ゴボウでモンスターを倒したら、トップ配信者になりました。

あけちともあき

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秋めく私の学園祭編

第292話 コラボ、噂のバ美肉ちゃん伝説

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 学園祭の準備で忙しい盛りなんだけど、私は私で忙しい!
 今日は前から約束していたコラボの日で……。

「ご、ごめんなさい! あのあの、ちょっと用事があって……」

 委員長に頭を下げて手を合わせたら、彼女がスッとスマホを確認した。
 おや……?
 メガネにアワチューブの何処かの配信者のスケジュール画面が映っているぞ……。

「なるほど、その日だったか……。全然いいよ。お仕事がんばって!!」

 むしろ手を握られて激励されてしまった!
 その後、周りから他のクラスメイトが集まってきて、委員長に「ずるいずるい」とか言っていた気がする。
 なんだなんだ。

 イノシカチョウの三人は手伝っていくということで、私は一人で帰宅した。

 家に荷物を置いて、軽く身だしなみを整えて……。
 配信用のセットをリュックに詰め込んだら出発する。

 時間通りに、イカルガのスタッフさんが迎えに来た。

「今日のコラボ相手、あのバ美肉配信者の人ですよね」

 男性スタッフの人が、運転しながら尋ねてくる。

「ですねー。東京湾決戦で仲良くなってから、どんどん人気になってるみたいでー」

「あー、僕も見ました! とっても可愛くて、中の人は本当におじさんなのか……? と疑問に……」

「男性の方が、可愛い女の子っていうのを熟知してたりするんじゃないですか?」

「そうなのかな……。そうかも……」

 スタッフさんが納得した。

 私はさっぱり分からないからな……!
 うちのコメント欄、私へのかわいいって評価がめったにないのだ。昔はあった気がするのに!
 ちなみに、もみじちゃんのとこのコメント欄はかわいいだらけなのだ。

 解せぬ。

「到着です」

「どうもです~」

「駐車場で待機してますんで、終わったら呼んで下さい!」

「はーい」

 ということでコラボ現場まで送られてきました。
 本日の仕事は、ここ、廃校舎からお送りします。

 異世界からの侵略者が住み着いちゃったらしくて、ダンジョン化してしまったんだそうだ。
 なので、ここを攻略して平和な状態に戻すのが今回の仕事。

 後々、この廃校舎は公民館みたいな使い方をしていくつもりらしい。

「あっ、こんにちはー」

 向こうで背の高い男の人が手を振っている。
 おお、大きい人だなあー。

 ひょろっと長身で、大京長官に近いくらい上背がある。
 年齢は三十歳いかないくらいかな?
 男の人の年はよく分からないなあ。

「あのあの、もしかして」

「あっはい! 黒胡椒スパイスです! もしかして、あなたがきら星はづきちゃんですか!?」

 あ、なんか背丈の割に声のトーンが高くて、口調もかわいい!
 これは間違いない。
 スパイスちゃんだ。

「はーい、きら星はづきです。こんきらー」

「こんきらー! うわー、本物だ!!」

 スパイスちゃんが感激している。

「スパイスちゃんもやっぱり本物だった!」

 あのかわいい口調と仕草は素だったんだなあー。

「じゃあ始めちゃいましょうか。バーチャライズ!」

「はい! バーチャライズ!」

 私はいつものピンクの髪にピンクジャージな、おなじみきら星はづき。
 おじさんは、センターから白黒に別れた髪型で、ツーテールに大きな白黒リボン、ロリータ風ドレスで短めスカートの裾は横にふんわりと大きく広がり、そこからすらりと白いタイツに包まれた足が伸び、黒くてリボン付きのかわいい靴が印象的な女の子に……。

「こんスパ~! 今日も皆さんの夜をスパイシーに! 黒胡椒スパイスでーす!」

「うわー本物だー! あの大きいおじさんが私よりちっちゃくなっちゃった!」

 もみじちゃんくらいの背丈になってる。
 バーチャライズ技術は凄いなあ。
 ちなみにスパイスちゃんの上の方を触ると、スカスカっとする。

 おじさんの長身がどういうことか、バーチャライズされたこのカワイイ女の子ボディに収まってしまっているのだ!

「じゃあ、配信やっていきましょう! お前ら、こんきらー!! 今日は今話題のバ美肉配信者、黒胡椒スパイスちゃんとコラボですー!」

「こんスパー! 今日ははづきちゃんのチャンネルでスパイシー! 黒胡椒スパイスです!」

 スパイシーのあたりで、胡椒ビンを振るアクションが入って、そこから両手を広げてびっくりする仕草。
 そしてにっこり。
 かわいい。

※『こんきらー』『こんきら!』『こんスパ!』『かわいいー』『はづきっちの隣にめちゃくちゃ可愛い生き物がいる』『スパイスちゃんちっちゃい』『おじさんってマ!?』

「そうだよー。おじさんだよー」

 スパイスちゃんが頷く。

 おじさんであることを公言しているスパイスちゃん。
 だが、おじさんであることとかわいいは両立する!
 彼……いや、彼女のかわいさにやられたリスナーさんがどんどん増えているんだそうだ。

 ちなみに彼女のファンネームは『お肉ども』。
 昔のヨーロッパではお肉にスパイスをかけて食べたもんね。

 
※おこのみ『くっ、おじさんだと分かっているのに、タイツに包まれたおみ足の眩しさにくらくらする……』『あまりに可愛すぎる……』『男の急所は男が一番よく知っているのだ……』

 やっぱりそうかあ。
 スパイスちゃん、あざといくらい可愛いもんね。

 私が出会ってきた配信者の中でも、トップクラスの可愛さだろう……。
 ちなみにうぉっちチャンネルさんが可愛い配信者ランキングみたいなのをこの間やってて、上位三名にスパイスちゃんが入ってた。
 そして恐ろしいことに、三名のうち二名がバ美肉おじさんだったのだ!
 残り一名がもみじちゃんね。

 すごい時代になってきたなあ。
 私も何故か五位くらいにいたので、大変喜んだものだ。

「じゃあ今日は、スパイスちゃんと二人で、ダブル可愛い配信をやっていこうと思うんですけどね」

※『かわ……いい……?』『はづきっち、己が色物系である自覚をだな……』『まだ可愛さを諦めてなかったのか……w』

「な、なんですとー!」

「あはははははは!」

 コメントに憤慨する私と、これを見て爆笑するスパイスちゃん。
 じゃあ、これからコラボ配信スタートです。 
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