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4th フェーズ 奪
No.99 再びインファマス刑務所へ
しおりを挟むオニツノの側近であるエンドウが港で進めずにいたジーナ達に加勢しに来た。しかしその直後ヘリコプターからシャーロット達が狙撃されそうになる。
その時彼女らを救ったのは意外な人物だった。
「チザキさん?!」
「シャーロット」
チザキ・アキナは以前に吸血鬼事件で対峙した人物であり、昔はシャーロットと共にウルティメイトの元で研究開発を行っていた人物でもある。
「なんだ知り合いか。にしてもすごいな、結構おれ重いはずなのに片手でぶん投げるなんて」
チザキに投げ飛ばされたシドーが起き上がる。
「大丈夫か2人共?って誰だその人」
キビ達がシャーロットとシドーが乗る船に乗り込んできた。
「チザキさんだよ」
「ええ?!」
様子が変わったチザキを見て驚くジーナ。
「シャーロット」
真っ赤な髪になっていたチザキはシャーロットを抱きしめて離さない。
「それじゃあエンドウさん、無理しないでくださいね!」
「はい、道中お気をつけて!」
エンドウたちに港をまかせジーナたちは出港する。
「なんとか出港できたな」
「そういえば警察の船はありませんでしたね」
「いくら先回りするって行っても限界があるからな、船の準備が間に合わなかったんだろう」
キビはジーナ達にそう説明する、しかし彼女の本当の考えは違う。
(なわけ無いよな、港を封鎖するなら当然海上にも人員を配備するはず。あんなにどういう事だ)
「おい!なぜ海に1人も配置していないんだ!」
「すみません、そちらには配備する必要なしという命令だったので」
捜査本部でそんなやり取りがされている。
「なんだと?そんな指示は出してないぞ」
「え?!」
お互いに見合う部下と上司。
「だ、誰だそんな事を言ったのは!私はそんな指示を出してないぞ」
「私です」
そう言うと後ろから別の者が話す。
「本部長殿!?」
振り向いた者は驚きながらも敬礼する。
「逃亡犯の逃走ルートを絞るには時間がなかったので、可能な限り広い範囲に捜査網を張る必要があると考えたのですが。まさかあれほど港に配置した人員を突破してしまうとは」
本部長は頭を振りながらそう言う。
「全ては私の責任です。他になにか聞きたいことは?」
「……いいえ、ありません」
「あらぁ、あんたの企み通りに行かんかったなぁ。うちのもんはあんたらよりもジーナはんを信じたみたいやな」
オニツノはアルファに向かってそういった。
「……」
アルファは彼女に背を向けて歩いて行く。
「無口なやつやの」
「さっきまで私に銃をつきつけて連絡させたのに、お疲れ様の1言もなしですか」
ため息をつくヒメヅカ。
「エンドウたちも元気そうやな、ええなーあんなに暴れられて」
「相手は警察ですけどね。どうするんですか」
ニュースの映像をみて羨ましそうにするオニツノ、それをみて呆れるヒメヅカ。
「どうもせんわい、これで捕まるようなアイツらとちゃう」
「それにしても、まさかチザキ・アキナが出てくるとは。警察の監視下から逃げ出したとは聞いてましたが。赤い髪も良いですね、こんどリリィさんに会う時に染めてみましょうか」
「おもろいのぉーあの人、手から出してたあれ血やろ?あんなに出しても貧血にならへんのやな」
「ふうん、私が知る限り彼女はあのような事は出来なかったのですが。彼女の血液にいる微生物が進化したのでしょうか」
二人はお茶を飲みながら話していた。
シドーの操縦する船はインファマス刑務所に到着した。
「おー!良く来たな、待っていたぞ」
「さすがに来ること知ってたか」
鬼丸ヤスシが皆を出迎える。
「あなたは?ユキチカそっくりだが」
「身体はユキチカの本来の肉体、中身は50年以上昔に戦場を駆け回ってた軍人だ」
キビはシドーに関する説明をした。
「あなたがユキチカの面倒をみてくれていた鬼丸ヤスシさんですか!シドーですよろしく」
「ん?ああどうも」
シドーとヤスシが握手をする。
「そこの真っ赤な髪の女性は?」
「チザキ・アキナさん、大丈夫です仲間なので」
チザキに抱き着かれたままのシャーロットがそう言う。
「それで?ここに来たのは自首じゃないんだろ?」
「当たり前だ、私達は無罪だぞ」
キビのセリフにジーナ達が振り向く。
「なんだよ」
キビはここまでに身分詐称、窃盗、暴行、法定速度を超えた車両の運転、信号無視などなど様々な事をしてきていた。
「私達、全部が無事に終わってもここに来るハメになりそう」
ジーナが肩を落としてそう言う。
「まあ、おれは警察官でも裁判官でも無いからな。皆がここに来るまでに何したかは置いとくとしよう。さあ中に入ろう」
ヤスシはそう言ってみんなを案内し始めた。
「置いとくの?」
「かなりでかいけど」
そう話すジーナとシャーロット。
「ここに来たのは島を探してほしいんだ」
「介護施設を襲撃した次は島が欲しいってか?」
刑務所内を歩きながら説明するキビ。
「あの介護施設にいたのはイヴだ」
「そうか……それでイヴはなんて言ってた」
ヤスシが質問するとジーナとシャーロットが前にでる。
「ウルティメイトが秘密の研究をしている島を探してって。ユキチカはちゃんと戻ってくるから、それまでに私達は相手の本拠地を見つけるようにって」
「そう、ヴァーリってやつがウルティメイトの黒幕でそいつが世界をどうこうするための装置を作ってるんです」
二人は一気に話し始めた。
「分かった、落ち着いて。そういうのは専門家に頼むもんだ。なあストレングス」
彼が呼びかけると物陰から道の角からストレングスが現れる。
「島か、日本には島が多いからね。探すのには時間がかかるよ」
「え?なんで日本って分かるんですか」
ウルルが質問した。
「そりゃあそのヴァーリってやつが日本にいるからさ。自分の大切な研究を地球の反対側に置いておかないだろ?」
「ヴァーリって名前は聞いたことあるのか?」
ヤスシの質問に首を振るストレングス
「いや無いね。だけどウルティメイトに出資してる連中が定期的に会合をしているらしくてね。時折そこで出される料理の数が合わないときがあるんだ」
「料理?」
「もし来賓に大食いがいたとしてもそこは会合だ。それもウルティメイトが出資者を集めて妙なことを企んでないか圧をかけるための場だよ。食事が進まない事こそあれど、バクバク食えるやつなんてそうはいないだろう」
ストレングスが説明し、その料亭のリストを見せた。
「だがそいつの名前は絶対に出てこなかった。リリィやヒメヅカの名前ですら、私が調べればすぐに出てくるのにだよ?」
「だから島は日本にある、まあそれは見つかるから良いとして。見つかってさあどうするって話だ」
「どうする……そうか、みつけて潜入するとか?」
シドーが言うとストレングスが首を横に振った。
「それは難しいね、なんせこれ程必死こいて隠しているような場所だ。偽装IDと顔を変えるぐらいじゃ潜入出来ないだろう」
「じゃあ強襲か」
「そうなるだろうね、ウルティメイトとの正面からやり合う事になる。そこでだ」
ストレングスがジーナとシャーロットに顔を向ける。
「あんたら二人を鍛えてやるよ」
「え?」
「私とジーナを?」
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