僕が先に好きだったけど、脳破壊されて訳あり美少女たちと仲良くなったので幼馴染のことはもういいです

みずがめ

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49.松雪さんは困っている?

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 松雪さんは困り顔で切り出す。

「実は私も……最近告白されるようになりまして」
「「はい?」」

 松雪さんのカミングアウトに、僕と城戸さんは同じタイミングで首をかしげた。

「な、なんですか。二人してそんな顔をしなくてもいいじゃないですか」
「いやだって……ねえ?」
「うん。松雪先輩が告白されるのは日常茶飯事だと思ってた」

 城戸さんの言葉に、僕はうんうんと頷いて同意する。
 外見は黒髪ロングの清楚美少女という可愛らしい容姿をしている彼女。実際に学校一可愛いと評判の女子だ。
 今更「告白される」なんて言われても……。まあそうでしょうね、としか感想が出てこないんですけど。
 もっとすごい理由が飛び出してくるのかと思っていたから、拍子抜けして逆に驚いてしまったじゃないか。

「あっ、わかったぞ。告白をしてきた相手が女子だから困ったんだね」
「私が女子に告白されると本気で思いますか?」

 違うの?
 実は男子じゃありませんでしたーって、よくあるミスリードかと思ったのにな。フィクションに染まりすぎたか。

「だったら『たぬきのお面の人』を引き合いに出さなくても、普通に断ればいいんじゃないの?」

 学校一の美少女なら告白をされた回数は城戸さんよりも多いのだろうし、断った回数もかなりの数だろう。
 今更断り文句に困るとは思えないんだけども。

「簡単に言ってくれますね……」

 松雪さんは暗い表情を見せる。
 あれ、もしかして思っているよりも深刻なのか?
 人気者が告白されるなんて当たり前のことだと決めつけていたけれど、僕の勝手な想像でしかなかったのかもしれない。
 僕は改めて姿勢を正す。

「えっと、話を聞いてもいいかな?」

 とにかく事情を聞かなければ、なぜ松雪さんが困っているのかもわからないままだ。
 同じ「告白をされて困る」という相談でも、松雪さんと城戸さんではその中身に違いがあるように感じられる。

「……」

 珍しく押し黙ってしまう松雪さん。
 なかなか話し始めないので、城戸さんが困ったように僕と松雪さんの間に視線を泳がせる。
 いつもの松雪さんらしくない態度だ。
 こんな風に黙り込んでしまうような人じゃなかったから。実は深刻な理由があるのかと心配になる。

「あ、あははー。そうですよね。普通に断ってしまえばいいですよねー。簡単なことのはずなのに、私ったら何を甘えているのでしょうね」

 松雪さんは急に明るく笑う。
 それからコーヒーを一気にあおる。ごっきゅごっきゅと喉を鳴らして、なんていい飲みっぷりなんだ。

「そういえば私、用事があるのでした。先に帰りますね」
「あ、ちょっ──」

 松雪さんは慌てた様子で席を立って、黒髪をなびかせながら店を出て行ってしまった。

「「……」」

 僕と城戸さんは顔を見合わせる。
 お会計がまだ……。と、今更言ってももう遅い。
 松雪さんのコーヒー代は、僕が支払うことになったのだった。


  ◇ ◇ ◇


 帰宅して勉強を済ませて、休憩がてら自室のベッドで寝転がる。
 時間を空けて、思い出したことがある。

「松雪さんって、男を騙す悪女なんだってさ」

 などという噂が流れていたことがあったのだ。
 今思い返してみても、松雪さんに恋人がいたなんて想像できない。
 できるできないの話ではなくて、単純に恋愛をしている彼女の姿が思い浮かばないのだ。

「いやいや、さすがにそれは失礼だよな」

 それに、そんなことを言ったら美月に彼氏ができるなんて思いもしていなかった。
 あの美月が泉くんとラブラブだったのだ。見ているこっちが恥ずかしくなるくらいイチャイチャしている現場に遭遇したこともある。
 なんだか話が逸れていっている気がする。考えたいのは松雪さんのことだ。
 つまり僕が想像できなくとも、松雪さんが恋愛していてもおかしくないってことだ。
 それに彼女の喫茶店でのあの様子……。何かしらの恋愛的なトラブルがあったのではないだろうか?
 現在進行形で男子とトラブルがあって、それで僕を頼ろうとした……とか?

「なんか、もやもやする……」

 結局のところ、いくら考えを巡らせたって想像の域を出ないのだ。
 松雪さん本人から話を聞かない限り、彼女が何に困っているのかわかりようがない。

「……」

 ダメだ。気になって仕方がない。
 これは僕の心のもやもやを晴らすためだから。そう呟きながら、スマホを手に取る。
 スマホをタップして、松雪さんにメッセージを送る。
 夜だから電話で済ませたいけど、それじゃあ話を誤魔化されるだろう。
 返事は、思いのほかすぐにきた。
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