強制ハーレムな世界で元囚人の彼は今日もマイペースです。

きゅりおす

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4th フェーズ 奪

No.81 大脱出

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「バニッシュメントッ!」
「ガ……アッ…!!」

 ユキチカの放った強力な衝撃波がヴァ―リ・ジョーンズの強化アーマーとその周囲を破壊した。ヴァ―リ・ジョーンズはエレベーターに衝突し、エレベーターを巻き込んで最下層に落下していく。

「よっと!ちゃくちせーこー!」
ユキチカはくるりと空中で一回転し最下層に着地する。

「あれ?ヴァ―リ?」
ユキチカが呼びかけるとヴァ―リ・ジョーンズが瓦礫の中から現れる。全身に傷を負い出血している。

「まったく……君たち天才はいつもそうだ」
「?」
ヴァ―リは手首に装着した装置を操作する。

 破壊されたアーマーからミサイルが放たれる。ユキチカは指を動かす、すると何故かミサイルが全て彼の指を向けた方向に飛んで行き壁に衝突する。

「一体どういう仕組みだ。訳が分からん、君にこんな前時代的な兵器は無駄だったか。それなら」
再度手首の装置を操作するヴァ―リ。

「この状況はどう乗り越える?」


 一方通路を進むオニツノとヒメヅカ。
「なーヒメヅカはん、ここはどこなんや」
「分かりませんよ!あなたが変なボタン押すから!」
 
 時が少しばかり遡る。二人はキビを追いかけて走っていた、ルートを知っているヒメヅカの前を走るオニツノ。

「だからなんであなたが前なんですか!道知らないでしょ!」
「せやからちゃんと後ろからガイドしてくれやー。お?」
走っていたオニツノは何かを見つけて急に立ち止まった。

「ちょっと急に止まらないでください!ぶつかるところだったじゃないですか!」
ぶつかる寸前の所でかわすヒメヅカ。オニツノは見つけた物をじーっと見ていた。

 彼女が見つけたのはどうやらボタンのようだ。赤くて丸くて丁度良い大きさのボタン、周りにはオシャレに黄色と黒の柄が入っている。

「ポチっと」
ボタンを押すオニツノ、すると足元に大きな穴が出現する。

「え?」
「あははーやってもうた」

「「うわああああッッ!」」
突然現れた落とし穴に2人は飲み込まれてしまった。そうして今、彼女らはどこかも分からない場所にいるのだ。

「それに関してはごめんて、だって押しやすい所に押しやすそうなボタンがあったら押すのが人間やろ?」

「まったく、にしても本当にここは何なんですか?私が持ってる資料じゃこんな部屋ないのに」
ヒメヅカが図面を表示させるが二人のいる場所はその図面が示すどの通路にも当てはまらない。

 しばらく歩いていると再び警報が鳴り始めた。
「また警報かい!」
耳をふさぐオニツノ。

「この警報は最悪ですね」
「最悪なんて大げさな」

《自爆装置起動、5分後に施設は自爆します》
というアナウンスが流れる。

「最悪やぁぁぁッ!!」
「だから言ったでしょ」
叫ぶオニツノにツッコむヒメヅカ。

「これ走って間に合うんかいな」
「正直に言うと無理ですね。最短距離を進んでも全然足りません」
「こういう時は良い感じに地下シェルターとか見つけられるもんじゃないんか」
「もしあっても私達は入れませんよ」
話しながら歩いているとまたオニツノが立ち止まる。

「なに!?お?おい、これ見てみ!なんやこれ」
「またスイッチですか?」
「ちゃうって、これ!」
「これは……」



「施設爆破って、この前のあれ?!だとしたらマズイよ!」
「みんな、早くここから避難しないと」
「でもユキチカが!」
「ジーナちゃん、大丈夫だよ。施設の爆破ぐらいあの子なら。それよりも君たちの脱出が最優先。さあ時間はそんなに残されてない移動しよう」
イヴはユキチカの元に行こうとするジーナを呼び止める。

「あれ、コウノさんと他の二人は?」
「いませんね、私のスキャンにも反応しません」
シャーロットとウルルが周囲を見渡すがコウノ、アルファ、シータの3人の姿はない。

「きっと騒ぎに乗じてどこかに逃げたんだろ。放っておけ」
「そんなキビさん!良いんですか」
「アイツもガキじゃない。アイツを一発ぶん殴るのはまた今度にしとくよ」
シャーロットにそう言ってキビは立ち上がる。まだ足の痛みがあるが歯を食いしばって立ち上がる。


「うおーー!」
すると何やら向こうから大音量のエンジン音と叫び声と共に何かがやって来た。

「なんか来た!」
現れたのはバイクに乗ったオニツノたちだった。

「よう!お嬢ちゃんたち!ドライブでもいかが?」
複数人乗れそうな、かなり大型のバイクだ。運転するオニツノの後ろにヒメヅカとキリサメも乗っていた。

「オニツノ!それにヒメヅカとキリサメも!?」

「なにそのバイク!」
シャーロットは乗ってるバイクに興味津々だ。

「どんな地形でも高速で移動するホバーバイク。ただ推進力に力入れ過ぎてね、安全性の面からお蔵入りに。でもスピードは保証するよ、スピードだけだけど」

「ち、ちょっと待ってください、その方は……!」
説明するイヴの顔を見て驚くヒメヅカ。

「イヴ様、ジーナたち連れてきた」
「知ってたんですか?」
「さっき、ジーナから聞いた」
キリサメがヒメヅカに顔を近づけて話す。

「アイスブレイクは十分できた?そろそろ出してもらわないと」
バイクに乗り込むイヴ、それに続いて他の者も乗り込む。

「よーし!お嬢さん達しっかり掴まっとれよ!」
バイクを飛ばすオニツノ。


施設が自壊を始め、壁や天井が次々と崩れ落ちる。

「もっとスピード出せないの!?」
「これで目一杯やっ!」
ジーナにオニツノが言った通りバイクは既に最高速度を出しているが未だに出口は見えない。

「ちょっとまってて。あとは直進するだけだから大丈夫かな」
イヴがバイクに触れる。

「オニツノさんしっかりハンドル固定しておいてね!それじゃあ行くよエネルギーを追加供給!オーバーブースト!」
バイクに触れるイヴの手が光を放つ。

 バイクは更なるスピードを出す、オニツノの力でも進行方向を固定させようとするので精一杯な程の圧倒的スピード。

「み、見えた!……もう少しや!」
全力でハンドルを握るオニツノ、正面に出口が見えた。次の瞬間には出口手前の坂を駆け上りバイクは飛び上がっていた。

 出口を突破する事は出来た、しかし飛んだ勢いでウルルが振り落とされてしまった。このままでは爆発寸前の施設に放り戻されてしまう。

「「ウルル!」」
ジーナとシャーロットが手を伸ばす、だがもう届かない。

「うおお!」
何者かが空中のウルルを受け止め、外に飛び出した。

「ふぅー我ながらナイスキャッチだったな。お嬢さん大丈夫か?」
「ええ、ありがとうございます……え!?」
助けてくれた相手を見てウルルは固まる。

「お前は……!その子から離れろ!」
キビが銃を向ける。それもそのはず、ヴァ―リがそこに立っているのだから。

「おいおいなんだよ、いきなり物騒だね」
ウルルを下して両手を上げる。

「?」
確かにその者の服装はヴァ―リのものだ、顔もユキチカと同じ顔、しかし何やら雰囲気が違う。

「あんたヴァーリじゃないの?」
シャーロットが尋ねる。

「なに!?ヴァーリだと!そうだ、あの野郎!ダイキを利用しやがって!絶対に許さねぇからな!」
急に怒り出すヴァ―リの姿をした者、シャーロット達は訳が分からないという様子だ。

「なにがどうなってるの?」
困惑するジーナの後ろからイヴが前に出る。

「久しぶりだねシドー」
「うん?ああ、先生か!どうしたんだその格好、また何かの実験か?」
イヴをみてその者は嬉しそうな表情で笑う、決してヴァ―リがしないであろう明るい笑顔だ。

「みんな安心して、彼はシドー。ユキチカのそうねもう一人のお父さんって所かな」
そう言ってイヴは近くにあった金属片に男の顔を写して見せる。

「あれ?これって……ダイキか?!これソウルパッチか!タローにつかってた」
シドーと呼ばれる男は状況を理解したのかなるほどと頷いている。


「なんかよーわからんけど。あんたら早うここから逃げたほうがええで」
「暫くするとウルティメイトの者がやって来ます、見つかると色々と面倒になるのでは?今回は見逃してあげます、これで貸し借りなしですからね」
オニツノとヒメヅカが彼らに対してそう言う。

「今のはありがとうって意味やでひねくれ星人の言葉でな、ほんまにありがとうな助かったわ。みんなはこんな愛想も無い大人になったあかんで」
「野蛮人に言われたくないですね」
「キリサメも残る」
オニツノ、ヒメヅカそしてキリサメはそう言ってその場に座る。

「それでは私達は行こうか。すぐに車を用意するから、シドー運転頼める?」
「ああ、任せてくれ、先生」
イヴが手を動かすとどこからともなく誰も乗っていない車が現れた。

「良かったんか?あのイヴっちゅー人、あんたらとこのトップなんやろ?」
「何か話せば良かったとでも?聞きたいことが多すぎて無理ですね」
「キリサメ、初めてみた」

「ふーん。そっちのトップは妙なんばっかりやな」

足を伸ばしてオニツノは空を見上げた。

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