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年末! 私の色々挑戦編
第157話 チャレンジ、VR伝説
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事務所がクリスマス一色になっていた。
「あっ、はづき先輩! どうですかーこれ」
「と、とってもフリフリで赤と緑が乱舞してます……」
「リーダー! 私ともみじと二人で作ったよー!」
なるほど……。
シカコ氏とビクトリア、受付さんにマネさんまで加わって、事務所をクリスマス色に飾り付けていたらしい。
あちこちからキラキラ光るモールが垂れ下がり、クリスマスっぽい飾りがたくさん壁にくっついている。
兄はと言うと苦虫を噛み潰したような顔でこれを眺めて、ホットコーヒーをすすっている。
「社長としてはこれでよろしいの?」
「4対1の多数決で負けたんだ。男手であるたこやきはこっちに来ないしな……」
「そっかー。私は結構この賑やかなのは好きかも」
「ふむ、お前がそう言うならこのままでいいか」
兄は諦めたようだ。
黒とかダークブルーみたいな色がとにかく好きな人なので、赤と緑のクリスマスカラーとは合わないんだよね。
でも分かってくれて良かった。
受付さんがぼそっと、「やはりシスコン……。あたしたちが説得しても頑として譲らなかったのに……」とか呟いている。
「でもそこも好き……」
「頑張るのよ。社長、子どもの頃からモテたけど、彼を落とせた女の子は一人もいないんだから。何百人が泣いたことか……」
「が、頑張る!」
マネさんに応援されている!
マネさんは母の友人だから、小さい頃の兄を知ってるもんなあ。
「ところではづき先輩!」
パタパタとシカコ氏が駆け寄ってきた。
事務所は広くないから走らなくていいのに。
「なあに」
「チョーコに言ってやったそうじゃないですかー! さすが先輩だなー」
「えっ、なあに!?」
「またまたー。知りたいならこっちの世界に来なよって! チョーコ、すごく悩んでましたけど嬉しそうでしたよー!」
なんの話だ……?
たくさん食べるようになろうという話だろうか?
でも、それでシカコ氏が喜ぶのはおかしい。
あくまで私とチョーコ氏の間で完結する問題だからだ。
何か……私は凄い勘違いをした気がする……!!
「リーダー、チュロス食べる?」
「食べるー」
私の脳内で渦巻き始めていた疑念が、スパーっと飛び散った。
まさに雲散霧消だ。
チュロスうまーい。
兄が入れてくれたミルクたっぷりのホットコーヒーがとても合う……。
私は砂糖がたっぷりでも少なめでもイケる。
苦いの平気なのだ。
「知っているか? 最近、配信にVRを取り入れる者が出てきている」
「VR?」
兄がなんかタブレットの画面を見せてくる。
それは、バーチャルな世界を配信している動画だ。
あ、なんかバーチャル世界もダンジョンになってるじゃん。
「既にインターネット上にダンジョンが出現し始めているという話はお前も知っていると思うが……」
「は、初耳……」
「そうか……」
兄が話す予定が狂ったっぽい。
ちょっと考えている。
「いいか? オンラインで遊ぶゲームが存在するだろう。そこに人が集まる。長時間ログインしてプレイする者たちもいる。すると感情が蓄積するわけだ」
「ふんふん」
「感情が大きく蓄積する場所にダンジョンは生まれやすい。人が死んだ事故物件がダンジョン化しやすいのと一緒だな。一般的な施設なら、感情が蓄積しても人は流動する。だがゲームの場合、サーバーに感情が蓄積するわけだ。結果としてサーバーがダンジョン化する」
「ほえー。そんなことが……。でも今まではなくなかった?」
「無かったな。恐らく、新しいルールを持ち込んできた奴がいる。今までの状況から考えるに、嫉妬勢だろう。奴らはインターネットを通してこちらを侵略するため、ダンジョン発生の法則を新しく作り上げた可能性がある」
なるほどー……。
なんかとんでもないことになっている。
「まあ私には無縁なので……」
「リーダー、チュロスおかわり!」
「おほー!」
「またはづき先輩を甘やかしてるー」
三人でわちゃわちゃしていると、兄がデスクの下からスッと変なものを取り出してきた。
その、真っ白いハーフヘルメットみたいなものはなんですかね?
「VRゲーム機、インキュベーター666だ。こういうこともあろうかと買っておいた。事務所のwifiにも接続してあるぞ」
「そ……それは私にVRダンジョンにチャレンジしろと……」
「大罪勢がいるなら、お前がそこに行く意味ができるだろう?」
「私、ゲーム全般下手くそなんですけど!」
「はづき先輩にも陽キャと歌とダンス以外に苦手なものが……!」
ゲームのシステムに合わせるのがとにかく苦手なのだ……。
「大丈夫だ。こいつは面白くてな。Aフォンとマッチングさせることでお前のアバターをそのまま出現させられる。そしてVRチャットのロビーとフリースペースまでならソフトなしで行けるんだ。後はダンジョンが発生しているソフトを購入し、そこのダンジョンへ向かえばいい」
「あっ、プレイ配信はしなくていい?」
「もちろんだ。やりたいなら別だが」
「やりたくないですぅ」
ゲームは落ち物パズルとか上海以外は苦手……!
嫌いじゃないけど人様に見せられる腕じゃない……!
ということで、VRチャレンジとなってしまった。
ビルの同じフロアに、兄が配信用のスタジオを用意してくれていた。
ここでVR初挑戦を配信開始なのだ。
初めての姿を配信しないなんて、撮れ高的にありえないからね……!
「あっ、はづき先輩! どうですかーこれ」
「と、とってもフリフリで赤と緑が乱舞してます……」
「リーダー! 私ともみじと二人で作ったよー!」
なるほど……。
シカコ氏とビクトリア、受付さんにマネさんまで加わって、事務所をクリスマス色に飾り付けていたらしい。
あちこちからキラキラ光るモールが垂れ下がり、クリスマスっぽい飾りがたくさん壁にくっついている。
兄はと言うと苦虫を噛み潰したような顔でこれを眺めて、ホットコーヒーをすすっている。
「社長としてはこれでよろしいの?」
「4対1の多数決で負けたんだ。男手であるたこやきはこっちに来ないしな……」
「そっかー。私は結構この賑やかなのは好きかも」
「ふむ、お前がそう言うならこのままでいいか」
兄は諦めたようだ。
黒とかダークブルーみたいな色がとにかく好きな人なので、赤と緑のクリスマスカラーとは合わないんだよね。
でも分かってくれて良かった。
受付さんがぼそっと、「やはりシスコン……。あたしたちが説得しても頑として譲らなかったのに……」とか呟いている。
「でもそこも好き……」
「頑張るのよ。社長、子どもの頃からモテたけど、彼を落とせた女の子は一人もいないんだから。何百人が泣いたことか……」
「が、頑張る!」
マネさんに応援されている!
マネさんは母の友人だから、小さい頃の兄を知ってるもんなあ。
「ところではづき先輩!」
パタパタとシカコ氏が駆け寄ってきた。
事務所は広くないから走らなくていいのに。
「なあに」
「チョーコに言ってやったそうじゃないですかー! さすが先輩だなー」
「えっ、なあに!?」
「またまたー。知りたいならこっちの世界に来なよって! チョーコ、すごく悩んでましたけど嬉しそうでしたよー!」
なんの話だ……?
たくさん食べるようになろうという話だろうか?
でも、それでシカコ氏が喜ぶのはおかしい。
あくまで私とチョーコ氏の間で完結する問題だからだ。
何か……私は凄い勘違いをした気がする……!!
「リーダー、チュロス食べる?」
「食べるー」
私の脳内で渦巻き始めていた疑念が、スパーっと飛び散った。
まさに雲散霧消だ。
チュロスうまーい。
兄が入れてくれたミルクたっぷりのホットコーヒーがとても合う……。
私は砂糖がたっぷりでも少なめでもイケる。
苦いの平気なのだ。
「知っているか? 最近、配信にVRを取り入れる者が出てきている」
「VR?」
兄がなんかタブレットの画面を見せてくる。
それは、バーチャルな世界を配信している動画だ。
あ、なんかバーチャル世界もダンジョンになってるじゃん。
「既にインターネット上にダンジョンが出現し始めているという話はお前も知っていると思うが……」
「は、初耳……」
「そうか……」
兄が話す予定が狂ったっぽい。
ちょっと考えている。
「いいか? オンラインで遊ぶゲームが存在するだろう。そこに人が集まる。長時間ログインしてプレイする者たちもいる。すると感情が蓄積するわけだ」
「ふんふん」
「感情が大きく蓄積する場所にダンジョンは生まれやすい。人が死んだ事故物件がダンジョン化しやすいのと一緒だな。一般的な施設なら、感情が蓄積しても人は流動する。だがゲームの場合、サーバーに感情が蓄積するわけだ。結果としてサーバーがダンジョン化する」
「ほえー。そんなことが……。でも今まではなくなかった?」
「無かったな。恐らく、新しいルールを持ち込んできた奴がいる。今までの状況から考えるに、嫉妬勢だろう。奴らはインターネットを通してこちらを侵略するため、ダンジョン発生の法則を新しく作り上げた可能性がある」
なるほどー……。
なんかとんでもないことになっている。
「まあ私には無縁なので……」
「リーダー、チュロスおかわり!」
「おほー!」
「またはづき先輩を甘やかしてるー」
三人でわちゃわちゃしていると、兄がデスクの下からスッと変なものを取り出してきた。
その、真っ白いハーフヘルメットみたいなものはなんですかね?
「VRゲーム機、インキュベーター666だ。こういうこともあろうかと買っておいた。事務所のwifiにも接続してあるぞ」
「そ……それは私にVRダンジョンにチャレンジしろと……」
「大罪勢がいるなら、お前がそこに行く意味ができるだろう?」
「私、ゲーム全般下手くそなんですけど!」
「はづき先輩にも陽キャと歌とダンス以外に苦手なものが……!」
ゲームのシステムに合わせるのがとにかく苦手なのだ……。
「大丈夫だ。こいつは面白くてな。Aフォンとマッチングさせることでお前のアバターをそのまま出現させられる。そしてVRチャットのロビーとフリースペースまでならソフトなしで行けるんだ。後はダンジョンが発生しているソフトを購入し、そこのダンジョンへ向かえばいい」
「あっ、プレイ配信はしなくていい?」
「もちろんだ。やりたいなら別だが」
「やりたくないですぅ」
ゲームは落ち物パズルとか上海以外は苦手……!
嫌いじゃないけど人様に見せられる腕じゃない……!
ということで、VRチャレンジとなってしまった。
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