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5th フェーズ 決
No.129 浜辺の闘い
しおりを挟むキビ達の前に立つ2体の装甲兵、その中にはアルファとシータが入っていた。
「コウノ、アイツらを中から取り出すにしてもかなり荒っぽくいく必要があるぞ」
「……それで構いません。彼女たちを、少なくとも兵器の中に置き去りにするよりは、いいですから」
キビの言葉にうなずくコウノ。
「わかった、本気で行くぞ!」
「了解!」
キビとコウノは構える。
「撃て!」
ヤスシの号令により浜辺にいる者達が発砲し始める。
しかし弾丸は全て弾かれてしまう、相手のボディには傷すらついていない。
「これじゃあいくら撃っても無駄だね」
Ms.ストレングスがそう言うと彼女に無線が入る。
「地上部隊!そのデカいのを撃てばいいのか?」
「ああ頼んだよ!」
マチェットたちを乗せた戦闘機が空から迫る。
「目標!浜辺のデカブツ2体だ!」
「了解!」
3機の戦闘機に搭載されているマシンガンとミサイルが発射された。
爆炎に包まれるアルファとシータ。
「全弾命中を確認!」
パラベラムが報告した直後、爆炎の中からレーザーが放たれる。
レーザーはパラベラムが操縦する機体の右翼を切断した。
アルファとシータは大した損傷も無いようだ。
「うおっと!おいおいミサイルでもダメなのか!すまないマチェットさん!翼をやられた!脱出する!」
脱出装置を作動させパラベラムは機体から射出される。
「分かった、地上部隊に合流しろ。にしても戦闘機の武装が効かないってどんな装甲してやがんだ。あの技術欲しい~」
マチェットは相手をみながらそう言う。
「戦闘機もダメか。だったらぶっ叩いてみるか」
「そうですね」
キビとコウノは銃を他の者に預け前に出る。
「良いね、ぶん殴るのは得意だよ」
「俺も」
Ms.ストレングスとヤスシが二人の隣に並ぶ。
「くそぉ、なんかそこら辺に代わりになる足とかねぇか。俺も」
「ダメだな、ここら辺のアンドロイドとアンタのボディは合わないよ」
囚人たちに預けられたシドーも加勢しようとするが止められる。
「わたしもー!」
「お、チザキも手伝ってくれるか」
Ms.ストレングスの隣にチザキが現れる。
「よし、第一陣は私がいこうかね」
「わたしも!」
Ms.ストレングスとチザキはそう言うとアルファとシータに飛び掛かり、攻撃を放った。
Ms.ストレングスはアルファの機体を左拳で殴りつけ、チザキはシータに血で作ったハンマーを叩き込んだ。
「そらぁッ!」
強烈な音と共に吹き飛ぶアルファとシータの機体。
しかし二人の機体は平然と起き上がる。
「本当に頑丈だね」
「ワタシの血もきかない、回復する」
「回復?」
Ms.ストレングスの質問に頷くチザキ。
彼女はシータの機体から出ている青い液体を指さす。
「わたしの血、殻食って壊す、でもあいつらに効かない、青い血が邪魔する」
「ああ、確かアンタの能力は血液に含まれてる微生物が元になってるんだったね。その微生物がいつもなら相手の装甲を侵食してくれるけど、今回はそうはいかないのか。やっかいだね」
「強烈な衝撃を一気に叩き込むしかないな」
「だな」
キビとヤスシがアルファに接近して一撃を放つ。
アルファの機体は大きく損傷した。
「さ、流石」
コウノがそう言うと、キビとヤスシは首を横に振る。
「頑丈な上に自己修復……だけじゃないみたいだな」
相手をみるとシータの機体から光が放たれ、アルファの損傷を急速に修復していた。
「片方が一定以上のダメージを負ったら片方が再生を手助けするのか」
「両方を一度に倒すしかないのか」
キビとヤスシがそう言うと、隣にコウノが並んで構える。
「こ、今度は手伝います!」
声は少し震えていたが、彼女も覚悟を固めたようだ。
「チザキ、その血で私達の手をコーティングしてくれるかい?」
「わかった」
Ms.ストレングスからそう言われたチザキは皆の両手に血のアーマーを装備させる。
「マチェット!ショットシェル!手伝いな!」
Ms.ストレングスが無線で空にいる二人に呼びかける。
「しょうがねぇ、手伝うか」
「やりますか」
マチェットとショットシェルは空を周回し、再び浜辺に戻って来る。
「特大の一発ぶちかます!」
「うおおお!」
二人を乗せた機体がアルファとシータを目掛け加速して進む。
「行くぞコウノ!」
「はい!」
キビとコウノがアルファに向かって走り出す。
「行くか」
「だな」
ヤスシとMs.ストレングスはシータに接近する。
アルファとシータは接近して来た4人の方に体を向けた。
「今だ!」
「脱出!」
最高速度に達した機体から脱出するマチェットとショットシェル。
戦闘機がアルファとシータの機体にそれぞれ衝突する。
「「「「はァッ!」」」」
4人の攻撃が正面からアルファとシータに叩き込まれた。
前方と後方から甚大な被害を与えられたアルファとシータの機体、修復はかなわず倒れた。
「よし!破壊成功だね、さっさと中を取り出すよ!」
Ms.ストレングスが近づき、装甲を引き剥がす。酷く損傷した機体から装甲を剥がす事自体は難なくできるようだ。
「アルファ!シータ!」
コウノは機体に駆け寄って二人を機体の中から取り出す。
「上手くいったみたいだな、はぁ~あ、折角空で楽しんでたのに。地上に合流か」
「しょうがないですよ。戦闘機の弾薬も無くなっていましたから」
戦闘機から脱出したマチェットとショットシェルが皆の元にやって来た。
アルファとシータを脱出用の船に乗せ、シドーは横たわる二人の隣に座らせられた。
「この二人を見といてくれ」
「ああ、あんたがいい感じの足を見つけてくれるまでそうしとくか」
ヤスシに頼まれ、頷くシドー。
「ん?振動?」
ヤスシは外に出る。
すると施設の方から大量のアンドロイド兵が押し寄せてきていた。中には動物タイプのものもいる。
「動物のやつか!なりふり構わず足止めに来たね!」
Ms.ストレングスがパラベラムから軽機関銃を受け取る。
キビとコウノもマチェット達から銃を受け取る。
「弾薬も渡しておく」
「いくら取られるんだ?」
キビが散弾銃の状態を確認しながらそう言う。
「初回限定サービスだから代金はいらねぇよ」
「意外と気前が良いんだな」
「だろ?友達にも宣伝しといてくれ」
マチェットは弾薬と爆弾をキビに渡す。
「あんたもだ。ほら、警察なら説明書はいらないよな」
「はい!」
自動小銃と拳銃を受け取るコウノ。
ヤスシが皆の前に立つ。
「あの子達は必ず帰ってくる!俺たちは帰り道を守りきるんだ!いいな!」
「イエッサー!」
囚人と看守たちは銃を構え彼の言葉に応える。
「了解、やってやるぜ。マチェットさんは地上でも強いとこ見せてやるぜ」
「もうひと仕事ですね」
「どこまでもお供しますよ!マチェットさん!」
マチェット達も自身の装備を構えた。
「迎え撃てッ!」
「お前たちここが命の張り時だよ!」
ヤスシとMs.ストレングスを先頭に浜辺にいる者達は迎撃態勢にはいる。
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