悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

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新たなる始まり

第281話-旧知の仲-

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「うん。事情は分かった。でも貴方が本当にあの時話した人なのが未だに信じられないわ」
「だったらホリナの出してくれた料理でも言えば信じてくれる? それとも最後に話した内容でもいいわよ。私にとっては半年位前の事だし」
「いや、信じるわ。あの時の会話とか思い出すとかなり恥ずかしいから」

 フランソワはユリィと私の話を聞いて納得してくれた。
 私をここに呼んだ理由迄は言ってないけど、ここにどうやって来たかは全て伝えた。
 ユリィ本人も自分が精霊憑きである事を隠さずに伝えた。さっきの話からするにそれはかなり大変な事実なんだろう。

「まさかユリィが精霊憑きだったなんてね……。アリスにユリィ、精霊憑きが身近にいすぎて驚きね」
「アリスも懐かしいな。元気してるの?」
「どうでしょう。今はもう連絡を取ってないのよ」
「そうなんだ」

 大人になれば環境は変わる。それは珍しい事じゃない。でも、そのせいで交流がなくなるのは私は個人的に仕方なくても寂しい事だと思う。

「話したい事は山々あるけど本題に入りましょ、ユリィ」

 空気が変わった。さっきまでの友達に向ける態度から。

「前に来て話してくれた事よね。先に言っておくけど協力は出来ない」
「そう言われると思っていました。それでも私はフランソワ様に頼むことしかできません」
「そのために優子を呼んだって事? だとしたら少し貴方を軽蔑するわ」

 狙いを先読みしての言葉。しかも、その内容が心に刺さる言葉で、私だったら言うことは出来ないだろうなと思う。

「それでも私には優子さんにかける事を選びました」
「否定しないのね。まぁ賭けには勝って彼女がここにわざわざ呼ばれたのよね。嬉しさ半分、悲しさ半分ね」

 フランソワとユリィは旧友だからこそお互いの言葉を言い合えるのだろうか。私にはそれは分からない。
 私がいなかった前に来た時はどんな話をしたのかが凄く気になってくる。

「優子さんはどう思う? 事情は聞いてるんでしょ?」
「まぁ大まかには……。私は呼ばれた側の人間ですけど、心情としてはフランソワ派。どうもそのユリィのとこに来た人物? 精霊? ってやつが胡散臭いのよね」
「私もそう思うわ。悪いけどね。それと私からも説明しておく。魔法を使うのは辞めれない。今はもう魔法は生活の一部なの。豊かさを知ったらそれを手放せない。目の前に豊かさを得る手段があるのに我慢は出来ないと思う」
「同感。生活水準は一度上げたらそれを下げる事なんて出来ないからね。だから私なら魔法は使いつつ、その大地の枯渇問題を研究して、改善点を探し出す道を選ぶかな」
「そうね。それが一番妥当かも」

 ユリィには悪いけど本音としては今言った事が全てだ。
 エネルギー問題は私たちの世界にもあった。だけど、代替えエネルギーなどの研究で新しい道を見つけようとしている。今回の問題もそれと同じだ。

「ユリィ。貴方の活動は否定しないわ。だけど、その活動に私の領民達を巻き込まないで欲しい」

 フランソワの切れ味鋭い否定の言葉がユリィに向けて発せられる。
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