強制ハーレムな世界で元囚人の彼は今日もマイペースです。

きゅりおす

文字の大きさ
121 / 135
5th フェーズ 決

No.121 リサイクル最高

しおりを挟む

 シャーロットの前には損傷したコロちゃんずが倒れていた。
 
「コロちゃん!」

「私のガーディアンと貴様の工作では比べ物にならんか、無理もないか」
 チャールズ・バベッジはガーディアンの後ろで座っていた。まるで戦闘中とは思えないほどの余裕だ。

「しかし、アーマーの機動力は中々のものだな。今のところ致命傷はゼロか。回避訓練でもしたか」
 チャールズはシャーロットのアーマーを興味深そうに観察する。

(あのガーディアン、私の行動を学習して先回りしてくるのすっごくウザいな。ボディに使われてる素材も超一級品で並大抵の攻撃じゃ破壊するのは無理、そしてカッコイイ)

 シャーロットもまたバベッジのガーディアンたちを興味深そうに観察していた。

「貴様の装備ではガーディアンを破壊することは不可能だ。わかっているだろう?この機体はウルティメイトが開発した素材で出来ている、まだ世に発表されていないものだ」

「それを作る為に何人が犠牲になったの?」
 シャーロットがチャールズを睨みつける 

「さあ、それは私の及び知らぬ所だ。ヴァーリから貰ったものだからな。やつは役目を全うしない者はすぐに殺す所があるが、それで何人死んだかは知らん」

「……」
 彼の返答に顔をしかめるシャーロット。

「あいつは極端な思想がある。この世の全てに与えられた役目があり、それを全うしないものは存在価値がないというのだ」

「破綻しまくりの思想」
 呆れた様子でシャーロットはそういった。

「思想なんてそんなものだ。破綻があって当然、だが思想を掲げる者の目には完璧なんだ。視点の違いだ。奴の完璧は極端、極端なものは観察対象としてはもってこいだ、わかるだろ?物事のバランスを知るには極端な例をまず知った方が効率が良い」

「あんたは?」
 シャーロットが睨んだまま質問する。

「私にとってのバランスは自分の知的好奇心を満たすことだけだ。それ以外、天秤に乗せる必要性を感じない。完全に傾いた状態、これが私にとっての完璧だ」
「聞いて損した」
 ため息をつくシャーロット。

「貴様にとっての完璧はなんだ?」

「私の大切な人達と楽しく過ごす!」
 シャーロットは力強くそう言い返した。

「ふむ、私とはだいぶ違う完璧だな。だがそれを全うするには私を殺すしか無いぞ」
 チャールズはガーディアンを自身の前に並べた。

「先にいうが貴様を殺すことに一片の躊躇もない、罪悪感などという倫理も私は持ち合わせていない。それが私の完璧だからな」

「大丈夫、期待してない」
 シャーロットが構える。すると突然部屋の扉が開く。

「シャーロット!」
「チザキさん?!」
 チザキはシャーロットに抱きつく。

「ほー、貴様が来るのか。これは好都合だ、実験体の回収の手間が省ける」
 


 一方その頃、ガンマと戦う鬼丸ヤスシとシドーの2人は決定打を与えられずにいた。

「あのクソ野郎、むかつくがタフネスは一級品だ」
「ほんとにな、どうするか……ん、あいつから?」
 ヤスシの意見に賛同したシドー、彼に一本の連絡が入る。

「ヤスシさん!」
「そろそろ終わらせようぜ」
 シドーに何か考えある、その事を察したヤスシは頷いた。

 ヤスシはガンマに飛びかかり、相手の顔面を蹴り飛ばした。

「おらッ!」
「ッ!」

(本当に生身なんだよな?あの人どうなってんだ)
 この場で唯一、身体を機械化していないヤスシ、その戦闘力に思わずシドーは感心していた。

「鬼の名は飾りじゃねぇんだよ!」
「なんという重さ、素晴らしい!そこまで鍛え上げられるとは!」
 折れた歯を吐き捨てるガンマ。

「別に大したことねぇよ。毎日囚人たちと殴り合いしてれば自然とこうなる」

「最高だ!」
 ガンマは剣をヤスシに向かって突き出す。
 二人の間にシドーが割って入り、刀を構えた。
 相手の一突きを逸らすシドー。

「おれもやられっぱなしじゃあ、ユキチカに顔向けできねぇな!」

「喰らえごら!」
 シドーが作った隙をついてヤスシが警棒を繰り出す。

「さっさとくたばれ!」
 ヤスシに合わせてシドーは刀を振るい、ガンマを斬り刻んでいく。

「ハハハ!いいぞ!いい動きをするな!日本兵!」
 
 ガンマの腕に副腕が絡みついた。副腕は彼の動きをサポートし、彼の剣術は更に鋭く疾くなる。

「私は弾丸、敵の脳漿を散らしてやろう!私は爆弾、敵の肉片で戦場を彩ろう!私は刃……敵の血で全てを染めよう!」
 ガンマは剣の一振りで2人を押し返した。

「戦争に脳を焼かれた野郎が!」
「はぁ、さっさとアイツの口を止めてやりたいぜ」
 そう呆れるシドーとヤスシ。

「あった!」
 するとシドーは何かを見つけた。

 それは彼が持っていた大型の兵器だ。

 彼はそれを拾い上げ、ガンマをめがけ放つ。しかし、その兵器は重量装備を装着し使用する前提のもの。その重量と反動を扱えきれずに一撃は外れてしまう。

「ックソ!」

「なんだ?銃の構え方も知らないのか?やはり剣の方が良い」
 兵器の反動で体勢を崩したシドーにめがけてガンマは副腕を勢いよく放つ。

「剣じゃねぇだろそれ!」

「オラァッ!」
 ヤスシが飛び込み、ガンマが伸ばした複数の副腕を破壊した。

「これ使うのか?」
 ヤスシが聞くとシドーは小声で答える。

「今のは試し撃ちだ。ここに行きたい」
「なるほど、そんじゃ行きますか」
 二人は頷き立ち上がる。

「「受け取れ!」」
 二人はガンマにその大型兵器を投げ渡した。

「なんだ?俺はもう銃なんぞ使わんぞ……」
 それを受け取ったガンマは一瞬動きを止めた。

「行くぞ!」
「オラァッ!」
 2人は動きの止まったガンマに体当たりを食らわした。そのまま壁を破壊しながら突き進んでいく。

「なんのつもりだ?壁にいくら叩きつけたとこでこの鉄の身体には意味がないぞ」


「黙ってろ鉄屑!」
「もうすぐ目的地だ!」

 ガンマを突き飛ばすシドーとガンマ。


「ここは?」
 今までとは違う様子の場所、ガンマは起き上がり周囲を確認した。

 赤く照らされた部屋、室温が異常なまでに高い。

「アンドロイドの整備工場、そこにある溶鉱炉だ」
 シドーは大型兵器を構え、今度はヤスシもそれを支えていた。

「「喰らえ!」」
 2人はありったけの弾をガンマに撃ち込んだ。

 ガンマは徐々に押し出されていく。2人はそのままガンマ溶鉱炉に落とそうとした。

「くだらん!こんな終わらせ方!」
 全弾撃ちきってもまだガンマは溶鉱炉に落とせなかった。

「本当にしぶといな!」
「まったくだ!」
 大型兵器を振り上げてシドーとヤスシはガンマを殴りつけた。

「「オラァ!」」

「くっ!」
 足場から押し出されたガンマ。

「まだだぁ!」
 ガンマは副腕を伸ばし、シドーの足を掴んだ。

「やば!」
「あぶねぇっ!」
 足場から引きずり下ろされるシドーの手を掴むヤスシ。

「最後まで俺は戦う!それが戦士だ!」
 ガンマは剣を構え、シドーの背中を狙う。

「死ぬまで言ってろ」
 シドーは自分の脚を切り離した。

「……ッな!貴様!」
 ガンマは溶鉱炉に落下し、沈んでいく。

「ああ!空が燃えている!戦争だ!人が狂気を善とする戦争だ!私の時代!私の舞台……!」
 虚空にすべての手を伸ばすガンマ。

「鉄屑は溶かして使わねぇとな」
「リサイクル最高だぜ」
 溶けていく彼をみてシドーとヤスシはそういった。


 ガンマが完全に溶けたのを見届けたシドーとヤスシ。

「この場所はどうやって知ったんだ?」
 シドーに質問するヤスシ。
 彼はヤスシに受信したメッセージを見せた。

 それはこの施設の地図の画像が添付されたメッセージだ。

「ブルズアイからだ、あいつから依頼だってさ」
  
「世界トップの殺し屋から依頼か?」
「ああ、ここの溶鉱炉に奴をぶち込んでくれって」
 笑ってその文章を読むシドー。

「報酬は?」
「アイツの最後を観られる特等席」

「そりゃあ受ける他ないよな」
「だろ?」
 二人はそう言って溶鉱炉を後にした。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界で農業を -異世界編-

半道海豚
SF
地球温暖化が進んだ近未来のお話しです。世界は食糧難に陥っていますが、日本はどうにか食糧の確保に成功しています。しかし、その裏で、食糧マフィアが暗躍。誰もが食費の高騰に悩み、危機に陥っています。 そんな世界で自給自足で乗り越えようとした男性がいました。彼は農地を作るため、祖先が残した管理されていない荒れた山に戻ります。そして、異世界への通路を発見するのです。異常気象の元世界ではなく、気候が安定した異世界での農業に活路を見出そうとしますが、異世界は理不尽な封建制社会でした。

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

蒼穹の裏方

Flight_kj
SF
日本海軍のエンジンを中心とする航空技術開発のやり直し 未来の知識を有する主人公が、海軍機の開発のメッカ、空技廠でエンジンを中心として、武装や防弾にも口出しして航空機の開発をやり直す。性能の良いエンジンができれば、必然的に航空機も優れた機体となる。加えて、日本が遅れていた電子機器も知識を生かして開発を加速してゆく。それらを利用して如何に海軍は戦ってゆくのか?未来の知識を基にして、どのような戦いが可能になるのか?航空機に関連する開発を中心とした物語。カクヨムにも投稿しています。

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

異世界亜人熟女ハーレム製作者

†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です 【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

処理中です...