112 / 517
ドカ盛り! 私のアメリカ編
第112話 出立、ファーストクラス伝説
しおりを挟む
当日がやって来た。
アタッシュケースにちょっとよそ行きの格好をして、私は兄とともに空港へ。
ここに来ると、メイユーと出会った時のことを思い出すなあ……。
なんて思ってたら、滑走路にでっかいジャンボジェットが降り立った。
あれが結界化された飛行機かな?
アメリカから来たっぽいからそうなんだろうなあ……。
でも、あんな大きな飛行機でどうするのか。
……と思ったら。
「あの胴体部分がまるごと結界で」
迷宮省の人が教えてくれた。
なるほどー。
「じゃあ乗れるのは……」
「ファーストクラスの座席だけになりますね」
「ひえー」
太平洋を渡ろうとしたらそれくらい大変なんだ!
そりゃあ海外旅行なんかできないよねえ……。
「まあ、これは色欲のマリリーヌ対策なので、通常はちゃんと座席は座席として使えますよ。それでも乗客のストレス度合いによってダンジョンかする可能性があるので、長期フライトが必要な航路は危険で使えないのです」
「なるほど~」
「それから、空のあちこちがダンジョン化している場合が」
「ひえー」
迷宮省の人から恐ろしい話を聞いてしまった。
この日のために作っておいたパスポートをいそいそ取り出し、空港の職員さんに見せる。
なぜかその出国審査の人は、ニコニコしていた。
「なんで笑ってたんだろう……」
「お前が鼻息も荒く得意げにパスポートを見せたからじゃないか? フリーパスなんだぞ。向こうから直接招かれてるんだ」
兄に言われてハッとする。
そ、それじゃあ私がなんか一人だけ張り切ってるみたいじゃないかー。
案内された機内には、めちゃくちゃ大きな座席が5つくらいしかなかった。
こ……これがファーストクラス……!
ちなみにこの部屋の向こうでは、武装した兵士の人がいて、私たちの警護をやってるみたい。
映画の中の世界みたいだー。
「武装? 人間が相手じゃないんだから無駄じゃないのか?」
兄の疑問に、迷宮省の人が返答する。
「人間による襲撃があることを警戒しています。現在アメリカでは、ダンジョンを崇拝するカルト集団が発生していることはご存知でしょう。ダンジョンこそ人類を導く新たな世界への入り口だという教えです」
「そんな連中がいるのか……」
呆れる兄。
私もちょっと分からないなあ。
ダンジョンの中では美味しいものも食べられないし、のんびり寝転がることだってできない。
そこに救いはないね!
まあでも、ダンジョンの向こうに別の世界が広がっているのは確かだけど。
ということで、ファーストクラスの座席はベッドみたいにフラットっぽくもなるので、ここに寝転がってゴロゴロした。
そうしてると、外からアメリカの偉い人っぽいのがやって来て挨拶してきた。
「あひー」
めちゃくちゃゴロゴロしてた!
私は恐縮する。
応対は兄がやってくれたのだけど、アメリカの偉い人は妙に私の話を聞きたがった。
えっ?
私の普段の話を聞きたいんです!?
全然ダンジョンとかと関係ないけどいいのかな、と思いながら、偉い人にお話をした。
き、緊張した~。
偉い人はニコニコしながら去っていった。
ファーストクラスのさらに先に、なんかVIPルームみたいなのがあるっぽい。
これ以上豪華な席……?
どういうこと……?
しばらくすると飛行機は離陸を開始した。
私はゴロゴロしながら、サービスで出てくるジュースを飲んだり、機内食のハンバーガーなどをもらってむしゃむしゃ食べた。
そして……暇を持て余し始める。
暇になったらどうする?
よし、配信しよう。
「お前ら、こんきらー。今、私は飛行機のファーストクラスに乗ってアメリカに向かっています」
※『こんきらー!』『機内から配信していいのかw』もんじゃ『Aフォンは通信のやり方が違うから問題ない。はづきっちとのやりとりにタイムラグもないだろう?』『そう言えば』
「お前らー、私はこれから十何時間とかフライトしてすごく暇なので、話し相手になってくれー」
※『暇つぶしのための雑談枠!!』『良く見たらごろ寝してるじゃんw』『それがはづきっちの私服かあ』
リスナーたちと他愛もない話をする。
すでに飛行機は海の上。
アメリカ目指してどんどん飛んで行っている。
時折、後ろの席から兵士っぽい人がやって来て周辺を警戒していた。
※『軍人おる』『銃を持ってるぞ』『あれがモンスターに通用するん?』もんじゃ『かの国では銃信仰が強いからな。配信者も銃を使う場合が多い。それ故に、彼の国の銃はある程度モンスターに通用するようだ。ダンジョンハザードを軍隊で食い止めたという記録もある』
「ほえー、そんな風になってるんだねえ。だったらゴボウを振り回す女子高生なんかいちいち呼ばなくていいのでは……?」
※もんじゃ『色欲のマリリーヌや、そこまでではなくても上位のモンスターに現代兵器は通用しないのだ』いももち『銃はなんかワビサビがないもんねえ。やっぱりはづきちゃんみたいに体一つで立ち向かうのが好き!』
「複雑な力関係があるみたいだ……!! もんじゃは便利だなあ」
※『褒められとる』『俺も褒めて褒めて』いももち『私ははづきちゃん褒めちゃう!かわいい!最強!』
「うへへ、褒められちゃいました。みんなも配信見ててえらい~……」
とかやってたら、私の意識は遠ざかっていった。
※『寝た!』『寝てしまった』『寝顔かわいい』『配信続いてるぞ』『これからこの配信ははづきっちの寝顔と寝息ASMR配信になります』『ヤッター!』たこやき『なんかこう……何か起こりそうな予感がするんだよなあ……』
「むにゃむにゃ……フラグやめろ……」
アタッシュケースにちょっとよそ行きの格好をして、私は兄とともに空港へ。
ここに来ると、メイユーと出会った時のことを思い出すなあ……。
なんて思ってたら、滑走路にでっかいジャンボジェットが降り立った。
あれが結界化された飛行機かな?
アメリカから来たっぽいからそうなんだろうなあ……。
でも、あんな大きな飛行機でどうするのか。
……と思ったら。
「あの胴体部分がまるごと結界で」
迷宮省の人が教えてくれた。
なるほどー。
「じゃあ乗れるのは……」
「ファーストクラスの座席だけになりますね」
「ひえー」
太平洋を渡ろうとしたらそれくらい大変なんだ!
そりゃあ海外旅行なんかできないよねえ……。
「まあ、これは色欲のマリリーヌ対策なので、通常はちゃんと座席は座席として使えますよ。それでも乗客のストレス度合いによってダンジョンかする可能性があるので、長期フライトが必要な航路は危険で使えないのです」
「なるほど~」
「それから、空のあちこちがダンジョン化している場合が」
「ひえー」
迷宮省の人から恐ろしい話を聞いてしまった。
この日のために作っておいたパスポートをいそいそ取り出し、空港の職員さんに見せる。
なぜかその出国審査の人は、ニコニコしていた。
「なんで笑ってたんだろう……」
「お前が鼻息も荒く得意げにパスポートを見せたからじゃないか? フリーパスなんだぞ。向こうから直接招かれてるんだ」
兄に言われてハッとする。
そ、それじゃあ私がなんか一人だけ張り切ってるみたいじゃないかー。
案内された機内には、めちゃくちゃ大きな座席が5つくらいしかなかった。
こ……これがファーストクラス……!
ちなみにこの部屋の向こうでは、武装した兵士の人がいて、私たちの警護をやってるみたい。
映画の中の世界みたいだー。
「武装? 人間が相手じゃないんだから無駄じゃないのか?」
兄の疑問に、迷宮省の人が返答する。
「人間による襲撃があることを警戒しています。現在アメリカでは、ダンジョンを崇拝するカルト集団が発生していることはご存知でしょう。ダンジョンこそ人類を導く新たな世界への入り口だという教えです」
「そんな連中がいるのか……」
呆れる兄。
私もちょっと分からないなあ。
ダンジョンの中では美味しいものも食べられないし、のんびり寝転がることだってできない。
そこに救いはないね!
まあでも、ダンジョンの向こうに別の世界が広がっているのは確かだけど。
ということで、ファーストクラスの座席はベッドみたいにフラットっぽくもなるので、ここに寝転がってゴロゴロした。
そうしてると、外からアメリカの偉い人っぽいのがやって来て挨拶してきた。
「あひー」
めちゃくちゃゴロゴロしてた!
私は恐縮する。
応対は兄がやってくれたのだけど、アメリカの偉い人は妙に私の話を聞きたがった。
えっ?
私の普段の話を聞きたいんです!?
全然ダンジョンとかと関係ないけどいいのかな、と思いながら、偉い人にお話をした。
き、緊張した~。
偉い人はニコニコしながら去っていった。
ファーストクラスのさらに先に、なんかVIPルームみたいなのがあるっぽい。
これ以上豪華な席……?
どういうこと……?
しばらくすると飛行機は離陸を開始した。
私はゴロゴロしながら、サービスで出てくるジュースを飲んだり、機内食のハンバーガーなどをもらってむしゃむしゃ食べた。
そして……暇を持て余し始める。
暇になったらどうする?
よし、配信しよう。
「お前ら、こんきらー。今、私は飛行機のファーストクラスに乗ってアメリカに向かっています」
※『こんきらー!』『機内から配信していいのかw』もんじゃ『Aフォンは通信のやり方が違うから問題ない。はづきっちとのやりとりにタイムラグもないだろう?』『そう言えば』
「お前らー、私はこれから十何時間とかフライトしてすごく暇なので、話し相手になってくれー」
※『暇つぶしのための雑談枠!!』『良く見たらごろ寝してるじゃんw』『それがはづきっちの私服かあ』
リスナーたちと他愛もない話をする。
すでに飛行機は海の上。
アメリカ目指してどんどん飛んで行っている。
時折、後ろの席から兵士っぽい人がやって来て周辺を警戒していた。
※『軍人おる』『銃を持ってるぞ』『あれがモンスターに通用するん?』もんじゃ『かの国では銃信仰が強いからな。配信者も銃を使う場合が多い。それ故に、彼の国の銃はある程度モンスターに通用するようだ。ダンジョンハザードを軍隊で食い止めたという記録もある』
「ほえー、そんな風になってるんだねえ。だったらゴボウを振り回す女子高生なんかいちいち呼ばなくていいのでは……?」
※もんじゃ『色欲のマリリーヌや、そこまでではなくても上位のモンスターに現代兵器は通用しないのだ』いももち『銃はなんかワビサビがないもんねえ。やっぱりはづきちゃんみたいに体一つで立ち向かうのが好き!』
「複雑な力関係があるみたいだ……!! もんじゃは便利だなあ」
※『褒められとる』『俺も褒めて褒めて』いももち『私ははづきちゃん褒めちゃう!かわいい!最強!』
「うへへ、褒められちゃいました。みんなも配信見ててえらい~……」
とかやってたら、私の意識は遠ざかっていった。
※『寝た!』『寝てしまった』『寝顔かわいい』『配信続いてるぞ』『これからこの配信ははづきっちの寝顔と寝息ASMR配信になります』『ヤッター!』たこやき『なんかこう……何か起こりそうな予感がするんだよなあ……』
「むにゃむにゃ……フラグやめろ……」
20
あなたにおすすめの小説
マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜
美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊
ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め…
※カクヨム様にも投稿しています
※イラストはAIイラストを使用しています
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる