術マスター】!
★★
乙女ゲームの本筋の恋愛じゃない所にはまっていた女性の前世が蘇った公爵令嬢が自分がゲームの中での悪役令嬢だという事も知らず大好きな【錬金術】を極めるため邁進します。流石に途中で気づきますし、相手役も出てきますが、しばらく出てこないと思います。好きに生きた結果攻略者達の悲惨なフラグを折ったりするかも? 基本的に主人公は「攻略者の救済<自分が自由に生きる事」ですので薄情に見える事もあるかもしれません。そんな主人公が生きる世界をとくと御覧あれ!
★★
この話の中での【錬金術】は学問というよりも何かを「創作」する事の出来る手段の意味合いが大きいです。ですので本来の錬金術の学術的な論理は出てきません。この世界での独自の力が【錬金術】となります。
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です
hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。
夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。
自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。
すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。
訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。
円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・
しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・
はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?
転生騎士団長の歩き方
Akila
ファンタジー
【第2章 完 約13万字】&【第1章 完 約12万字】
たまたま運よく掴んだ功績で第7騎士団の団長になってしまった女性騎士のラモン。そんなラモンの中身は地球から転生した『鈴木ゆり』だった。女神様に転生するに当たってギフトを授かったのだが、これがとっても役立った。ありがとう女神さま! と言う訳で、小娘団長が汗臭い騎士団をどうにか立て直す為、ドーン副団長や団員達とキレイにしたり、旨〜いしたり、キュンキュンしたりするほのぼの物語です。
【第1章 ようこそ第7騎士団へ】 騎士団の中で窓際? 島流し先? と囁かれる第7騎士団を立て直すべく、前世の知識で働き方改革を強行するモラン。 第7は改善されるのか? 副団長のドーンと共にあれこれと毎日大忙しです。
【第2章 王城と私】 第7騎士団での功績が認められて、次は第3騎士団へ行く事になったラモン。勤務地である王城では毎日誰かと何かやらかしてます。第3騎士団には馴染めるかな? って、またまた異動? 果たしてラモンの行き着く先はどこに?
※誤字脱字マジですみません。懲りずに読んで下さい。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる