悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

文字の大きさ
181 / 435
騎士と派閥と学園生活と

第151話-先輩の本音-

しおりを挟む
「なんで私をそこまで気に掛けてくれるんですか?」

 探りを入れた。その上で判断する。

「なんでって……それは……」

 さっきまでの威勢がなくなった。理由を言えない事情があるらしい。

「何故なんでしょうか?」

 質問を繰り返す。相手に迫る様に。
 
「貴方は後輩だもの。先輩として当然よ」
「そうでしたか。そしたら先日の事も同じ理由で?」
「えぇ、そうよ。もう分かったでしょう」
「理由……違いますよね」

 間髪入れずに返すと相手は半歩後ろに身を引いた。

「無いわよ!」
「ありますよね。そうじゃ無いと矛盾してますもの」
「む、矛盾……?」
「守ってくれると言う割には最初の言いがかりが突拍子過ぎたもの。私達の行動を悪く言って一方的に責め立てて来ましたよね。守ってくれる人はあんな事言いませんよ」
「そ、そんな事はないわよ。学院の生徒らしくしなさいって意味で言ったのよ!」
「そうですか」

 そんな事は口からの出まかせでしか無いのが丸わかりだ。

「ところで、私を派閥に誘う様に誰かに言われてたりしますか?」
「自惚れも良いところだわ! 誰が貴方なんか誘うのよ」

 捲し立てる様な私の言葉に合わせて段々とヒートアップして来ている。あんまりこんなやり方は好きではないけど、先に仕掛けて来たのは向こうの方だと割り切った。

「そうでしたか。ちなみに私は先日総長から派閥に入らないかって誘われましたよ」
「な、何よ。それがどうしたのよ。自慢?」
「いえ、私にも誘ってくれる方が居るんだというささやかな言葉での抵抗ですよ」
「馬鹿にしてるでしょ貴方!」

 最初は周りに聞こえないほどの声だったものが段々と声が大きくなって来た。そのせいで時折過ぎていく生徒達がこっちを少し見るようになって来た。

「静かに、騒ぎになってしまいますよ」

 先輩は周りを見渡して状況を理解したらしく、息を整えた。

「それでどうするの?」

 事の始まりを思い出したかの様に私にまた聞いてくる。
 大体分かった。この人は単純に私の上に立ちたいんだ。だから私を派閥に入れようとしている。
 最初は総長の意思かと思ったけどそうではないらしい。
 ただ、まだ一点気になる言葉がある。

「派閥に入る気はありません」
「なっ……そしたら総長に泣きつくのかしら? 恥ずかしいわね」
「いえ、泣きつきはしませんよ。ただ、総長の派閥に入るだけです。誘ってくれたのは総長ですので。私はその誘いを受けるだけです。そしたら派閥のルールで私に手が出せないでしょうから」

 決着だ。この問題はこれを言ってしまえば先輩の考えは終わってしまう。
 先輩としては私を派閥に入れて総長への評価アップに繋げたかったのだと私は推理した。
 先輩の派閥とやらが総長よりかは知らないけど、先日の一件で総長の名前を出したのであれば、その可能性が高い。流石に関係ない人の名前を出す事はないだろう。
 まぁ私が総長についてしまえば、総長側でない派閥はもっと手が出しづらくなるのは当然で、同じ派閥でもそうだろう。それはこの数日教わった事ではっきりしている。
 「寄らば大樹の陰」、「長い物には巻かれろ」とはよく言ったものだと身に染みる。

「ずるいのよ! 貴方ばっかり!」

 本音が出た。先輩の行動原理はこれだろう。
 いやまぁ、最初からそんな気はしていたけど。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されて森に捨てられた悪役令嬢を救ったら〜〜名もなき平民の世直し戦記〜〜

naturalsoft
ファンタジー
アヴァロン王国は現国王が病に倒れて、第一王子が摂政に就いてから変わってしまった。度重なる重税と徴収に国民は我慢の限界にきていた。国を守るはずの騎士達が民衆から略奪するような徴収に、とある街の若者が立ち上がった。さらに森で捨てられた悪役令嬢を拾ったことで物語は進展する。 ※一部有料のイラスト素材を利用しています。【無断転載禁止】です。 素材利用 ・森の奥の隠里様 ・みにくる様

最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅

散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー 2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。 人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。 主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~

eggy
ファンタジー
 もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。  村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。  ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。  しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。  まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。  幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな
恋愛
市川みのり 31歳。 成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。 彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。 貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。 ※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

悪役令嬢ってもっとハイスペックだと思ってた

nionea
恋愛
 ブラック企業勤めの日本人女性ミキ、享年二十五歳は、   死んだ  と、思ったら目が覚めて、  悪役令嬢に転生してざまぁされる方向まっしぐらだった。   ぽっちゃり(控えめな表現です)   うっかり (婉曲的な表現です)   マイペース(モノはいいようです)    略してPUMな侯爵令嬢ファランに転生してしまったミキは、  「デブでバカでワガママって救いようねぇわ」  と、落ち込んでばかりもいられない。  今後の人生がかかっている。  果たして彼女は身に覚えはないが散々やらかしちゃった今までの人生を精算し、生き抜く事はできるのか。  ※恋愛のスタートまでがだいぶ長いです。 ’20.3.17 追記  更新ミスがありました。  3.16公開の77の本文が78の内容になっていました。  本日78を公開するにあたって気付きましたので、77を正規の内容に変え、78を公開しました。  大変失礼いたしました。77から再度お読みいただくと話がちゃんとつながります。  ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした

果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。 そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、 あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。 じゃあ、気楽にいきますか。 *『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。

処理中です...