悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

文字の大きさ
337 / 435
新たなる始まり

第306話-お嬢の覚悟-

しおりを挟む
「ここにいる人間を少しでも援軍として向かわせてはいないのですか!?」
「それをしてはここの警備が薄くなります。私は構いません。ただ、こんな情勢です。貴方に何かあってはいけないの」

 悲痛とも取れる母親の願い。
 ただ、その願いはお嬢には通用しないのはこの場にいる母親以外の誰もが分かっていた。

「そんなこと言っている時ではないわ! だったら私がそこに行くわ。そしたら人をそっちに回してもよろしいでしょう!」
「何言ってるんですか!」

 ごもっともな意見だがそれでお嬢が引くような人間じゃない。

「今は私より領民です。実際に被害が出ているならそっちを優先すべきです」
「貴方はまだ子どもなんですよ」
「もう学校は卒業しています。立派な大人です。人が足りないなら私の近衛騎士も出しましょう」

 お嬢の視線が俺たちに向けられた。
 その視線は「今から戦場に行きます」と言っている。俺たちに拒否権はない。
 アルが代表して首を縦に振る。俺を含め異論はないらしい。

「私の近衛騎士は強いです。実戦経験がある者もいます。人がいないなら精鋭を出すべきです」

 捲し立てるお嬢に領主代理は頭を抱えた。

「あー、すみません。確かにお嬢の言う通り実戦経験が俺とアルは学生時代にあります。実際賊を町から追い出した経験があります」

 嘘は言ってない。トップを殺して町から追い出した。実際トドメを刺したのはフロストだけどな。

「私もかつて魔法信者と実戦経験があります。任せて頂いても大丈夫です」

 ユリの実戦経験もざっくり聞いたことはあるが、腕は信頼できる。何より今は魔法もある。

「がっつりとした実戦はあんましたことないんすけど。まぁそこそこには」

 一人控えめな名乗りを挙げたオーラン。魔法のセンスもユリに次いである。身体の動きも魔法で更に磨きがかかっているのも知っている。

「フランソワ様を危険な目に会わせはしません」

 アルが言った。実績を踏まえて言える事は言った。後の判断は領主代理次第だ。

「私は避難してきた人たちを後方で助けます。これでもダメと言いますか?」

 ダメ押しの一言。

「絶対よ。怪我なく帰ってきてくれるのよね」

 泣きそうな声でお嬢に問いかけた。

「大丈夫。約束します。お母様私も頼ってください」
「分かった。一人の守衛を残して連れていきなさい。ただし貴方は離れた後方陣地から出ないことを誓いなさい」
「誓います」
「あの人が帰ってきたら怒られるわね私」
「お父様はそんな事では怒りませんわ」

 こうして俺たちの戦場行きが決まった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されて森に捨てられた悪役令嬢を救ったら〜〜名もなき平民の世直し戦記〜〜

naturalsoft
ファンタジー
アヴァロン王国は現国王が病に倒れて、第一王子が摂政に就いてから変わってしまった。度重なる重税と徴収に国民は我慢の限界にきていた。国を守るはずの騎士達が民衆から略奪するような徴収に、とある街の若者が立ち上がった。さらに森で捨てられた悪役令嬢を拾ったことで物語は進展する。 ※一部有料のイラスト素材を利用しています。【無断転載禁止】です。 素材利用 ・森の奥の隠里様 ・みにくる様

婚約者を奪い返そうとしたらいきなり溺愛されました

宵闇 月
恋愛
異世界に転生したらスマホゲームの悪役令嬢でした。 しかも前世の推し且つ今世の婚約者は既にヒロインに攻略された後でした。 断罪まであと一年と少し。 だったら断罪回避より今から全力で奪い返してみせますわ。 と意気込んだはいいけど あれ? 婚約者様の様子がおかしいのだけど… ※ 4/26 内容とタイトルが合ってないない気がするのでタイトル変更しました。

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな
恋愛
市川みのり 31歳。 成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。 彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。 貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。 ※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

悪役令嬢ってもっとハイスペックだと思ってた

nionea
恋愛
 ブラック企業勤めの日本人女性ミキ、享年二十五歳は、   死んだ  と、思ったら目が覚めて、  悪役令嬢に転生してざまぁされる方向まっしぐらだった。   ぽっちゃり(控えめな表現です)   うっかり (婉曲的な表現です)   マイペース(モノはいいようです)    略してPUMな侯爵令嬢ファランに転生してしまったミキは、  「デブでバカでワガママって救いようねぇわ」  と、落ち込んでばかりもいられない。  今後の人生がかかっている。  果たして彼女は身に覚えはないが散々やらかしちゃった今までの人生を精算し、生き抜く事はできるのか。  ※恋愛のスタートまでがだいぶ長いです。 ’20.3.17 追記  更新ミスがありました。  3.16公開の77の本文が78の内容になっていました。  本日78を公開するにあたって気付きましたので、77を正規の内容に変え、78を公開しました。  大変失礼いたしました。77から再度お読みいただくと話がちゃんとつながります。  ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

無事にバッドエンドは回避できたので、これからは自由に楽しく生きていきます。

木山楽斗
恋愛
悪役令嬢ラナトゥーリ・ウェルリグルに転生した私は、無事にゲームのエンディングである魔法学校の卒業式の日を迎えていた。 本来であれば、ラナトゥーリはこの時点で断罪されており、良くて国外追放になっているのだが、私は大人しく生活を送ったおかげでそれを回避することができていた。 しかしながら、思い返してみると私の今までの人生というものは、それ程面白いものではなかったように感じられる。 特に友達も作らず勉強ばかりしてきたこの人生は、悪いとは言えないが少々彩りに欠けているような気がしたのだ。 せっかく掴んだ二度目の人生を、このまま終わらせていいはずはない。 そう思った私は、これからの人生を楽しいものにすることを決意した。 幸いにも、私はそれ程貴族としてのしがらみに縛られている訳でもない。多少のわがままも許してもらえるはずだ。 こうして私は、改めてゲームの世界で新たな人生を送る決意をするのだった。 ※一部キャラクターの名前を変更しました。(リウェルド→リベルト)

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

処理中です...