異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~

黒蓬

文字の大きさ
63 / 74

第63話 海への誘い

しおりを挟む
 朝日が牧場を優しく照らし、鳥たちのさえずりが心地よく響く。悠真は家畜たちの様子を見ながら、いつものように朝の見回りをしていた。

「悠真さーん!おはようございまーす!」

 そこへミリアムが挨拶をしながら駆け寄ってきた。彼女はいつも以上に弾んだ声で、駆け足で牧場へと向かってくる。後ろにはリーフィアとリオンの姿もあった。

「おはよう、ミリアム。今日は朝から随分と元気だな」

「はいっ!悠真さん、たまにはみんなで遊びに行きませんか?」

「遊びに?」

 悠真が首を傾げると、ミリアムは楽しそうに頷いた。

「そうです!この牧場はいつでも快適ですけど、たまには違う場所でリフレッシュするのもいいと思いまして。そこで、近くの海岸にみんなで行くのはどうかなってお誘いに来たんです!」

「海か……」

 悠真はしばらく考えた。確かに、この牧場でのんびり過ごすのは快適だったので気にしたことはなかったが、たまには環境を変えるのも悪くない。ミリアムの目は期待に満ちていて、リオンもリーフィアもどこか楽しみにしているようだった。

「……まあ、たまにはいいか」

 悠真がそう答えると、ミリアムはぱっと笑顔を輝かせた。

「やったー!じゃあ、みんなで準備しましょう!」

 海に行くと決まれば、準備が必要だ。悠真たちは早速、海へ行くための準備を始めた。

――――――

 準備のため、悠真は家の倉庫を開け、持っていくものを確認した。

「食材は……果物やパン、それから干し肉とチーズも持って行くか」

「お菓子も持って行きましょう!」

 ミリアムが嬉しそうに追加する。

「じゃあ、リーフィアとリオンは水筒にハーブティーを入れてくれ。俺はレジャーシートを持っていく」

「了解です!」

 ウィンドが悠真の側に寄り添いながら、興味深そうに荷物を覗き込んでいた。

「プゥプゥ!」

 ステラとルミも準備している様子を見て、楽しそうに跳ねている。

「ステラたちも楽しみみたいだな」

「みんな楽しみにしてくれているみたいで良かったです。お誘いに来たかいがありました!」

 そう言って、ミリアムが微笑んだ。

「そうだな。よし、準備は万端だな」

 みんなで協力して準備を進めると、あっという間に支度が整った。

「楽しみですね」

 リーフィアが微笑み、ミリアムも元気に頷く。

「うん!みんなでいっぱい遊びましょう!」

 悠真はそんな彼女たちの様子を見ながら、小さく笑った。

「さて、それじゃあ出発するか」

――――――

 青く澄み渡る空の下、悠真たちが浜辺に到着すると、さっそく各々が海の方に向かていった。

レインは空中で優雅に舞い、光の粒子を散らしながら海面を滑るように泳いでいる。まるで海そのものを楽しんでいるかのような躍動感に満ちた動きだった。

アースは白い鱗を輝かせ、静かに砂浜を這っていく。深紅の瞳は、周囲の風景を鋭く観察している。時折、波打ち際の小石や貝殻に興味を示し、体を寄せては観察する様子は、まるで未知の世界を探検する学者のようだった。

アウラは、波打ち際に立ち、静かに足の指を砂に埋めた。黄緑色の髪が潮風にゆらゆらと揺れる。植物の少女らしからぬ好奇心で、海の水を見つめている。

「アウラちゃん、海は大丈夫そう?」

ミリアムが優しく声をかけると、アウラは小さく微笑んだ。身振り手振りで、水や潮の匂いを楽しんでいることを伝えている。

クロロは興奮気味に小さな炎を吐き、砂浜を駆け回り始めた。二足歩行の恐竜が、まるで子供のように無邪気に遊ぶ姿に、悠真は思わず笑みをこぼした。

「皆さっそく楽しんでるみたいだな」

 まるで子供のように無邪気に遊ぶ姿に、悠真は思わず笑みをこぼした。

「風が心地いいですね」

 リーフィアも目を細め、砂浜に残る波の跡を観察していた。

「悠真さん、せっかくだから泳ぎませんか?」

 リオンが元気に声をかける。

「俺は……浜辺でのんびりしてるよ」

「えぇ~、もったいないですよ!」

 ミリアムが少し拗ねたように頬を膨らませる。そんな彼女の様子に苦笑しながらも、悠真は砂浜にレジャーシートを敷き、荷物を広げた。

「遊ぶなら、先に少し休憩してからにしよう。お茶でも飲んで、一息ついてからな」

 みんながそれぞれ思い思いの場所に座り、リーフィアが淹れてきたハーブティーを配る。海を眺めながらの一服は、なんとも贅沢な時間だった。

「うわぁ、これ、美味しい!」

 ミリアムがハーブティーを口にして、目を輝かせる。

「今日は特別に、リオンが選んだハーブを使いました」

「えへへ、喜んでもらえてよかったです」

 リオンが照れ臭そうに笑う。

「ねえ、せっかくだし、貝殻を集めませんか?可愛いのがたくさん落ちてるかも!」

「それはいいな」

 悠真は砂浜を眺めながら、さっそく小さな白い貝殻を見つけた。

「綺麗な形だな」

「見せてください!」

 ミリアムが覗き込み、目を輝かせた。

「わぁ、本当に綺麗!こういうのを集めたら、何かアクセサリーとか作れそうですね!」

「リーフィアなら上手く作れそうだな」

「そうですね。少し集めておきましょうか」

 しばらく貝殻を集めていると、レインが水面から勢いよく飛び跳ねた。

「キュイー!」

「レイン、楽しそうだな!」

「水が透き通っていて、泳ぎやすそうですね」

「悠真さん、本当に泳がないんですか?」

 ミリアムが、海の方からそんな風に再び悠真のことを誘ってきた。

「仕方ないな、少しだけな」

 そう言って、悠真は服を軽く整え、波打ち際へ足を踏み入れた。思ったよりも水は冷たく、心地よい感触が広がる。

「おぉ、これは……意外といいかも」

「でしょう!?さあ、一緒に遊びましょう!」

 こうして、悠真たちは思い思いに海を楽しんだ。

――――――

 夕日が海に沈みかける頃、みんなは砂浜に集まり、最後のひとときを過ごしていた。

「楽しかったですね!」

 ミリアムが満足そうに笑う。

「ああ。たまにはこういうのも悪くないな」

 悠真がそう呟くと、リーフィアやリオンも微笑みながら頷いた。

「また来ましょうね!」

「そうだな」

 楽しい一日を締めくくるように、みんなの笑顔が海風に揺れていた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

#密売じゃありません!ミツバイギフトで最高に美味しい果物作ったら、領主令息が夫になった件について

国府知里
ファンタジー
「がんばっても報われなかったあなたに」“スローライフ成り上がりファンタジー”  人生に疲れ果てた北村めぐみは、目覚めると異世界の農村で少女グレイスとして転生していた。この世界では6歳で神から“ギフト”を授かるという。グレイスが得た謎の力「ミツバイ」は、果物を蜜のように甘くするという奇跡の力だった!村を、領地を、やがて王国までも変えていく果樹栽培の物語がいま始まる――。美味しさが未来を育てる、異世界農業×スローライフ・ファンタジー!

元王城お抱えスキル研究家の、モフモフ子育てスローライフ 〜スキル:沼?!『前代未聞なスキル持ち』の成長、見守り生活〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「エレンはね、スレイがたくさん褒めてくれるから、ここに居ていいんだって思えたの」 ***  魔法はないが、神から授かる特殊な力――スキルが存在する世界。  王城にはスキルのあらゆる可能性を模索し、スキル関係のトラブルを解消するための専門家・スキル研究家という職が存在していた。  しかしちょうど一年前、即位したばかりの国王の「そのようなもの、金がかかるばかりで意味がない」という鶴の一声で、職が消滅。  解雇されたスキル研究家のスレイ(26歳)は、ひょんな事から縁も所縁もない田舎の伯爵領に移住し、忙しく働いた王城時代の給金貯蓄でそれなりに広い庭付きの家を買い、元来からの拾い癖と大雑把な性格が相まって、拾ってきた動物たちを放し飼いにしての共同生活を送っている。  ひっそりと「スキルに関する相談を受け付けるための『スキル相談室』」を開業する傍ら、空いた時間は冒険者ギルドで、住民からの戦闘伴わない依頼――通称:非戦闘系依頼(畑仕事や牧場仕事の手伝い)を受け、スローな日々を謳歌していたスレイ。  しかしそんな穏やかな生活も、ある日拾い癖が高じてついに羊を連れた人間(小さな女の子)を拾った事で、少しずつ様変わりし始める。  スキル階級・底辺<ボトム>のありふれたスキル『召喚士』持ちの女の子・エレンと、彼女に召喚されたただの羊(か弱い非戦闘毛動物)メェ君。  何の変哲もない子たちだけど、実は「動物と会話ができる」という、スキル研究家のスレイでも初めて見る特殊な副効果持ちの少女と、『特性:沼』という、ヘンテコなステータス持ちの羊で……? 「今日は野菜の苗植えをします」 「おー!」 「めぇー!!」  友達を一千万人作る事が目標のエレンと、エレンの事が好きすぎるあまり、人前でもお構いなくつい『沼』の力を使ってしまうメェ君。  そんな一人と一匹を、スキル研究家としても保護者としても、スローライフを通して褒めて伸ばして導いていく。  子育て成長、お仕事ストーリー。  ここに爆誕!

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、俺は必死についていった。 だけど、自分には何もできないと思っていた。 それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。 だけどある日、彼らは言った。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。 俺も分かっていた。 だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。 「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」 そう思っていた。そのはずだった。 ――だけど。 ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、 “様々な縁”が重なり、騒がしくなった。 「最強を目指すべくして生まれた存在」 「君と一緒に行かせてくれ。」 「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」 穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、 世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい―― ◇小説家になろう・カクヨムでも同時連載中です◇

料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される

向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。 アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。 普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。 白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。 そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。 剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。 だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。 おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。 俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

グラサン幼女の異世界とらべるっ! ~最強の【魔眼】を宿す転生幼女は、もふかわ神獣を連れてスローライフな旅路を楽しみます~

空戯ケイ
ファンタジー
社畜OL、水城愛璃(みずきあいり)は、女神のうっかりミスにより25歳の若さで死んだ。 お詫びとして女神が提案したのは、オッドアイの幼女ボディへの転生。 そうして幼女の姿で異世界転生を果たしたアイリだったが、 特異体質により『感情が高ぶると暴発する魔眼』が宿っていることが発覚! しかも両目!? それを封じるため、女神から与えられたユニークスキルは、『神のサングラス』。 このサングラスをかければ、魔眼の暴発を抑えられるらしいけど……常にグラサンかけてる幼女とか怪しすぎじゃない!? だけど、とある"激レア魔道具"があれば 、なんと魔眼を完治できるらしい。 ならばその魔道具を手に入れるため、異世界を巡るしかないっ! さらに旅の道すがら、もふもふフェンリルや忍者少女、特異スライムを仲間にし、珍道中はさらに加速していって――!! まったりのんびりをモットーに、たまに魔物や刺客に襲われちゃう。 【グラサン幼女】の破天荒な異世界旅が始まる! ※更新は不定期です。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

処理中です...