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騎士と派閥と学園生活と
第132話-どうして近衛騎士になってくれないの?-
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「どう? ここの料理は口に合うかしら?」
彼はその言葉に頷きで答えを返してくる。
言葉に出さないのは彼が今、目の前の料理に舌鼓を打っているからだろう。
「正直あまり料理にこだわりはないのですが、すごく美味しいと思います」
「それなら良かったわ。人の味の好みは色々あるからね。少し不安だったのよ」
「そうでしたか。貴方でも不安と思う事があるんですね」
「もちろんよ。むしろ不安しかないわね」
「噂とかを聞いていると自信のある方だと思ってたんですが、意外でした」
そう。私は不安で仕方ない。いつもは強く、フランソワらしく振る舞っているだけ。それが正解なのかも分からないのだから。
「今日は貴方を私の近衛騎士にしたいけど、ちゃんと話せるか不安なのよ。とってもね」
「そう……ですか……」
どこか歯切れの悪い返答が返ってくる。
「やっぱり私の近衛騎士は嫌?」
「嫌と言うよりかは……不安ですね。なぜ自分なのか。分からないことに対する……。すみません」
「いいの。前にもそれ言ってたしね。だから今日は頑張って貴方の不安を取り除けるように話をして見たいの」
目の前にある水の入ったコップが窓からの光を受けて輝いているように見えた。
私はそれを口元に運んで口と喉を潤した。
冷えた水が乾いていた私の中に染み渡る。こんなにも知らないうちに緊張していた。
「何で貴方を選んだかよね」
「はい」
理由なんて簡単。貴方が私の知っているオーランだから。なんて理由を話しても納得はしてくれないだろう。そもそもここは私の知る限り架空のゲームの中の存在なんてことを言っても信じる人間なんかいない。
「貴方の将来性を買ったのよ」
「そんなこと言われても自分はなにも功績を上げてません」
「それは私の勘よ」
明確な理由は出せない。だから私はゴリ押しで彼を説得することを決めた。むしろこれしか手が思いつかなかった。
彼との約束から数日色々頭の中でシュミレートして見たけどどれもうまくいかなかった。
その結果がこれだった。
「勘ですか……?」
「そうよ。女の勘は当たるのよ。勘が冴えた結果ガルド城でも結果を残せたの。だから私の勘はそれだけの信憑性があるの」
「それだけで自分を?」
オーランが表面には出さないけど内心呆れた顔をしているのが頭によぎる。それを考えると恥ずかしい。けど、ここでやめるわけにはいかない。
「ちゃんと勘が冴えてから貴方の事も調べたわよ。だから貴方が騎士学校に来ている理由を知ってたの」
「そうでしたか。それで……はっきり言うとどこまで知っているんですか?」
「貴方がいつもお昼は1人で食べてるとか、あんまり友好関係を作らないとか、貴方の好きな食べ物は口がスッキリするものだとか、貴方はもっと口が悪いところとか、家の家業もね。あまり言いにくいのは分かるけどさ」
流石に私の下調べに引いているように見える。正確には私が知っている情報でしかない。正直この世界で合っている情報かもわからない。だけど、それを伝える事で彼を説得できるのなら、交渉材料になると私は判断した。
「それ以上は……まだありますか?」
「細かいとこ言い出すとまだあるわね」
こちとら何回も貴方のルートを攻略してるし、二次創作のために設定も頭に入れてるのよ。
言い出したら早口で延々と話してしまいそうな気持ちにストップをかけて彼に微笑みかけた。
「恐れ入りました」
「かしこまらなくていいわよ。しんどいでしょ。それに私も本当の貴方と話して見たいし」
目の前のオーランは何かを切り替えるように手元のコップに入っている水を飲み干した。
「すごいな。本当に全部分かってるんだな」
そこにはさっきまでいた彼は居ない。そして目の前に居るのは私の知っているオーランだった。
彼はその言葉に頷きで答えを返してくる。
言葉に出さないのは彼が今、目の前の料理に舌鼓を打っているからだろう。
「正直あまり料理にこだわりはないのですが、すごく美味しいと思います」
「それなら良かったわ。人の味の好みは色々あるからね。少し不安だったのよ」
「そうでしたか。貴方でも不安と思う事があるんですね」
「もちろんよ。むしろ不安しかないわね」
「噂とかを聞いていると自信のある方だと思ってたんですが、意外でした」
そう。私は不安で仕方ない。いつもは強く、フランソワらしく振る舞っているだけ。それが正解なのかも分からないのだから。
「今日は貴方を私の近衛騎士にしたいけど、ちゃんと話せるか不安なのよ。とってもね」
「そう……ですか……」
どこか歯切れの悪い返答が返ってくる。
「やっぱり私の近衛騎士は嫌?」
「嫌と言うよりかは……不安ですね。なぜ自分なのか。分からないことに対する……。すみません」
「いいの。前にもそれ言ってたしね。だから今日は頑張って貴方の不安を取り除けるように話をして見たいの」
目の前にある水の入ったコップが窓からの光を受けて輝いているように見えた。
私はそれを口元に運んで口と喉を潤した。
冷えた水が乾いていた私の中に染み渡る。こんなにも知らないうちに緊張していた。
「何で貴方を選んだかよね」
「はい」
理由なんて簡単。貴方が私の知っているオーランだから。なんて理由を話しても納得はしてくれないだろう。そもそもここは私の知る限り架空のゲームの中の存在なんてことを言っても信じる人間なんかいない。
「貴方の将来性を買ったのよ」
「そんなこと言われても自分はなにも功績を上げてません」
「それは私の勘よ」
明確な理由は出せない。だから私はゴリ押しで彼を説得することを決めた。むしろこれしか手が思いつかなかった。
彼との約束から数日色々頭の中でシュミレートして見たけどどれもうまくいかなかった。
その結果がこれだった。
「勘ですか……?」
「そうよ。女の勘は当たるのよ。勘が冴えた結果ガルド城でも結果を残せたの。だから私の勘はそれだけの信憑性があるの」
「それだけで自分を?」
オーランが表面には出さないけど内心呆れた顔をしているのが頭によぎる。それを考えると恥ずかしい。けど、ここでやめるわけにはいかない。
「ちゃんと勘が冴えてから貴方の事も調べたわよ。だから貴方が騎士学校に来ている理由を知ってたの」
「そうでしたか。それで……はっきり言うとどこまで知っているんですか?」
「貴方がいつもお昼は1人で食べてるとか、あんまり友好関係を作らないとか、貴方の好きな食べ物は口がスッキリするものだとか、貴方はもっと口が悪いところとか、家の家業もね。あまり言いにくいのは分かるけどさ」
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「それ以上は……まだありますか?」
「細かいとこ言い出すとまだあるわね」
こちとら何回も貴方のルートを攻略してるし、二次創作のために設定も頭に入れてるのよ。
言い出したら早口で延々と話してしまいそうな気持ちにストップをかけて彼に微笑みかけた。
「恐れ入りました」
「かしこまらなくていいわよ。しんどいでしょ。それに私も本当の貴方と話して見たいし」
目の前のオーランは何かを切り替えるように手元のコップに入っている水を飲み干した。
「すごいな。本当に全部分かってるんだな」
そこにはさっきまでいた彼は居ない。そして目の前に居るのは私の知っているオーランだった。
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