強制ハーレムな世界で元囚人の彼は今日もマイペースです。

きゅりおす

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2nd フェーズ 集

No.37 夜街を激走するメイドたち

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夜街を爆走する車とそれを追走するバイク。

先頭を走る車を運転するのはウルルだ。

「中々振り切れませんね!」
ウルルは車に取り付けられたカメラ越しに背後から迫るバイクをみていた。

「アンドロイドってここまで車をぶっ飛ばせるものなのかね?!もう法定スピードとかそういうレベルじゃないぞ!というか今気づいたけど、これうちの車だね!?いつの間に?!」

ブルジョはベルトやら車内の取っ手やらを全力で掴みながらそう話す。

「今どきガレージに金属製の錠前を何重にしたところで意味ないですよ!ああ!なんで私助手席に座っちゃったんだろ。スピード感が半端ないよ!」

シャーロットもベルトと取っ手にしがみついていた。

そんな状況だとは知らずに背後から迫るバイク。
(なんて運転技術だ!ここまで速度を上げてもまだ追いつけないとはな!)

するとその者の手首に装着されている機械が点滅した。
(これは!あいつらしくじったのか!ならば私だけでもこの任を果たさねば!)

ハンドルのスイッチを押すとバイクのスピードが更に跳ね上がる。

「なんか距離が近づいて来てないかね!?」

「燃料を使って一時的に加速力を引き上げる装置を使ってる!あれ改造車!?こっちはそんな装備ないよ!すぐに追いつかれる!」
サイドミラーからバイクをみていたシャーロットがそう説明する。

「シャロ様、あのバイクから逃げ切るにはどうすれば良いですか?」
運転しながらウルルが尋ねる。

「相手のバイクを止めるしかないかも。バイクのサイズからみてあの加速もそう長くは出来ない、2分も保つかどうかだと思う。でもその前に確実に追いつかれる!だから相手を止めないと」

「畏まりました。皆様の中に遠距離の標的に対して衝撃を与える手段をお持ちの方はいらっしゃいますか?」

「そんなお客様の中にお医者様の方はいらっしゃいませんか?みたいなノリで聞かないでくれ!銃のことか?」

「まあ、端的に言うとそんな感じのものです」
「持ってる訳ないだろ!そんな怖いもの!」
ブルジョがそう答えるとウルルはシャーロットの方を一瞬みる。

「分かりました」
「え、なんでいま一瞬こっち見たの?ねぇ、ウルル、ウルル!?」

ウルルはシャーロットに顔を向ける。

「シャロ様、運転お願いします」
「へ?いやいや!ムリムリムリ!!」
高速で首を横に振るシャーロット。

「大丈夫です、運転は思っている程難しくありません、複雑なのは交通ルールなので。私が今踏んでいるアクセルを一番下まで踏み込んでください、あとは適宜ハンドルを操作してください。回した方向にタイヤの先頭が向くので」

「いや、運転の仕方の問題じゃなくて!」
「お願いします、最高速度でこの街中を走り切るには類稀な運転技術や経験、或いはあらゆる計算を瞬時に解き続けられる方が必要です」

そう言われたシャーロットは少し間を置き早めの深呼吸をする。

「わかった、やれるだけやってみるよ」
「ではこちらへ、そうです、アクセルに足が届きましたか?それではお願いします」
運転席に移るシャーロット。

それをブルジョは不安そうにみていた。
「本当に君が運転するのかい!?うちのヴィクトリアのほうが……」

「それだとウルルちゃんが相手を食い止められなかった時に戦える人がいなくなります。その身一つで戦えるヴィクトリアさんは手を開けておかないと」

「なるほど……畏まりました」
「え!ヴィクトリア畏まるの早過ぎないかい?!」

「いいですか、もうハンドル握ってるのであまり邪魔しないでください!明日のニュースに出たくなければ!」
シャーロットが真剣な表情でそう叫ぶ。


ウルルが後ろに迫るバイクに向かって指を向ける。
「この距離、スパークショットなら」

指先から針を飛ばす。

「くっ!銃?」
相手は左右に動いて針を避ける。

「この暗闇でよく見えてますね。ヘルメットに装置でもあるのでしょうか」

「裏切り者の共犯者が!コンピューター!追跡モードだ」
そう言うと相手はハンドルから手を離し、銃を取り出し発砲する。

「撃って来たんですけど!!」
「だだだ、大丈夫だ!安心したまえ!この車は特注で防弾ガラスにボディも防弾使用、タイヤだっていくら弾丸を撃ち込まれてもパンクしない!」
ブルジョは震えながらシートベルトにしがみついてそう言った。

ハプニングは続くもので、別のバイクが横から飛び出て来た。
同じ襲撃犯のようだ。

「うわー!今度は別のバイク?!」
シャーロットが叫ぶ、バイクはもう手が届くほどの距離まで迫って来ていた。

「いけない!」
ウルルが横から来たバイクに照準を合わせる、しかし後方に迫る襲撃犯から銃撃を受ける。

弾丸が腕に当たる。
青色の液体が流れ出た。

「もしかしてアンドロイドか?でもアンドロイドは確か銀色のはず」
ウルルの血を見て後方の襲撃犯はそう呟く。

「やばいです!ヴィクトリアさーん!!」
「お任せを!」
シャーロットが叫ぶと、ヴィクトリアは勢いよく扉を蹴り開けた。

扉はバイクに衝突、バランスを崩したバイクは激しく横転する。

「ああ、良かった」
シャーロットが喜んだ瞬間、バイクから放り出された相手は何かを扉に射ち込んだ。

「ワイヤー?」
ヴィクトリアがそういうと、ルーフから大きな物音が。

「まさか……!」
蹴り開けた扉から腕が伸びてきて、ヴィクトリアが捕まってしまう。

そのまま彼女は車外に引っ張り出される。
彼女は相手の腕にしがみつく。

彼女を掴んだのは先程のバイクに乗っていた襲撃犯だ。車のルーフに襲撃犯がバイクから飛び移ったようだ。

相手は彼女を振り落とそうとする。
ヴィクトリアはなんとか振り落とされないように相手の腕を掴む。

「離れなさい!ああ、もういいわこの手で殺すわ!」
そういって機械音を上げながら相手は殴りかかる。

ヴィクトリアはそれを回避して足を蹴った。
しかし相手の脚はビクともしない。

「っ!」
「残念!外骨格に特製のマグネットブーツよ」

それを聞いてヴィクトリアは笑う。

「何がおかしいの!」
「足が動かないのはそこまで良いものじゃないなって。例えば!」

ヴィクトリアは相手の両手を取り、引き寄せる。

「なっ!?」
彼女は相手の顎を膝で蹴り上げた。

「こんな風にされたら衝撃が逃がせないのでは?」
「がぁ……!!」
相手はガクッと膝を崩す。

「ウルルさん!もう一人を真後ろに寄せられますか?」
「畏まりました!」
ウルルは後ろに迫るバイクを攻撃する。

バイクが徐々に寄ってくる。

「よくも……やってくれたわね!」
ヴィクトリアに蹴られた相手は再び立ち上がる。

この時足がしっかり動いていることをヴィクトリアは見逃さなかった。

「あれ、ひょっとして足ひっつけるの止めたんですか?」
「今解除したわ、今度は私の蹴りをお見舞いしてあげる!この強化された脚で……って、え!?」

ヴィクトリアは相手の身体に抱きつき腕を背後まで回す。

「近寄らないでこの反逆者!なんのつもり!?」
「これ借りますよ!」
ヴィクトリアは相手の装備の内一つ、腰に装着されていたグラップリングフックを操作した。

これは先程、相手がバイクから放り出された際に撃ち出した物だ。

先端のフック部分が射出される。
建物の一つに刺さった。

「さあ行ってらっしゃいませ!」
「ちょっ!待って!」
相手はグンッと後ろに引っ張られて車のルーフから引き離される。

そしてそのまま車の後ろに誘導走っていたバイクに目掛け飛んでいく。

「う、うわあああ!!!」

バイクを運転していた襲撃犯は巻き込まれた。

激しく部品を撒き散らしながら横転するバイク。
襲撃犯は建物に衝突し地面に落ちる。

後部座席にスルッと戻るヴィクトリア。
「お見事!」
「お粗末様でした」
ウルルにお辞儀をしてヴィクトリアはそういった。

こうして一行は夜の街を走り抜けて行ったのであった。
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