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ガルド城の秘密
第97話-合図の時-
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バレルさんの一撃を受けて相手は壁の付近まで吹き飛んだ。
それでも武器は手放さない。抱えたままで自分を傷つけない様に腕を伸ばして身体から遠ざけていた。
このまま手を休めない。倒れた相手に向かって追撃を。
「ぐっ……」
その呻き声は吹き飛ばされた相手の方じゃない。
私の背後、攻撃をした方が呻き声を上げている。
その声に思わず私は足を止めた。
「バレルさん!」
「悪い。最後まで踏ん張るつもりだったんだけどな……。攻撃が当たる瞬間踏ん張れなかった」
腰元を押さえて苦悶の表情を浮かべる。
「逃げられちゃった。早く終わらせないとね」
吹き飛ばされた相手が立ち上がっている。
剣を鞘に収めることなく、その手に持ったままこちらに構えた。
次の瞬間一気に間合いを詰めてくる。さっきよりも早い。
私は下がれない。退けない。だから前に出た。
刃と刃がぶつかり合う。相手の攻撃を見極めて身体に届く前に受け止める。それでも腕に衝撃が響いてくる。
だから私は受けやすい所に来た攻撃に対して攻撃を仕掛けた。
防御じゃなく、攻撃。反撃に出る。
また鍔迫り合いの形になる。
「さっき迄本気じゃ無かったんですね。かなり早くて重い剣撃です」
「助けを呼ばれたら面倒だからね。それよりも君凄いね、今の反撃、よく見てる」
「おかげさまで、貴方の反撃の仕方を真似て見ました」
さっきまで私は、私の攻撃に攻撃を合わせられてペースを握られていた。だから今度はこちらがそれをした。
成功したから良いものの、正直うまく出来る自信は無かった。今でも心臓が破裂しそうなくらい焦っている。
剣が押され始める、体格の差がここで影響してきた。私の体力も万全じゃない、足に力を込めて踏ん張る。
なんとしても、相手にやらせなければならない事が私にはある。
「ぐっ……うっ……」
刃が離れた。相手から刃同士のせめぎ合いを外した。
そしてまた別角度からの攻撃、それをまたギリギリの所で受け止める。
「時間稼ぎに徹する。それも厄介だ」
「フランソワ様が助けを呼んできてくれますから、それまで私達は耐えるだけです」
「耐えれるの?」
「何度でも受けますよ、終わりが見えれば頑張れますから」
「大したもんだ」
今度は力が抜けた。私のじゃない、相手の力が。
そして後ろに3歩引いた。私との距離が開いた。
「時間稼ぎを手伝ってくれるんですか?」
「いいや、時間稼ぎを……出来なくする」
鞘に剣を納めて、腰に構える。
そして抜刀、赤い炎を纏った刀身がまた露になった。
さっき迄なら厄介だった燃える剣、だけど今になってはこっちの望んでいた状況だ。
「来い! 私! ユリ=ランが相手だ!」
声を張り上げた。今お腹の底から出せる最大の声量。
相手を威嚇するためじゃない、自分を鼓舞するためでもない。
これは合図。
私の啖呵が終わる瀬戸際、私の視界は暗闇に包まれた。
それでも武器は手放さない。抱えたままで自分を傷つけない様に腕を伸ばして身体から遠ざけていた。
このまま手を休めない。倒れた相手に向かって追撃を。
「ぐっ……」
その呻き声は吹き飛ばされた相手の方じゃない。
私の背後、攻撃をした方が呻き声を上げている。
その声に思わず私は足を止めた。
「バレルさん!」
「悪い。最後まで踏ん張るつもりだったんだけどな……。攻撃が当たる瞬間踏ん張れなかった」
腰元を押さえて苦悶の表情を浮かべる。
「逃げられちゃった。早く終わらせないとね」
吹き飛ばされた相手が立ち上がっている。
剣を鞘に収めることなく、その手に持ったままこちらに構えた。
次の瞬間一気に間合いを詰めてくる。さっきよりも早い。
私は下がれない。退けない。だから前に出た。
刃と刃がぶつかり合う。相手の攻撃を見極めて身体に届く前に受け止める。それでも腕に衝撃が響いてくる。
だから私は受けやすい所に来た攻撃に対して攻撃を仕掛けた。
防御じゃなく、攻撃。反撃に出る。
また鍔迫り合いの形になる。
「さっき迄本気じゃ無かったんですね。かなり早くて重い剣撃です」
「助けを呼ばれたら面倒だからね。それよりも君凄いね、今の反撃、よく見てる」
「おかげさまで、貴方の反撃の仕方を真似て見ました」
さっきまで私は、私の攻撃に攻撃を合わせられてペースを握られていた。だから今度はこちらがそれをした。
成功したから良いものの、正直うまく出来る自信は無かった。今でも心臓が破裂しそうなくらい焦っている。
剣が押され始める、体格の差がここで影響してきた。私の体力も万全じゃない、足に力を込めて踏ん張る。
なんとしても、相手にやらせなければならない事が私にはある。
「ぐっ……うっ……」
刃が離れた。相手から刃同士のせめぎ合いを外した。
そしてまた別角度からの攻撃、それをまたギリギリの所で受け止める。
「時間稼ぎに徹する。それも厄介だ」
「フランソワ様が助けを呼んできてくれますから、それまで私達は耐えるだけです」
「耐えれるの?」
「何度でも受けますよ、終わりが見えれば頑張れますから」
「大したもんだ」
今度は力が抜けた。私のじゃない、相手の力が。
そして後ろに3歩引いた。私との距離が開いた。
「時間稼ぎを手伝ってくれるんですか?」
「いいや、時間稼ぎを……出来なくする」
鞘に剣を納めて、腰に構える。
そして抜刀、赤い炎を纏った刀身がまた露になった。
さっき迄なら厄介だった燃える剣、だけど今になってはこっちの望んでいた状況だ。
「来い! 私! ユリ=ランが相手だ!」
声を張り上げた。今お腹の底から出せる最大の声量。
相手を威嚇するためじゃない、自分を鼓舞するためでもない。
これは合図。
私の啖呵が終わる瀬戸際、私の視界は暗闇に包まれた。
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