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騎士と派閥と学園生活と
第163話-協力者-
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「勝ち馬か。その考え自体が違う、勝ち負けじゃないよ」
リオル総長の言葉にヤンの表情が険しくなる。
言葉はないけど、視線で訴えている。
リオル総長の背後に控えていたアステリオさんが前に出てきてヤンの前に立った。
「問題は主人同士の事だ。我々が意見を挟むものじゃない。分かるな」
間に挟まれたマルズ君は口を閉じて固唾を飲んでいるように見える。
「分かってるよ」
「言葉遣いも勉強するといい。君の友達はいいお手本なのだから」
アステリオさんの視線はアルに向いていた。
その一言を言い終わると踵を返して、さっきの定位置に戻っていた。
「さて、話を戻そうか。君に求心力があるのはこれで火を見るよりも明らかだ。俺の君に対する評価は買い被りじゃなかった。でも、俺達の所へ来れば、君はもっと大きくなるよ。ほら、おいでよ」
「しつこい男は嫌われますよ」
私達を敵に回しても怖くないと言うのが彼の本音だろう。敵に回れば私達を立場を使って、冷遇する。
それを私達が訴えても所詮は小さい意見でしかない。だから私達は勝てない。そこまで踏んでいる。
悔しいけど、ここで彼が諦めさせるにはパンチがまだ足りない。集まっても少数で、信用もないからだ。
「それじゃあ、これでいいだろう。派閥には入らなくていい。自由にしていていいよ。ただし、この先アーネスの味方をしてあげて欲しい。彼女の総長選挙の応援人として手伝ってくれたまえ」
その言葉は最後の妥協案。
その言葉に乗ればこの場は解決して、応援人になれば今まで通りの学園生活ができる。
ただし、問題の根本は解決しない。間違いなく縛られる。むしろ、受け入れたら派閥の恩恵は受けられずに、協力だけを求められる。
「縛られず、今まで通りだ。悪いことはないだろう。最後の妥協案だ」
「最後」その言葉は重い。次の一言で選択しろと言って来ている。
「フランソワ様、ご自由に」
背後からアンの声が聞こえた。
アンが私の後ろに立って肩を支えてくれていた。
彼女が寄ってくることすら分からないほどに集中してしまっていた。
「ありがとう、アン」
「仲が良いからこそ、しっかりと考えなよ」
リオル総長の一言は私に言ったのか、それともアンに言ったのかは分からない。もしかしたら両方かもしれない。
だけどそんな事を考える前に私は左を向いた。
私の左方向、リオル総長から見たら右方向から人の気配がこっちに近づいてきていた。
周りの人が私達を見ているのは分かっていた。だけど、それとは違う。足音は明確に私達の方へ近づいて来ていた。
人の壁を分けてこっちにくる人を知っている。
ここ最近で嫌でも覚えた先輩。
「総長、申し訳ございません。私は総長の派閥を抜けて、彼女の派閥へと入る事に致します」
リオル総長の言葉にヤンの表情が険しくなる。
言葉はないけど、視線で訴えている。
リオル総長の背後に控えていたアステリオさんが前に出てきてヤンの前に立った。
「問題は主人同士の事だ。我々が意見を挟むものじゃない。分かるな」
間に挟まれたマルズ君は口を閉じて固唾を飲んでいるように見える。
「分かってるよ」
「言葉遣いも勉強するといい。君の友達はいいお手本なのだから」
アステリオさんの視線はアルに向いていた。
その一言を言い終わると踵を返して、さっきの定位置に戻っていた。
「さて、話を戻そうか。君に求心力があるのはこれで火を見るよりも明らかだ。俺の君に対する評価は買い被りじゃなかった。でも、俺達の所へ来れば、君はもっと大きくなるよ。ほら、おいでよ」
「しつこい男は嫌われますよ」
私達を敵に回しても怖くないと言うのが彼の本音だろう。敵に回れば私達を立場を使って、冷遇する。
それを私達が訴えても所詮は小さい意見でしかない。だから私達は勝てない。そこまで踏んでいる。
悔しいけど、ここで彼が諦めさせるにはパンチがまだ足りない。集まっても少数で、信用もないからだ。
「それじゃあ、これでいいだろう。派閥には入らなくていい。自由にしていていいよ。ただし、この先アーネスの味方をしてあげて欲しい。彼女の総長選挙の応援人として手伝ってくれたまえ」
その言葉は最後の妥協案。
その言葉に乗ればこの場は解決して、応援人になれば今まで通りの学園生活ができる。
ただし、問題の根本は解決しない。間違いなく縛られる。むしろ、受け入れたら派閥の恩恵は受けられずに、協力だけを求められる。
「縛られず、今まで通りだ。悪いことはないだろう。最後の妥協案だ」
「最後」その言葉は重い。次の一言で選択しろと言って来ている。
「フランソワ様、ご自由に」
背後からアンの声が聞こえた。
アンが私の後ろに立って肩を支えてくれていた。
彼女が寄ってくることすら分からないほどに集中してしまっていた。
「ありがとう、アン」
「仲が良いからこそ、しっかりと考えなよ」
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だけどそんな事を考える前に私は左を向いた。
私の左方向、リオル総長から見たら右方向から人の気配がこっちに近づいてきていた。
周りの人が私達を見ているのは分かっていた。だけど、それとは違う。足音は明確に私達の方へ近づいて来ていた。
人の壁を分けてこっちにくる人を知っている。
ここ最近で嫌でも覚えた先輩。
「総長、申し訳ございません。私は総長の派閥を抜けて、彼女の派閥へと入る事に致します」
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