転生魔竜~異世界ライフを謳歌してたら世界最強最悪の覇者となってた?~

アズドラ

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第180話

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 二つの巨体が放つ最後の一撃はお互いに生死を決めるに十分なものだった。
「タカトさん……」
「ヴリトラ殿……」
 ごとりと音を立て、何かが地面へと落下する。
「……」
 ドクンドクンと脈打つ心臓の鼓動が聞こえる。
「テメェ……」
 右の角が斬り落とされ地面へと落下した。
「俺の勝ちだ……」
 俺の蒼く煌めく炎を纏う右手がシャザールの胸を貫き心臓を鷲掴みにしていた。
「受け止めるとか……そんなに頑丈とか聞いてねぇぞ……」
「……受け止めれてねぇだろ、折りやがって」
 直撃を狙うため最低限の動きで回避する必要があった、しかしそのままいけば掴む前に右腕は剣で斬り落とされることがはっきりとわかる綺麗な剣筋と速度だった……だから俺は自分の体、角の耐久力にかけることにした。受け止められればいい、せめて軌道が逸れればそれでよかった、結果は見事に角は斬り落とされてしまったがおかげで剣の軌道が逸れて肩を掠め爪が心臓に届いた。
「くそっ、たれが……」
 そして何よりシャザール自身の力がそうとう低下していたお陰だろう、ここまで弱っていなかったら角だけじゃなく体ごと斬り裂かれて俺は死んでいた……本当に魔王やホノカのお陰だ。
「終わりだ闘神シャザール、その敗北を魂に刻み消え失せろ!」
 腕に力を込め、心臓を握りつぶし蒼き劫火で完全に焼き尽くす。
「ぐおあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 今までに何ほど苦しそうな雄叫びが響きわたる。
「俺、さまは……まだっ」
 神核を破壊されてまだ足掻くとか、こいつ物凄く諦めが悪い……もしかして神核を再生できるのか? いや、流石にそれは無いだろう。しかし……
「テメェ何しやっまさか!? やめろぉぉぉぉ……」
 用心に越したことはない、俺はシャザールの首に喰らい付き。残る力で噛み切り、無理矢理引き千切った。
「諦めが悪い、しつこい男は嫌われるって言うだろ?」
 ぼとりと地面に落ちた神の頭を容赦なく踏み潰す。右腕を引き抜くとその体はさっきまでの暴れっぷりが嘘のように力なく崩れ落ちたのだった。
「闘神シャザールは死んだ! 今こそ好機!! 行くぞ皆の者」
 一瞬の静寂の後、ガルガスの号令が響き魔王軍が一気に進撃する。反対に帝国軍は自国の象徴を失い戦意が完全に砕けあっという間に戦線は混乱した。
「ヴリトラ、改めて感謝を……」
 魔王が部下に肩を借りながらドクトル、ホノカと共に歩み寄ってきた。
「アイツは俺にとっても無視できない奴だったからな……利害の一致だ」
 魔王はふふっと笑ってみせた、まぁもう勝利は確定みたいなものだろうし気が緩んでもしょうがないだろう。
「ホノカ、だいぶ無理しただろうけど大丈夫か?」
「あはは、体中物凄く痛いけどタカトさん程じゃないですよ」
「だよな……」
 ホノカは苦笑いして見せる、実際ここで一番ボロボロなのは間違いなく俺だろう……この世界に来てから四年くらいか、ドラゴンの姿でここまで痛めつけられたのは初めてだ……やはり強力ではあるが最強ではないという事か。
「そういえば、戦いは終わりましたけど人の姿に戻らないんですか?」
「そうだな、翼もやられて飛べないし一旦もど……」
 ホノカに言われて姿を変えようとした時、何かが凄い勢いですっ飛んで来るのが見える。しかも何か叫んでる……
「ごーしゅーじーんーさーまー!!!」
「うおぉ!?」
 声の方を向くとルーフェが凄い勢いですっ飛んできて鼻先にビタンと抱きついてきた。
「ご主人様こんなに傷ついて!!!」
「ルーフェ、どうしてここに? 他の皆は?」
 めっちゃすりすりしてる……
「そっちは平和で大丈夫でしたのでご主人様の戦いを見ていました! 私の入る余地が無かったのと護衛があったので参加はしませんでしたけど。それよりも今姿を変えるのはダメです!!」
「どうしてだよ?」
 見学してたのね……正直、参加して怪我されるくらいならそれでよかった。そして今俺が姿を変えようとしたのが見えて急いで飛んできたらしい。
「その怪我がどう反映されるかわからないからです!!」
「どういうこと?」
「ご主人様、先程姿を変えた際に一旦傷が癒えてましたけどその後、受けた怪我がそのまま反映されて元の姿に戻っていました。つまり、その重傷状態が反映された状態で人の姿になったら……」
「最悪死ぬわね」
 何処からともなくウンディーネが現れてサラっと物騒なことを言ってきた。
「まじ?」
「まじまじ」
 頭の上にふわっと座ったウンディーネは続ける。
「そもそも滅竜の姿は一時的に神滅剣の力を取り込んで体を強化補強してる状態なんだけど、ヴリトラちゃん竜と人の姿で能力とか特性が違うけど同一の扱いだと思うのよ」
「……つまり?」
 ウンディーネにべちっと叩かれた……理不尽!!
「つまり、滅竜の回復は特別で。そのデカい体で受けた傷が小さい人の体にどう反映されるか想像できないってこと!」
「なるほど!」
 無言でまた叩かれた……
「とりあえず現状維持しろと?」
「若干小さくなっても大丈夫だろうけどその姿が変わらない程度ね、治癒能力の高い竜の姿だからこそ生きてるって可能性もあるし」
「わかった……」
 確かに人の姿は食事量など維持コストが低く効率がいい反面ドラゴンの時のような強力な力や治癒能力は大幅に低下している、もちろん部分的に力を発揮することはできるがやはり差はある。
「ところでなんで二人はここに居るんだ?」
「あぁ、それはヴリトラちゃんの戦いを見に来たのもあるけど……」
 そういうとウンディーネとルーフェはチラっと視線を向ける。俺もそっちを見て把握した、ルシエが着ていたのだ。
「なるほどね」
 ルシエは父である魔王と抱き合って何かを話しているようだったが野暮な事はしないでおこう。ちなみにシラユキが背に乗せて運んでくれたらしく近くで座っていた。
「ご主人様はこれからどうします?」
「どうするも何も帰りたいけど、今飛べないしなぁ……」
 実際体もボロボロだし早く帰りたいけど翼が片方切断されてもう片方も翼膜が裂けている状態で使い物にならない……飛べないと結構距離あるしドクトルに転移で送ってもらうしかないだろうけど今はそれどころじゃないのは嫌でもわかる。
「ならこれをどうにかしましょうか」
 ウンディーネがシャザールの死体を指差してみせた。
「後処理は魔王にぶん投げようと思ってたんだけどダメ?」
「ダメじゃないけど、神の体よ? 最強の聖遺物になる物を放置していいの?」
「……」
「まぁ神核と一番危険な頭が完全破壊されてるのは英断だと思うけどね」
 そういえばコイツ頭蓋骨だけから復活してたもんな……さっきはあの姿を見て無意識にゾンビは頭を潰せを実行しただけだけど正解だったっぽい。
「俺はもう無理だぞ?」
「これだけボロボロならルーフェちゃんの炎でも分解できるでしょ」
「ルーフェお願いしてもいい?」
「お任せください!」
 そういうとルーフェは俺の鼻先に座りながらシャザールの遺体を燃やし始めた。
「まぁそれでも骨は無理だと思うからそれの処理は魔王軍に任せましょ。戦利品も必要でしょうし」
 確かに命を削ってまで戦ったんだから魔王にも報酬を得る権利はある。そもそも俺だけじゃ間違いなく勝てない相手だった……
「と言うよりヴリトラちゃん」
「はい?」
「止血しないといくら再生するとはいえ死ぬわよ?」
「……」
 左腕と胸がバックリいって血がずっと滴り落ちていた……アドレナリンドバドバのせいか痛みを忘れていたみたいだ。
「あの、ウンディーネさん止血お願いしても?」
「とりあえず凍らせて止血はするけど、帰ったらちゃんと処置してもらいなさいね?」
「はい……」
 傷口が赤い結晶で覆われ一安心したが流石に疲れた……
「少し疲れた、ちょっとだけ寝かせてくれ……」
 俺はその場で体を丸めて少しだけ目を閉じた、幸い信頼できるルーフェ達が来てくれたから警戒する必要もない……安心したらどっと疲れが……
「おやすみなさい、ご主人様」
「おやすみ、そしておめでとう。神殺しの大魔竜さん、これから大変になるわよ!」
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