悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

文字の大きさ
193 / 435
騎士と派閥と学園生活と

第163話-協力者-

しおりを挟む
「勝ち馬か。その考え自体が違う、勝ち負けじゃないよ」

 リオル総長の言葉にヤンの表情が険しくなる。
 言葉はないけど、視線で訴えている。
 リオル総長の背後に控えていたアステリオさんが前に出てきてヤンの前に立った。

「問題は主人同士の事だ。我々が意見を挟むものじゃない。分かるな」

 間に挟まれたマルズ君は口を閉じて固唾を飲んでいるように見える。

「分かってるよ」
「言葉遣いも勉強するといい。君の友達はいいお手本なのだから」

 アステリオさんの視線はアルに向いていた。
 その一言を言い終わると踵を返して、さっきの定位置に戻っていた。

「さて、話を戻そうか。君に求心力があるのはこれで火を見るよりも明らかだ。俺の君に対する評価は買い被りじゃなかった。でも、俺達の所へ来れば、君はもっと大きくなるよ。ほら、おいでよ」
「しつこい男は嫌われますよ」

 私達を敵に回しても怖くないと言うのが彼の本音だろう。敵に回れば私達を立場を使って、冷遇する。
 それを私達が訴えても所詮は小さい意見でしかない。だから私達は勝てない。そこまで踏んでいる。
 悔しいけど、ここで彼が諦めさせるにはパンチがまだ足りない。集まっても少数で、信用もないからだ。

「それじゃあ、これでいいだろう。派閥には入らなくていい。自由にしていていいよ。ただし、この先アーネスの味方をしてあげて欲しい。彼女の総長選挙の応援人として手伝ってくれたまえ」

 その言葉は最後の妥協案。
 その言葉に乗ればこの場は解決して、応援人になれば今まで通りの学園生活ができる。
 ただし、問題の根本は解決しない。間違いなく縛られる。むしろ、受け入れたら派閥の恩恵は受けられずに、協力だけを求められる。

「縛られず、今まで通りだ。悪いことはないだろう。最後の妥協案だ」

 「最後」その言葉は重い。次の一言で選択しろと言って来ている。

「フランソワ様、ご自由に」

 背後からアンの声が聞こえた。
 アンが私の後ろに立って肩を支えてくれていた。
 彼女が寄ってくることすら分からないほどに集中してしまっていた。

「ありがとう、アン」
「仲が良いからこそ、しっかりと考えなよ」

 リオル総長の一言は私に言ったのか、それともアンに言ったのかは分からない。もしかしたら両方かもしれない。
 だけどそんな事を考える前に私は左を向いた。
 私の左方向、リオル総長から見たら右方向から人の気配がこっちに近づいてきていた。
 周りの人が私達を見ているのは分かっていた。だけど、それとは違う。足音は明確に私達の方へ近づいて来ていた。
 人の壁を分けてこっちにくる人を知っている。
 ここ最近で嫌でも覚えた先輩。

「総長、申し訳ございません。私は総長の派閥を抜けて、彼女の派閥へと入る事に致します」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されて森に捨てられた悪役令嬢を救ったら〜〜名もなき平民の世直し戦記〜〜

naturalsoft
ファンタジー
アヴァロン王国は現国王が病に倒れて、第一王子が摂政に就いてから変わってしまった。度重なる重税と徴収に国民は我慢の限界にきていた。国を守るはずの騎士達が民衆から略奪するような徴収に、とある街の若者が立ち上がった。さらに森で捨てられた悪役令嬢を拾ったことで物語は進展する。 ※一部有料のイラスト素材を利用しています。【無断転載禁止】です。 素材利用 ・森の奥の隠里様 ・みにくる様

婚約者を奪い返そうとしたらいきなり溺愛されました

宵闇 月
恋愛
異世界に転生したらスマホゲームの悪役令嬢でした。 しかも前世の推し且つ今世の婚約者は既にヒロインに攻略された後でした。 断罪まであと一年と少し。 だったら断罪回避より今から全力で奪い返してみせますわ。 と意気込んだはいいけど あれ? 婚約者様の様子がおかしいのだけど… ※ 4/26 内容とタイトルが合ってないない気がするのでタイトル変更しました。

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな
恋愛
市川みのり 31歳。 成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。 彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。 貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。 ※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

悪役令嬢ってもっとハイスペックだと思ってた

nionea
恋愛
 ブラック企業勤めの日本人女性ミキ、享年二十五歳は、   死んだ  と、思ったら目が覚めて、  悪役令嬢に転生してざまぁされる方向まっしぐらだった。   ぽっちゃり(控えめな表現です)   うっかり (婉曲的な表現です)   マイペース(モノはいいようです)    略してPUMな侯爵令嬢ファランに転生してしまったミキは、  「デブでバカでワガママって救いようねぇわ」  と、落ち込んでばかりもいられない。  今後の人生がかかっている。  果たして彼女は身に覚えはないが散々やらかしちゃった今までの人生を精算し、生き抜く事はできるのか。  ※恋愛のスタートまでがだいぶ長いです。 ’20.3.17 追記  更新ミスがありました。  3.16公開の77の本文が78の内容になっていました。  本日78を公開するにあたって気付きましたので、77を正規の内容に変え、78を公開しました。  大変失礼いたしました。77から再度お読みいただくと話がちゃんとつながります。  ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

無事にバッドエンドは回避できたので、これからは自由に楽しく生きていきます。

木山楽斗
恋愛
悪役令嬢ラナトゥーリ・ウェルリグルに転生した私は、無事にゲームのエンディングである魔法学校の卒業式の日を迎えていた。 本来であれば、ラナトゥーリはこの時点で断罪されており、良くて国外追放になっているのだが、私は大人しく生活を送ったおかげでそれを回避することができていた。 しかしながら、思い返してみると私の今までの人生というものは、それ程面白いものではなかったように感じられる。 特に友達も作らず勉強ばかりしてきたこの人生は、悪いとは言えないが少々彩りに欠けているような気がしたのだ。 せっかく掴んだ二度目の人生を、このまま終わらせていいはずはない。 そう思った私は、これからの人生を楽しいものにすることを決意した。 幸いにも、私はそれ程貴族としてのしがらみに縛られている訳でもない。多少のわがままも許してもらえるはずだ。 こうして私は、改めてゲームの世界で新たな人生を送る決意をするのだった。 ※一部キャラクターの名前を変更しました。(リウェルド→リベルト)

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

処理中です...