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嵐の来訪者
第222話-流れる剣筋-
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どちらかが一方的な打ち合いでは無くなった。お互いが力に任せない攻めと受けを繰り返している。
隙を見計らいながらのやりとりは徐々に速さを増していく。
お互いに致命打は出ていない。ただ、私の方が少し押され始めていた。それはさっきの一撃の分の痛みのせいだ。
私の場合は力に任せないじゃない。任せられないぐらいには響いていた。
「そろそろきつそうだな。観念してはどうだ」
「その余裕そうなとこ、ちょっとムカつきますね」
会話に気を取られた訳じゃない。たまたまその瞬間足の痛みが走って反応が遅れた。
それまではギリギリの所でやりとりをしていたのが崩れて私の懐に相手の一撃が入る。とっさに後ろに飛んでも入ってしまった一撃は今の私には響く。
「ぐっ……」
歯を食いしばって踏ん張った。
倒れる訳にはいかない。ここで勝てないと私はフランソワ様の近衛騎士なんて名乗れない。
後ろからのフランソワ様の応援が私に気合いを入れてくれる。
それでも相手の攻撃は止まらない。この機を逃さないと言わんばかりの一撃が私に迫って来ていた。
空いた空間を一瞬で詰めてくる助走を付けた攻撃は当たれば私の負けだ。かと言って正面から受けても私の負けは濃厚。受け止める力が及ばない可能性の方が高い。それでも私は受け止めるしか選択肢はない。
「この勝利をウェルズ様へ!」
正面から迫り来る上段斬りを頭上で受け止めた。
さっきよりも威力の増した一撃が武器にぶつかる。腕に力をこめて止めるが触れた一瞬に力が抜けた。この戦いで受けた攻撃と以前からの足の痛みのせいだ。
そこからは一瞬だった。
気がつけば私は……目の前の相手に攻撃を入れて交差していた。私の正面の先にはウェルズが、背中の直ぐ後ろにはギウスがいた。
頭では理解できていない。ただ、事実として反射的に頭と身体を動かして攻撃していた。
「今のは驚いた。しなやかな流れる様な剣技、効いたぞ」
「たまたまです。だけど……何かを掴みました。次は決めます」
構える。さっき入った攻撃は浅い。自分がどんな風に攻撃を捌いて返したのかを冷静になって考え直して、頭の中で描いた。
「ではこちらも決めさせてもらおう。次はあの男を相手にせんといけんのでな」
指差す先にはヤン先輩がいる。
「させませんよ。私が勝つんですから」
構える、ギウスが乗ってくる。
上段からの攻撃、さっきと同じ、繰り返す様に。
私はその攻撃を一瞬触れて流した。
さっきは痛みで力が抜けてたまたま武器が斜めになり、柄を持つ力を踏ん張って流す形になった。
今度はそれを能動的にした。攻撃が来る瞬間まで相手の武器から目を離さずに。
隙を見計らいながらのやりとりは徐々に速さを増していく。
お互いに致命打は出ていない。ただ、私の方が少し押され始めていた。それはさっきの一撃の分の痛みのせいだ。
私の場合は力に任せないじゃない。任せられないぐらいには響いていた。
「そろそろきつそうだな。観念してはどうだ」
「その余裕そうなとこ、ちょっとムカつきますね」
会話に気を取られた訳じゃない。たまたまその瞬間足の痛みが走って反応が遅れた。
それまではギリギリの所でやりとりをしていたのが崩れて私の懐に相手の一撃が入る。とっさに後ろに飛んでも入ってしまった一撃は今の私には響く。
「ぐっ……」
歯を食いしばって踏ん張った。
倒れる訳にはいかない。ここで勝てないと私はフランソワ様の近衛騎士なんて名乗れない。
後ろからのフランソワ様の応援が私に気合いを入れてくれる。
それでも相手の攻撃は止まらない。この機を逃さないと言わんばかりの一撃が私に迫って来ていた。
空いた空間を一瞬で詰めてくる助走を付けた攻撃は当たれば私の負けだ。かと言って正面から受けても私の負けは濃厚。受け止める力が及ばない可能性の方が高い。それでも私は受け止めるしか選択肢はない。
「この勝利をウェルズ様へ!」
正面から迫り来る上段斬りを頭上で受け止めた。
さっきよりも威力の増した一撃が武器にぶつかる。腕に力をこめて止めるが触れた一瞬に力が抜けた。この戦いで受けた攻撃と以前からの足の痛みのせいだ。
そこからは一瞬だった。
気がつけば私は……目の前の相手に攻撃を入れて交差していた。私の正面の先にはウェルズが、背中の直ぐ後ろにはギウスがいた。
頭では理解できていない。ただ、事実として反射的に頭と身体を動かして攻撃していた。
「今のは驚いた。しなやかな流れる様な剣技、効いたぞ」
「たまたまです。だけど……何かを掴みました。次は決めます」
構える。さっき入った攻撃は浅い。自分がどんな風に攻撃を捌いて返したのかを冷静になって考え直して、頭の中で描いた。
「ではこちらも決めさせてもらおう。次はあの男を相手にせんといけんのでな」
指差す先にはヤン先輩がいる。
「させませんよ。私が勝つんですから」
構える、ギウスが乗ってくる。
上段からの攻撃、さっきと同じ、繰り返す様に。
私はその攻撃を一瞬触れて流した。
さっきは痛みで力が抜けてたまたま武器が斜めになり、柄を持つ力を踏ん張って流す形になった。
今度はそれを能動的にした。攻撃が来る瞬間まで相手の武器から目を離さずに。
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