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36 アイーシャはやる気満々
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エステルは、満面の笑みで任せてと言わんばかりに頷いたアイーシャに、殆呆れた。アイーシャはいつも『分かってるわ』と答えるにもかかわらず、エステルがブチギレル必ず朝の3時まで『あとちょっとだけ』と言って作業を続けるのだ。
「《アイーシャ、今日は是が非でも12時には強制的に寝かせるわよ》」
「えぇ、寝るためにも集中して作業しなくちゃね」
「《全くもって寝る気がないわね………》」
アイーシャに甘い自覚のあるエステルはそっと溜め息をついて、アイーシャの雪のように真っ白な精霊をも魅了する作品を作り出す手をじっと見つめた。アイーシャは今小花の刺繍を終えたところだったが、リアルなのに可愛らしい今にも動き出しそうな熊が、小花に囲まれているという光景は妙にマッチしていてメルヘンチックだった。
「《それで完成?》」
夜の10時、作業を始めて1時間ほど経ってアイーシャは始めて長い糸をハサミでチョキンと切った。
「えぇ、1つ目は、ね?」
もう1つ作る気満々な主人に、エステルはこれ見よがしに大きな溜め息をついた。
「《ねぇアイーシャ、あなた本っ当に、12時までに寝る気あるの?》」
「えぇ、あるわ。一応寝る気はあるわよ」
妙に“は”のところを強めて言ったアイーシャに、エステルは諦めにも近い残念な心情を抱いてこれまた溜め息をついた。母親の形見たる裁縫箱が無くなったり、刺繍ができなくなったりすれば、いとも簡単にすっぱりと命を手放してしまいそうなこの愛しの主人を止めることのできる大胆不敵な人間や思いっきりのいい精霊は、この世には決して存在していないだろうと。
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
「《アイーシャ、今日は是が非でも12時には強制的に寝かせるわよ》」
「えぇ、寝るためにも集中して作業しなくちゃね」
「《全くもって寝る気がないわね………》」
アイーシャに甘い自覚のあるエステルはそっと溜め息をついて、アイーシャの雪のように真っ白な精霊をも魅了する作品を作り出す手をじっと見つめた。アイーシャは今小花の刺繍を終えたところだったが、リアルなのに可愛らしい今にも動き出しそうな熊が、小花に囲まれているという光景は妙にマッチしていてメルヘンチックだった。
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夜の10時、作業を始めて1時間ほど経ってアイーシャは始めて長い糸をハサミでチョキンと切った。
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