7 / 135
1stフェーズ 始
No.7 襲撃者と転校生の追いかけっこ
しおりを挟む「貴女を障害とみなし排除します」
ユキチカ達を襲った三人の一人がそういって武器を構える。
「そう簡単にやられてやんないよーだ」
「ジーナ楽しそう」
構えるジーナを見てユキチカは彼女がどこか嬉しそうにしているのを感じた。
「来るよ!」
相手の三人は一斉に飛びかかってきた。
「おっと」
「はやいねー!」
「うわー!」
相手の攻撃を避けるユキチカ達。
散らばる形で跳んだ彼らは敵と一対一で向き合う形になった。
「いざ……」
ジーナが構える。
「鬼ごっこ?ぼく逃げればいいのね」
ユキチカは相手の前で屈伸などストレッチをした。
「あの!私は皆様ほどこの事態に前向きになれてないのですが!?」
ジーナが勢いよく相手に跳びかかり蹴りを繰り出す。
相手は攻撃を受けながらも、構わず電気が流れる警棒を振り回した。
(全然効いてる感じ無いな、結構いいの入ってるのに)
相手が振り下ろして来た警棒を避け、相手の腕を掴む。
「そーれっ!」
攻撃の勢いを逆利用し、相手を投げ飛ばすジーナ。
「初対面の人にこういうの失礼なんだけど、重くない?骨格と筋肉量とかからみて明らかに重いんだけど。ひょっとして服の下に鉄板とか入れてる?それともご飯食べすぎた?」
彼女の質問に答える事なく相手は立ち上がり、攻撃を再開する。
「あれ、ひょっとして怒っちゃった!?」
「あははは!鬼さんこちらー」
その頃ユキチカは走り回って追いかけっこをしていた。
「ユキチカ様!!」
と同じく為す術もなく逃げ回るウルル。
「ウルルも鬼ごっこ?」
「違います!全力で逃げ回ってるんです!」
「うーん諦めてくれないねー。じゃあ」
するとユキチカが急に立ち止まり振り返る。
「とうっ!フライングアタックッ!」
彼は後ろから走ってきた二人に対して身体をぶつけるように飛び込んだ。
勢いよく衝突し、そのまま二人を下敷きにする。
「凄いですユキチカ様!一網打尽です!」
ウルルが喜ぶ、だが
「目標を確保」
「わー捕まったー」
相手二人にロープでグルグル巻にされるユキチカ。
「ユキチカ様ァァァァ!?」
捕まってしまったユキチカをみてウルルは叫ぶ。
「何やってんの!?もう!」
ジーナが助けに行こうとすると相手に邪魔をされる。
「ちょっとどいてよ!」
「ユキチカ様!貴女達離しなさい!」
ウルルが相手に掴みかかるがウルルは蹴り倒される。
「邪魔をしないでください」
相手が地面に倒れるウルルに冷たく言う。
ウルルをみてユキチカが口を開く
「……なにしてるの……?」
「ユキチカ様……?」
倒れたウルルが見上げる。
「……ダメ、ウルルをイジメないで」
彼はロープを内側から千切った。
「捕縛対象の危険レベルが上昇。無傷での捕縛は不可能と判定、行動不能にします」
二人はユキチカに向け警棒を振りかざす。
「いみないよ、これ」
次の瞬間、彼は振り下ろされた警棒を掴んでいた。
彼は電気ショックを受けるも効いている様子はなく、二人の顔を掴む。
相手は警棒で殴りつけてはいるが彼はビクともしない。
「わるい人とはもう遊んであげないっ!」
そして彼は二人を持ち上げ、地面に叩きつけた。
そのあまりの衝撃にアスファルトの地面が大きくひび割れた。
「なんて、パワー……お相手生きてる?」
ジーナがそういうと相手はぎこちない様子で立ち上がる。
「うっそ」
「貴女達は……そんな!」
ジーナとウルルが立ち上がった相手を見て驚く。
「損傷……甚大、作戦の……継続…不可」
相手の右頬部分から銀色の骨格が露出、腕なども同様に金属質の骨格やケーブルが露わに。内部から電気がバチバチ音を出しているのが聞える。
それは明らかに人間の内部とは違ったものだった。
二人はドサッとその場で倒れた。するとジーナと対峙していた最後の一人がジーナ向かって走り出す。
「本作戦の失敗を確認。対象を変更、脅威となりうる可能性を排除します」
相手の両掌から刃物が突出。
ジーナに襲いかかる。
(なるほど、軽く小突いた程度じゃ効かない訳ね。じゃあ思いっきりやるか)
ジーナが深く腰を下ろして構える。
襲いくる相手を迎え撃つ気だ。
(私に向かって一直線、これなら当てられる)
深く息を吸う。
(ここだッ!!)
向かってくる相手目掛け拳を放つ。
衝突の際に金属同士がぶつかったかのような音が。
胴体に直撃を受けた相手は後方に大きく跳んだ。
そしてそのまま地面に倒れ、機能を停止した。
「これで、終わり……かな?」
「はい、完全に機能停止しております。おつかれさまです……ふぅ」
ジーナとウルルが倒れた相手を確認し、動かないことを確認する。
「今日もありがとねジーナ!」
ユキチカがニッコリと笑ってそう言った。
「え、ええまあ。どういたしまして。というかこの人たちは」
ジーナはそう答えて目の前に倒れているアンドロイド達に視線を戻す。
「アンドロイドです。ですがこれほどまでの武装を、どうやって?」
「確か法律でダメなんだよね?」
ウルルはジーナの問いに答える。
「はい、私達は武器の使用及び所持が出来ないようプログラムに組み込まれています。ですから本来は武器を手に取る事すら不可能なのです」
「あれ?でもウルルちゃん料理しないの?包丁とかはセーフなの?」
「私のように男性におつかえするアンドロイドのみ、活動に必要な道具を予め登録しています。その他のアンドロイドは調理等に使用する機械を管理しているだけです」
ウルルの説明をうけてジーナは頷く。
「この人たちずっと見てた。遊びたいのかなって、学校のみんなみたいに。でもウルルのことイジメた。イヤな人だった」
ユキチカの話を聞いてウルルが申し訳無さそうな顔をした。
「ウルルの新機能試せなかった、ちょっとザンネン」
「新機能?そんなのあるの?」
ユキチカの発言を聞いてジーナが尋ねると
「あるよ!ウルル、防衛モード!」
彼の声に反応するようにウルルの右人差し指が変形。
「えっ、えっ!?」
「ビリビリショット!」
ウルルの指先から壁に向かって電気が流れる網が射出された。
「新機能!でもこの人たちには効かないだろうね。もっと出力あげてみよーっと」
「こんな機能、カタログに一切記述ないのですが!?というかお話聞かれてました?!アンドロイドの武装は法律固く禁じられているんです!」
自身の指をみて慌てふためくウルル。
ゴトンッ!
ウルルがちょっとパニックになっている後ろで、重量感あるものが地面に落下する音が。
「ん?」
「ユキチカ様?」
二人が音がしたユキチカの方を振り向く。
そこにはユキチカの左腕が地面に転がっていた。
「あ、とれちゃった」
ユキチカは腕を拾い上げ元の場所に取り付ける。
彼を見つめて固まっている二人を見てユキチカが笑って言った。
「うん!ぼくのカラダも機械なんだー」
「「えええええ!!!!」」
20
あなたにおすすめの小説
異世界で農業を -異世界編-
半道海豚
SF
地球温暖化が進んだ近未来のお話しです。世界は食糧難に陥っていますが、日本はどうにか食糧の確保に成功しています。しかし、その裏で、食糧マフィアが暗躍。誰もが食費の高騰に悩み、危機に陥っています。
そんな世界で自給自足で乗り越えようとした男性がいました。彼は農地を作るため、祖先が残した管理されていない荒れた山に戻ります。そして、異世界への通路を発見するのです。異常気象の元世界ではなく、気候が安定した異世界での農業に活路を見出そうとしますが、異世界は理不尽な封建制社会でした。
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
蒼穹の裏方
Flight_kj
SF
日本海軍のエンジンを中心とする航空技術開発のやり直し
未来の知識を有する主人公が、海軍機の開発のメッカ、空技廠でエンジンを中心として、武装や防弾にも口出しして航空機の開発をやり直す。性能の良いエンジンができれば、必然的に航空機も優れた機体となる。加えて、日本が遅れていた電子機器も知識を生かして開発を加速してゆく。それらを利用して如何に海軍は戦ってゆくのか?未来の知識を基にして、どのような戦いが可能になるのか?航空機に関連する開発を中心とした物語。カクヨムにも投稿しています。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
異世界亜人熟女ハーレム製作者
†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です
【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる