強制ハーレムな世界で元囚人の彼は今日もマイペースです。

きゅりおす

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5th フェーズ 決

No.116 激戦は加速する

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「俺こそが戦いなんだ!」
 暴れまわるガンマに抵抗するシドー。

「本当に、どうなってんだその身体」
「どうだ日本兵!これこそ人の姿!闘争だ!」
 外骨格アーマーと融合し、もはや人の姿ではないガンマは高らかにそう宣言する。

「あーあ、頭まで侵食されたか?とうとうなに言ってるんか本格的に分からなくなって来た」

(にしてもコイツどうするかなぁ。いくら斬っても回復しやがるし)
 シドーは刀で斬りつけるが立ちどころに相手の身体は傷を治していく。
 治療というよりは外骨格アーマーから伸びたケーブルのようなものが斬撃により生まれた傷を埋めていくのだ。

「どうした!もう終わりじゃないだろう!」
「っぐ!」
 ガンマの一撃を受けて大きくと飛ばされるシドー。

「アホみたいな力しやがって……」
 彼は壁を複数ぶち抜いて倒れる。

 そんな彼を見て誰かが声をかけた。

「ここにいたか!」
「ヤスシさん?」
 ヤスシが手を貸し、シドーを起こす。

「ブルズアイから連絡があってな、あんたに手を貸してほしいって」
「ありがたいね」
 壁の向こうからガンマがやって来る。

「なんだ?もう一人戦士が増えたな!良いぞ、まとめてかかって来るが良い!」

「なるほど、バケモン退治か」
「そういうこと」
 ガンマを気怠そうに指さすヤスシ。

「で?あのバケモンは一体誰なんだ?もしかしてヴァーリか?」
「残念ながら違う、だけど同じぐらいムカつくやつさ。おれと同じ元軍人……そしてイヴ先生を殺した奴だ」

 シドーの言葉を聞いて眉間に皺を寄せるヤスシ。
「そいつは見過ごせねぇな」

「貴様も良い殺気だ!素晴らしい!さあ共に限界まで殺し合おうじゃないか!」
 ガンマは歓喜の声を上げる。


 一方その頃、バベッジに対峙しているチザキ。

「抵抗はよした方が良い。確かに君の耐久力テストも行いたいが、やりすぎて死なれては可愛そうだ……私の知的好奇心が満たされないじゃないか」
 バベッジが片手を上げると部屋の扉が動き始めた。

「だれ?」
 部屋の壁が開き、そこから複数のアンドロイドが現れた。

「このアンドロイドはより戦闘用に特化させた実験機でね、ガーディアンと呼んでいる」
 バベッジの前にガーディアンと呼ばれる機械兵が複数並んだ。

「耐久性、積載力、機動力、いずれも最優であり、器用さも持ち合わせている」

「ふん!」
 チザキはその説明を大人しく聞いている訳もなく攻撃を仕掛ける。

 彼女は血の槍を生み出し放つ。

「あれ?」
 血の槍が勢いよく飛んだが、空中で霧散してしまった。

「君の血液の能力、明らかに君のサイズでは考えられない量を扱っているな。興味深い、だが大元が血であることは変わりないだろう?凝固した血液を分解させる薬品を噴射させる機構を取り付けてみたのだが、どうやら成功だな」

 チザキは即座にバベッジに向かって詰め寄る。

「兵士を掻い潜って私を狙い撃ちか、悪くない判断だ。しかし……」

 バベッジはその腕からレーザーを放った。

「私も当然、自らの身体を改造しているよ。カイ・ザイクの実験結果に感謝せねばな」

 レーザーにより脇腹を撃たれ、倒れるチザキ。

「さあ、抵抗は辞めるんだ」

 チザキは腹を抑えながら立ち上がった。

「ほう、回復が遅くなってきたな。ここまでの戦闘で血を使いすぎたか?」
 バベッジは自身の腕を展開させ、そこに映し出される情報に目を向ける。

「いや違うな、君の血中にいる微生物の活動が弱まってきている。さてはここまでに補給をしていないな?」

「ほきゅう?」
 チザキは首を傾げた。

「血のことだ、血を飲んでないだろう」
 バベッジはガーディアンに触れる。

「ここにいる兵の殆どは機械だしな。外にいるサイボーグ達も生来の血液は使用していない」
 彼の言う通りだった、ここまでチザキは血の補給を行えていなかった。

 普段の生活ならそこまで支障はないが、激しい戦闘を続けてきた彼女には死活問題だ。

「君にとっては補給ができない戦場だ。それが輸血パックか?」
 
 チザキはポケットから輸血パックを取り出した。

「んぐ、ん、ぺっ!」
 血を口に含んだチザキはすぐに吐き出した。

「おや、どうしたんだ?」
「まずい、なにこれ?」
 バベッジはニヤリと笑って注射器を取り出す、同じものをガーディアン達が持っていた。

「ひょっとして何処かの誰かに毒でも混入させられたのかな?」
「おまえ!」
 チザキはバベッジを睨みつける。

「さて、どうするかな?実験記録を取らせて貰おうじゃないか」


 その頃、ヴァ―リとアンドロイド達と戦闘を繰り広げるヒメヅカとキリサメ。
 通路には無数のアンドロイドの残骸が転がっていた。

「ただの肉体でよくそこまで戦えるものだ。だが……」

「はあ、はあ」
「すぐに疲労し、怪我の回復も遅い。時間の問題だな」
 肩で息をするヒメヅカを見てそう言うヴァ―リ。

「そうかもしれませんね!」
「……ッ!」
 突如背後から現れたキリサメに首を斬り落とされるヴァ―リ。

「キリサメさん?」
「まだ死んでない」
 キリサメはヒメヅカの前に立ち、構える。

「いやはや、首を斬られるとはね」
 地面に落ちたヴァ―リの首は粒子となって体に戻っていく。

「私の身体はもはや人のそれとは違う」
 ヴァ―リは自分の腕を粒子化させて変形させる。

「ナノマシン、粒子のような機械が私の身体を作り上げている」
「とうとう怪物になりましたか」
 ヒメヅカの言葉を聞いて鼻で笑うヴァ―リ。

「君等のように前時代の考えしか持たぬ狭窄な者には、この姿理解出来ぬのも無理はない……これこそが次に来るべき人の姿だ」

 ヴァ―リは両手を広げて歪んだ笑みを浮かべた。

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